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VOL.180『カーボラストという食べ方』 [生活]

◆日本人の生活習慣病
 かつて成人病と呼ばれた生活習慣病は、糖尿病・高血圧・高脂血症(脂質異常症)が80%を占めています。それら病気の元となるのが子供の頃からの肥満で、動脈硬化を伴い高血圧・高脂血症そして糖尿病へと段階的に進んでいきます。動脈硬化が進むと、心臓の冠動脈疾患による心筋梗塞・脳卒中・足壊疽が起こります。糖尿病は合併症として腎障害による人工透析・網膜症による失明・神経障害による足壊疽に加えて脳卒中や認知症を発症します。現在日本には高血圧症が4000万人以上、糖尿病が3000万人以上、高脂血症が1500万人以上いると言われ、40歳以上の2〜3人に1人の割合となります。

◆血糖値の上昇を抑えよう
 ヒトは、毎日食べるさまざまな栄養素をエネルギー源としています。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものです。ご飯・パン・麺類などいわゆる主食の食べ物が糖質です。もともと人間は活動量が多かったため、大きなエネルギー源となる糖質を主食にしました。飢餓との闘いの歴史が長かった人類は、血糖値を保つ仕組みとして膵臓のα細胞からグルカゴン、副腎皮質からのステロイドホルモン、副腎髄質からのカテコールアミン、甲状腺ホルモンなど血糖値を上げる遺伝子を組み込みました。その頃は血糖値を下げる必要性がなかったので、血糖値を下げる仕組みは唯一膵臓からのインスリンだけでした。この時代の人類は体内に取り込んだ糖質を1日の活動で消費できたからです。しかし、現代では糖質は過剰となっています。これが肥満の原因になっています。
 糖質とは、イコール甘いものではありません。例えば煎餅には甘みがありませんが、デンプンなので糖質が多く、良く噛んでいると唾液中のアミラーゼがデンプンを糖に変換するので、甘みが出てきます。糖質を多く含む食品は、米・パン・麺類・イモ類・かぼちゃ・お菓子・ハチミツ・果物などです。糖質が少ない食品は、肉類・魚類・大豆製品・野菜・ナッツ類などがあります。
 血糖値の上昇は糖質の摂取量が多いほど高まります。そこで今『カーボラスト』という食べ方が注目されています。これは糖質を最後に食べようという方法で、食物繊維などの食物を先に摂取することで糖質の摂取量が少なくて済みます。食物繊維は消化吸収されにくく、腸の蠕動運動を抑制して糖の吸収速度を遅らせます。また、食物繊維は腸内フローラによって短鎖脂肪酸に変換され、血糖値の上昇を抑制します。短鎖脂肪酸が肝臓に運ばれ、その情報が脳に伝達され、エネルギーが十分に足りていると指示を出すことで血糖値の上昇を防ぎます。同時に食物繊維が筋肉や脂肪組織に働いて、インスリンを分泌させ糖の取り込みを防ぎ、脂肪組織への脂肪の取り込みを抑制することで肥満を防ぎます。

◆カーボラストで食べよう
 近年、妊娠糖尿病が増えましたが、原因の1つに高齢出産があります。インスリンは年齢とともに分泌能力が下がるのでリスクが高まるのです。対処法として必要以上にカロリー制限すると、胎児が低体重となったり、出生後に低血糖になることがあります。また、4〜5kgの巨大児や発育不全、奇形の子供が生まれる可能性が高まります。
 結論的には、全く糖質を摂らないのではなく糖質の摂取量を減らし、カーボラストという食べ方で、先に食物繊維・タンパク質・脂質を食べ、最後に糖質を摂るという、栄養学の常識を覆した食べ方が血糖値の上昇を抑制します。試してみてはいかがですか?

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VOL.176『タイムラインという考え方』 [生活]

