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VOL.215『ガンの本態とは』 [体]

◆ガンという病気
 誰にでも、人生の最後には死が訪れます。戦乱の世なら戦死する人が多くいたでしょう。衛生環境の悪い国なら感染症で亡くなる人が多いでしょう。どのような原因で死亡するかはその国や時代の姿を映しています。日本では1980年代から死因の第1位はガンです。その結果、ガンは国民病と呼ばれるようになりました。
 古代にはガンによる死亡の記録はありません。その理由は多くのガンが体内深くの臓器で発生することから外から見ても分からなかったからです。また、ガンで死亡する前に伝染病などの感染症や脳卒中・心筋梗塞などで亡くなっていたこともあるでしょう。1760年から1839年の間のガンによる死亡を調査したところ、100人に1人もいませんでした。ガンが増加したのは150年前くらいからなのです。医薬品や衛生環境の改善によりガン以外の病気で死亡することが少なくなり、最後にガンになり死亡するのです。つまり、他の病気に対する治療法は進んでいるけれども、ガンの治療法は40年もの間、画期的な進展が見られていないということです。

◆ガン治療が進展しない理由
 ガンはガン化を起こすDNAを傷つける原因や機会が増えることで発症すると考えられています。DNAが傷つくことで細胞の制御システムが徐々に破壊され、無制限、無秩序な細胞増殖が始まります。ガン治療が進展しない理由は、感染症ならウイルスの種類を明確にすれば感染防御の対策ができますが、ガンはその原因が明らかでないためです。ガン細胞は栄養と酸素が供給されれば永遠に細胞分裂を続けるので「(悪性)新生物」とも呼ばれます。
 カラダを構成する細胞塊(組織・臓器)は1個の受精卵から始まります。この受精卵が分裂を繰り返すことでカラダが作られます。その作り方はすべての細胞の核にあるDNAの設計図が元となります。通常は、正常な細