◆環境因子と遺伝因子
 ヒトの健康状態は、環境因子と両親からの遺伝因子の積み重ねで決定されます。そこで、これら遺伝子の解析から病気の予防や治療を進めようとするのが遺伝子医学です。
 遺伝子情報はゲノムと呼び、遺伝因子となるDNAは32億個の塩基からできています。2003年にはヒトの遺伝子が全て解明され、遺伝子は全DNAの2%以下ほどであることが分かりました。ヒトの生命の設計図である遺伝子が解明されたことで、病気になる仕組みやその治療法も明らかになるのではと期待されました。ところが、生命は極めて複雑で、ゲノム解析は病気の克服には直結しなかったのです。
 例えば、寿命には個人差があり、それを決める要因は長寿遺伝子の有無だと言われていました。しかし、後に全ての人に長寿遺伝子があることが分かり、長生きできる人は長寿遺伝子にスイッチが入り、長生きできない人はスイッチが入らないことが分かったのです。
 また、ガンなどの生活習慣病の発症に遺伝子が関与する割合は5〜10%に過ぎず、遺伝子(ジェネティクス)だけでは健康と病気は解明できない、つまり、環境因子(エピジェネティクス)と遺伝因子の積み重ねで健康状態は決定され、遺伝因子は環境因子に大きく影響を受けることが分かりました。

◆タイムラインとは
 これを受けて、機能的医学が重要視されるようになり『タイムライン』という考え方が生まれてきました。タイムラインとは、母親のお腹の中にいる時から現在までの生活習慣、特に食生活、その間の栄養バランス、病気や感染症になった事例の有無・頻度などを時系列で並べて環境因子と遺伝因子の重なり合いを研究しようとする発想です。
 妊娠中に母親の栄養状態が悪いと子供は太りやすくなり、大人になってから糖尿病や高血圧になるリスクが高まります。母親の栄養バランスが悪いと、胎内の子供の栄養状態も悪化し、エピジェネティクスが働いて、子供はエネルギーを倹約する体質に変わります。すると大人になって飽食(過食)の環境になるとエネルギー倹約体質が働いて肥満になります。太ることで膵臓からのインスリン分泌の効き目が低下し、インスリン抵抗性となって糖尿病になりやすくなるのです。
 タイムラインでは、腸内細菌叢が病気の成り立ちに関与するといいます。子宮内の胎児は無菌状態ですが、産道を通って生まれてくるときに母親から細菌を受け継ぎます。産道には乳酸菌が生息しており、出生時に新生児の鼻や口から侵入し、腸内で急速に増殖します。ところが、帝王切開で生まれた新生児にはこれがありません。そのせいで大人になってから腸内細菌叢のバリア機能が弱く、アレルギー疾患を発症しやすくなります。また、子供の頃に抗生物質を大量に投与されても腸内細菌叢のバランスが崩れ、腸内のバリア機能は低下します。これが大人になってから生活習慣病の原因となります。

◆腸内環境を整えよう
 21世紀は腸内細菌叢の時代と言われます。腸内細菌叢が全身の体調を左右し、免疫機能に関与するからです。腸内の善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌)は母乳栄養で増え、悪玉菌(ウェルシュ菌)の増殖を防いで体内の炎症反応を調節しますが、加齢とともに減少していきます。善玉菌の栄養源は食物繊維で腸管内の修復には欠かせない栄養素です。傷ついた腸管や粘膜は数日で入れ替わります。その時、欠かせないのがビタミン類やミネラル成分です。つまり、健康維持のためには食物繊維とミネラル成分の摂取が欠かせないということです。タイムラインを知って腸内環境を整え、健康維持に努めましょう。

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VOL.172『人喰いバクテリアを知っていますか?』 [生活]

◆人喰いバクテリア
 最近、人喰いバクテリアと呼ばれる恐ろしい感染症が増加しています。この感染症は劇症型溶血性連鎖球菌によるものです。国立感染症研究所の報告では、感染者は8月23日までに291人となっており、2014年の273人を超えて、調査を始めた1999年以降最多となっています。地域別では東京が44人、大阪28人、神奈川20人、千葉と兵庫で15人の感染者が出ています。

◆(1)溶血性連鎖球菌
 溶血性連鎖球菌はグラム陽性の連鎖球菌で、鞭毛がなく、芽胞を形成しません。感染症の初期症状としては手足の腫れや激しい喉の痛みが起こります。その後、急速に手足が壊死することから『人喰いバクテリア』と呼ばれるのです。
 1987年にアメリカで初めて報告され、その後、ヨーロッパやアジア諸国に広がりました。日本では1992年に最初の報告があり、毎年100〜200人の患者が確認されています。血圧低下やショック症状が突然現れ、腕や肢に痛みや腫れが生じます。連鎖球菌が急激に増殖して筋肉や筋膜を壊死させ、菌毒素が全身に広がり多臓器不全を引き起こします。
免疫不全などの基礎疾患を持っていなくても突然発病する例もあります。通常は小児の風邪(咽頭炎など)の原因として広く知られているこの溶血性連鎖球菌がなぜ劇症化するのか、理由は分かっていません。この感染症は子供からお年寄りまで広範囲で発症しますが、30代に最も多いという特徴があります。
 2012〜2014年に国立感染症研究所に届け出があった患者712人のうち、209人(29%)が死亡し、そのほとんどが3日以内に死亡しています。その多くは男性が70代、女性は60〜80歳代で、年齢が上がるにつれて死亡率が高まります。感染経路が明確でない症例が多く、予防対策は手洗いしかありません。

◆(2)ビブリオ・バルニフィカス
 ビブリオ・バルニフィカスも人喰いバクテリアと呼ばれています。この菌による感染症も数時間から数日で手足が壊死し、致死率は70%です。
 日本では1978年以降100例の報告があります。最北は秋田県で、東京が9人、京都や大阪で10人、熊本2人、福岡で1人の報告例があります。静岡県では、肝臓疾患を持つ男性(72歳)が手足の壊死を起こすビブリオ・バルニフィカス菌による感染症で急激な発熱を起こして死亡しました。この菌は生の魚介類、生カキなどに多く含まれています。夏場に汚染された生の魚介類を食べて感染することが多く、傷口からも感染します。特に、肝臓機能が低下している人や慢性疾患のある人は重症化します。この菌は、塩分濃度が1%ほどになると急激に増殖します。通常、海水の塩分濃度は3%前後ですが、大雨などで河川から大量の水が流れ込んで塩分濃度が下がったり、海水温が上がった場合には増殖します。
 大阪大学歯学部では劇症型のA群溶血性連鎖球菌がインフルエンザウイルスと同時に感染すると致死率が一気に上がることをマウス実験で証明しました。インフルエンザ、A群溶血性連鎖球菌ともに単独感染では致死率10%以下でしたが、2つが併用感染すると致死率90%以上になったとのことです。
 以上のように、人喰いバクテリアの感染症が日本各地で増えています。高齢者や慢性疾患のある人は特に注意が必要であり、感染が疑われる時は早期に医師の治療を受けましょう。

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VOL.170『アタマジラミの流行に要注意』 [生活]

◆まだいたの?
 最近、小学校や幼稚園・保育園などで頭髪に寄生するアタマジラミが流行しています。2014年の都内におけるアタマジラミの相談件数は1602件で、2008年の1935件に次ぐ多さでした。今年2015年はさらに増えると予測されています。
 アタマジラミは戦時中、衛生環境の悪いなかで拡散しましたが、戦後は有機塩素系殺虫剤DDTによる駆除で感染が激減しました。しかしその後、DDTの毒性とダイオキシンによる環境破壊が問題になり、DDTは販売と使用が禁止されました。1950年代に再び流行した時には、毒性の低い駆除剤が開発され沈静化したと思われましたが、1988年頃から再び増え始めました。2014年に大手駆除会社2社からシャンプーやパウダーの駆除剤が発売され、今年の出荷量は30%増となっていて感染拡大が伺えます。

◆アタマジラミとは
 アタマジラミは、成虫で2〜4mm(卵は0.5mm)ほどの大きさの、透明に見える灰色の虫で、主に幼児やその家族で集団発生し、年間80万世帯に感染があると推定されます。  卵は1週間ほどで孵化し、幼虫は2〜3週間で成虫となります。成虫の寿命は30〜45日くらいで、頭皮から離れると吸血できなくなり2〜3日で死んでしまいます。1匹が1日に5〜6個の卵を頭髪の根元に産卵します。1日に数回吸血し、症状は主に痒みで、アレルギー反応を伴う痒みもあります。痒みが強いと、爪で頭皮を強く掻いてしまって引っ掻き傷ができ、傷口から細菌感染を起こし、リンパ節が腫れることになったりします。これが頭皮の悪臭となります。
 アタマジラミの発生に季節変動はありませんが、夏のプールの時期にはプールが感染を助長するため発生率が高まります。また、アタマジラミは頭皮に寄生して離れないので、頭髪に直接触れる帽子やクシ・タオル・布団・枕・シーツ・スカーフ・マフラー・ペットの毛などを介して感染します。
 全国調査と最近の研究で、耐性を持ったアタマジラミが沖縄県で96%と増加しているのに対し、それ以外の地域では平均5%に過ぎないことが分かっています。つまり、沖縄県以外の地域では市販されている駆除剤が有効ですが、沖縄県では効果が望めないと言えます。その場合は、目の細かいクシで駆除する方法があります。

◆予防法は
 アタマジラミの予防法としては、毎日掃除をする、子供の髪は大人が髪の根元までしっかり洗う、タオルや帽子・クシなどの共用を避けるなどがあります。つまり、体や住環境を清潔に保つことが大切ということです。また、子供の頭皮を月に数回確認しましょう。その際、シラミの卵は薄暗い場所では見えないので日光の下で行いましょう。シラミの卵を見つけたら、髪の毛を切り、シャンプーとともに洗い流します。アタマジラミ用の薬はシャンプータイプとパウダータイプがあり、シラミの成虫と幼虫を効果的に退治します。
 プールの後は頭皮のシャンプーを丁寧にし、感染が見られた時は駆除剤を含むシャンプーを3〜4回繰り返すと、2週間ほどで治ります。
 プールなどで子供が感染している場合があります。ぜひとも確認してください。

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VOL.169『夏は子供の夜尿症に要注意』 [生活]

◆環境の変化が引き金
 夏休み中は、家族旅行や学校主催の合宿行事など泊まりがけで出かける機会が増えます。急に日常とは違う環境になることで、それが心理的に影響して夜尿症(おねしょ)になりやすくなります。幼児期は夜間の排泄機能が十分に発達・成熟していないために、夜中に排尿してしまうのです。通常は3〜4歳頃から排尿の調節ができるようになり、おねしょの回数は減ってきます。しかし、5歳を過ぎても月2回〜 週2回以上おねしょがある場合には夜尿症と診断されます。
 夏は水分の摂取量が増えるとともに、熱帯夜のせいでエアコンや扇風機をつけたまま眠ることもあり、体が冷えることが夜尿症の原因にもなります。子供の夜尿症は、5〜15歳で約80万人と推計されます。

◆夜尿症の発症と治療
 通常、子供は朝方あまり水分を摂らずに出かけ、学校にいる間に汗をかくので水分不足となります。そこで帰宅後に水分(水よりもジュース類)をたくさん摂るのですが、帰宅後は運動することもなく、室内はエアコンで涼しいため汗をかく機会がありません。その結果、睡眠中に尿量が増して膀胱内が満タンとなり、これが夜尿症を引き起こす原因となります。
 夜尿症の20%は生活習慣を変えることで治ります。つまり、朝から水分を十分補給し、夕方までに1日に必要な水分の50%程度摂っておき、夜の水分摂取量を減らすことです。
特に夏の暑い時期、子供には1日1.0〜1.5ℓの水分が必要です。夜間はコップ1杯(180㎖)程度に抑え、利尿作用のある果物や塩分の摂取を控えることで夜尿症はかなり改善されます。たいていの子供は昼間の疲れから夜には熟睡します。その後、膀胱内の尿量が満タンになると夢の中で起きたような感覚になり、排尿してしまうのです。つまり、生活習慣の改善なしに夜尿症は治らないのです。
 専門医師の受診すると、排尿が始まるとアラームが鳴るセンサー付きの『夜尿アラーム』というパッドを付けて就寝するよう指導されます。このアラーム方式は欧米で広く使用されており、夜間の排尿に対して反応を感知し、症状が改善するのだそうです。また、内服薬の抗利尿ホルモン剤によって、尿量を減らす治療法もあります。ただし、尿量を減らすと体内に水分が蓄積しすぎて嘔吐したり、意識障害や水中毒を起こす危険性があります。抗利尿ホルモン剤は即効性がありますが、服用を止めると再発するので、2〜3ヶ月は服用を続ける必要があります。

◆生活習慣が重要
 夜尿症で昼間にも尿漏れや下痢を発症する場合は、尿路感染症や膀胱炎など泌尿器系の病気が関係することもあります。また、慢性的な便秘のせいで腸に詰まった便が膀胱を圧迫することもあるので、夜尿症を放置しないようにしましょう。
 夜尿症の子供は、寝つきが悪く、寝起きも悪いことが多く、夜間に無意識に体が動くので寝相も悪く浅い眠りとなります。そのため夜間に分泌される成長ホルモンやメラトニン・セロトニンなどのホルモン分泌が抑制され、心とカラダのバランスが崩れます。睡眠中には昼間使用し、疲れて破損した脳の神経細胞が修理・修復されるので、睡眠時間の減少は夜尿症のみならず成長への影響も大きくなります。夏の時期には夜尿症になりやすいので、夏休みだからといって睡眠時間を減らさないよう、周りが十分注意してあげましょう。

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VOL.167『ヒスタミンの食中毒が増えている』 [生活]

◆ヒスタミンとは
 雨が多く湿度が高いムシムシする時期は、食中毒が発生しやすい環境となります。特に、鮮度の落ちた魚を食べるとヒスタミン食中毒になりやすいので注意が必要です。冷凍技術が進歩した今日では発生件数は減少しているものの、学校や保育園、老人ホームなどで集団食中毒が起きています。6月には徳島県の中学校で、生徒や教職員227人が給食を食べた後に吐き気や発疹などの症状が出ました。幸い全員軽い症状で済みましたが、原因はアジのフライで、ヒスタミン食中毒でした。
 ヒスタミン(化学物質)は加熱処理しても壊れないので、魚や肉を焼いたり、フライにした後、常温で長時間放置したままにすると中毒の危険性が高まります。

◆ヒスタミンの食中毒
 ヒスタミンは魚や肉類に含まれるヒスチジンというアミノ酸の一種がモルガン菌などの細菌によって分解されてできる化学物質です。ヒスタミン食中毒はヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることで発症します。特に、サバ・イワシ・カツオ・マグロなどの切り身や干物、貝類、冷凍食品などで冷凍保存の管理が悪いと、食中毒の原因となる細菌の汚染によってヒスタミンが生成されます。
 ヒスタミン食中毒では、食後30分ほどで顔面などが紅潮し、頭痛・じんましん・発熱などの症状がでます。一見、アレルギー症状のようですが、ヒスタミンの多量摂取によって誰もが発症する可能性があります。6〜10時間ほどで回復し、重症化することは少ないですが、呼吸困難・気管支炎・急激な血圧降下を起こす場合もあり、死に至ることもあります。
 通常、食中毒となる病原性大腸菌O-157やノロウイルスなどの細菌やウイルスで汚染された食材の場合、加熱処理が十分であれば食中毒にはなりません。ところが、ヒスタミンは加熱処理しても分解されないので、缶詰や焼き魚・フライなどでも食中毒が発生します。
 1998年〜2008年の10年間、食品安全委員会がヒスタミン食中毒について調べたところ原因は焼き物や揚げ物に多く、特に、照り焼きや漬け焼きなど調味液に漬け置きした後、焼いて調理する食品に30%以上の確率で発生することが分かりました。ヒスタミン食中毒が報告された給食を調べても、カジキマグロの竜田揚げやイワシのつみれ汁など加熱前に調味液に漬け置きしたメニューが多く報告されていました。加熱前に漬け置いた時間にヒスタミンが増量したのです。
 厚生労働省によるとヒスタミンの食中毒は、年間、数10人から数100人の割合で発症しており、梅雨から夏にかけてが発症のピークとなります。

◆予防するために
 ヒスタミンが高濃度で蓄積された食品を食べると、唇や舌の先がピリピリするなど刺激を感じます。ヒスタミン食中毒の原因となる細菌は、常温や冷蔵庫内で増殖している可能性が高いので、一度解凍した物は再び冷凍せず、干物など残った物は直ちに冷凍保存しましょう。
 この時期、冷蔵庫内の食品は傷みが早いので冷蔵庫を過信しないようにし、特に、魚や肉類は冷凍しておきましょう。食材が変色していたり、食べた時に味が悪いとか、変に感じる時は処分しましょう。たとえ気温が低くても湿度が高ければ細菌やカビは急速に増殖します。食品は生で食べないで、必ず十分に加熱処理してから食べましょう。加熱処理した後は、ヒスタミンの増殖を防ぐために長く放置しないように気をつけましょう。

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VOL.155『冬の脱水に注意!』 [生活]

◆水と人体
 地球は水の惑星と呼ばれるように、海水が多くの部分を占めています。その海で200〜500万年前に原始の生命体が誕生し、やがて陸に上がり進化して人類が誕生しました。ヒトの体は胎児で90%、乳幼児で80%、成人で60%、老人が50%の水分で満たされています。
 ヒトの体内で最も多く水分を含んでいるのは筋肉です。体重60kgの人は筋肉が30kgほどで、その内水分が70%近くを占めています。脱水が起こると体液中の水分量が減少するため、血液中の電解質(ミネラル)濃度が高くなり浸透圧が高まります。これを視床下部の浸透圧レセプターと心臓の左心房内レセプターが感知して喉の渇きが起こります。そこで水を飲むと血液中の浸透圧が下がり、細胞内液と細胞外液に浸透圧の差が生じます。この浸透圧の濃度が一定のレベルに達すると、浸透圧レセプターが再び作動し、喉の渇きは治ったと指令が出ます。脱水が起きると、水分だけでなく体液中に含まれる電解質(ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・マグネシウムイオン)も同時に失われます。汗の99%は水分で、1%が電解質です。1リットル中の汗には食塩を含む電解質が10%以上あり、電解質欠乏は筋肉を硬直させます。

◆体内の水の働き
 体内で最も重要な部分で、水分の多い部位は脳です。脳には多くの間隙があり、そこはリンパ液で満たされ、リンパ液がクッションの役目をして脳を守っています。
 また、量は少ないものの大切な役割を果たすのが涙です。涙の分泌量は1日あたり0.7ミリリットルで角膜を守る・目の洗浄・目の防御(病原微生物の感染)・目を冷やすなどの働きがあります。涙の成分は96%が水分ですが、残りは塩分・尿素・ビタミン・色素などで尿や鼻水の成分と似ています。
 そして、体内の水分量を調節するのが腎臓です。水は体内を巡って尿となり、毎日1〜2リットルが4〜5回に分けて排出されます。腎臓は血液中の老廃物を処理するリサイクル工場のような臓器で、尿量が減少すると血液の粘度が高まり、腎障害や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こします。体内の水分濃度を一定に保ち、血液中の老廃物を排泄する腎臓は生命の起源とも関係しています。

◆マグネシウムが大切
 水なしでは人間は生命を維持できず、数日と持ちません。またミネラルバランスが崩れてもかなりのダメージを受けます。カルシウムとマグネシウムをバランス良く、2対1の割合で摂取しましょう。カルシウム不足になると血液の細胞外カルシウム濃度が低下します。そこでカルシウムを多く含む食品を摂取しても、カルシウムは細胞外液には届かず、細胞内に蓄積してしまいます。これを阻止する物質がマグネシウムです。このバランスが崩れると細胞内にカルシウムが過剰となり、動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・認知症などを引き起こします。つまり、マグネシウムの補助がなければ、カルシウムは有効に働けなくなるばかりか、有害になる可能性もあるのです。マグネシウムの有効範囲は極めて狭く、毎日摂り続けないとマグネシウム欠乏となり、カルシウム欠乏、あるいはカルシウム過剰になりかねません。マグネシウムは水に溶ける性質の水溶性マグネシウムの方が有効です。
 空気が乾燥した冬は水分摂取量が不足し、電解質のバランスが悪化しがちです。喉の渇きより早くカルシウム・マグネシウムなどのミネラル分が豊富な水分を補給しましょう。

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VOL.148『おいしいものの後は水を飲みましょう』 [生活]

◆味覚と病気予防
 味を感じる味覚は病気と密接に関係しています。糖尿病では甘味を感じにくくなり、高血圧では塩味を感じにくくなります。また、肥っている人と痩せている人でも味の感じ方が違います。肥っている人は甘味の感受性が低いので、甘味や塩味を敏感に感じ取れれば糖尿病や高血圧を防ぐことができます。
 子供の頃から薄味の料理に慣れていれば、糖分や塩分を適切な量にコントロールでき、薄味で健康的な料理をおいしく感じられ満足できます。
 近頃は、どんな料理にもマヨネーズをたっぷりかけて食べる人や、唐辛子やタバスコを大量にかけて食べる人が増えています。親が偏食がちで濃い味の食事が習慣的になると、子供もだんだんその味に慣れてしまい、薄味を感じられなくなります。

◆亜鉛と味覚障害
 味を感じられなくなることを味覚障害といいます。味覚障害では食物の味がわからなくなり、すべての味が薄く感じられます。時には甘味を感じられず、甘い物を苦く感じます。その原因は亜鉛の欠乏です。亜鉛の1日当たりの必要摂取量は9〜12mgと極めて少量ですが、細胞分裂に必須となるタンパク質に含まれており、不足すると細胞は分裂できなくなります。味を感じるのは舌の表面に存在する味蕾細胞で、短いサイクルで新生します。亜鉛が不足すると細胞分裂で新生できず、味覚障害となります。
 亜鉛の働きを阻害するのは食品添加物に含まれるフィチン酸やポリリン酸です。加工食品ばかり摂取していると亜鉛が不足します。また、過剰のアルコール摂取はアルコールの分解に多量の亜鉛が使われてしまうため不足につながります。
 味覚障害の恐ろしさは、何を食べても味を感じられなくなり、唾液の分泌量が減少し、食欲がなくなることです。つまり、お腹が空いたとか、何かおいしいものを食べたいなどという感覚がなくなる感覚麻痺となるのです。このような重度の味覚障害に陥ると、単純に亜鉛を摂取しても治りません。
 味覚には甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5種類があります。これらは脳の神経細胞に伝達されて感じることができます。甘味は脳のエネルギー源であり、塩味は海中で生息していた時からの細胞構成成分であり、苦味と酸味は毒物や腐敗物のシグナルを判断し本能的・防御的に摂取を抑制するなごりです。

◆ミネラルたっぷりの水を飲みましょう
 味覚には好みの個人差・男女差・食経験の個人差などがあり、加齢とともに変化します。高齢になると味蕾の新生が減少するため味覚が鈍くなり、濃い味でないと味を感じなくなります。胃腸の消化能力も衰え、過度の脂肪分による胸焼けや胃もたれを起こします。消費するエネルギー源は少なくてすむので、高カロリー食は必要なくなり、嗜好も変わります。薬を飲む量が増えれば、その副作用による味覚障害も起こります。まずは自分の味覚の変化に早く気づくことが大切です。高齢になると余計においしいものが食べたくなります。肥満や糖尿病・高血圧になるとわかっていても止められない、一度濃い味に慣れてしまうと薄味には戻れない…など人間の欲望には限界がありません。
 老化とは、体内の水分量の減少であり、味覚障害は唾液分泌量の低下です。その対策としては毎日たくさんの水を飲むこと、特に、亜鉛などのミネラル成分をたっぷり含んだ水を飲むことです。食べ過ぎたと思ったら、まずミネラルたっぷりの水を飲みましょう。

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VOL.145『薄味に慣れて健康になろう!』 [生活]

◆ストレスと自律神経
 ストレス時代の今日、ストレスを受けずに生活することはできません。ストレスとは、自分が好むと好まざるとにかかわらず、外部から受ける刺激によってカラダに起こる反応です。ある程度のストレスは、心に適度な刺激となり決して悪いことではありません。しかし、過度のストレスは自律神経(交感神経・副交感神経)に影響を与え、胃腸障害や唾液分泌の減少を引き起こします。

◆濃い味はカラダに良くありません
 カラダはストレスによる刺激を受けると、交感神経が優位に働いてアドレナリンが過剰に分泌され、攻撃的になるため唾液の分泌が抑制されます。その結果、食物の味を正確に感じ取ることができず、ついつい濃い味の食物を摂取してしまいます。特に、脳が好む甘味(糖分)や塩分を過剰に摂取することになります。
 糖分を常に摂り過ぎている人は、血糖値が急激に上昇し、逆に空腹になるとすぐに低血糖状態となって、めまいやふらつき、貧血などの症状が出ます。すると、生命維持のためアドレナリンが過剰に分泌されるので、興奮性が増して感情を抑えられなくなります。つまり、キレやすくなるのです。甘い物を継続して摂取していると糖尿病になりやすくなりますし、味覚が鈍くなります。また、濃い味付けの食品ばかり食べていると、塩分も過剰摂取となり血圧が上昇して高血圧症や動脈硬化となります。その結果、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞を起こしやすくなります。
 甘い物は別腹と言うように甘味は食欲を高めます。甘味は、食欲を増進させる血中成分の内因性カンナビノイドという物質によってさらに感じやすくなります。これが脳に満足感を与え肥満の原因となります。また、塩味を強く感じると、その味を中和したいと感じます。そこに甘さの強い物が入ってくれば、うまく中和されるので食欲がさらに増します。塩味が強いおかずの時ご飯が進むのはこのためで、饅頭なども塩味を加えるとさらにおいしく感じます。結果として糖分も塩分も取り過ぎてしまうのです。
 甘味と脂肪の味が好きな人、塩分の濃い味と脂肪(油)が好きな人、例えばラーメンやカレーなどをよく食べる人は、今は痩せていても次第に肥満になる確率が高いでしょう。また味覚が鈍くなっている人、味を感じる能力が低い人、微妙な味の違いを区別できない人も結果的に肥満になりやすくなります。

◆薄味で健康に
 ヒトは、異なる種類の味刺激が入ってくると、食欲が増すようになっています。逆に、同じ種類の味刺激が続けば少量でも満腹となります。つまり、味の組み合わせを工夫し、同じ系統の味付けをすれば食欲を抑制することができるのです。
 ストレスや疲労がたまると、薄味を感じる味覚は働かなくなり、自然と濃い味が好きになってしまいます。味覚には毎日の食生活が影響します。子供の頃に食べていたものがその人の好みとなります。つまり、母親の好みが子供の好みに大きく影響を与えるのです。生活習慣病になるかどうかは、すでに子供の頃の食生活によって決まってしまうのです。高齢になってからでは遅いかもしれませんが健康を維持するために、薄い味付けの食生活を心がけ、美味しいと感じられるようにしましょう。食欲の秋、旬の美味しい食べ物を体に良い味付けで大いに味わいましょう。

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VOL.138『食中毒に注意 !!』 [生活]

◆腐敗と発酵
 日本では夏に入る前の時期に梅雨があります。温度の上昇とともに湿度も上昇するので、うっとうしい季節です。この時期は冷蔵庫の中の食物も次第に味や匂い、見た目の形や色、感触などが変化していきます。食物中の成分が変性して、食べられなくなった状態を腐敗といいます。これに対して、ヨーグルトやお酒のように糖分が分解され、乳酸やアルコールができ、成分が変性して口できるものを発酵といいます。

◆食中毒の原因
 肉や魚などのたんぱく質やアミノ酸が分解され、硫化水素やアンモニアのような悪臭・腐敗臭が出る現象が腐敗です。この腐敗した食物を食べることで食中毒のリスクは急激に高まります。食中毒の原因は、細菌やウイルス・カビなどの病原微生物が食品中に増殖し、毒素を産生して、1g当たり1000万〜1億個以上に増えることで、食品の色や風味、匂いが変化します。菌種によっては10個程度でも食中毒を起こします。食品の腐敗を防ぐために私たちは食品を冷凍・冷蔵しますが、冷凍や冷蔵をしても菌が死滅するわけではなく、温度を下げることで腐敗を遅らせているのです。長持ちさせるには乾燥させる方が有効です。細菌の増殖には水分が関与するので、食品の水分を奪ってしまえば細菌の増殖は防げます。
 食中毒の原因菌には、主に食肉や卵を汚染するサルモネラ菌、加熱しない肉を食べて発生するカンピロバクター、肉類や魚介類のカレースープ内で発生するウェルシュ菌、チャーハンやピラフ・パスタ・焼きそばで発生するセレウス菌・ハムやソーセージ、野菜・果実の缶詰や真空パック内で発生するボツリヌス菌などがあります。他にも毒性の強い腸管出血性大腸菌O157があり、これはベロ毒素という強烈な毒素が腸管を破壊するため、死に至こともあります。
 食中毒の原因について2013年の調査では、細菌が36.4%、ウイルスが46.8%、自然毒が7%、化学物質が1.5%で、細菌とウイルスで80%以上を占めています。原因菌の主なものは、サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌・カンピロバクター・ウェルシュ菌・腸管出血性大腸菌などです。

◆予防するには
 完璧な殺菌処理で保たれるものを除いてほとんどの食品には少量の菌が付着しています。それらは通常、飲食物とともに口から入り、胃酸で殺菌され、腸管内の常在菌によって増殖が抑えられたまま便として排泄されます。しかし、細菌はそれぞれ毒力が異なり、少数でも食中毒を起こし、調理の温度によって生き残る細菌や、抵抗性(好気性・嫌気性・乾燥・酸・アルカリ・塩に対する耐性、低温でも増殖する)を持つもの、芽胞という防御のカプセルを作り煮沸しても死滅しない細菌などがいます。
 汚染源は、菌が付着した手指や、まな板・包丁などの調理器具、ネズミやゴキブリ・ハエを媒介したものもあります。最も多いサルモネラ菌による食中毒を防ぐには、冷蔵庫にあった食品でも食べる前には十分に加熱することです。他に、ペットに触れた手を良く洗う・肉や魚を調理したまな板や包丁を良く洗うことも重要です。そして、購入したものはできるだけ早く十分に加熱して食べることが予防の基本です。また、加熱処理した食品を冷蔵庫に入れて、翌日温めて食べることも極力避けましょう。新鮮なものを新鮮なうちに食べることが食中毒を予防する大原則です。

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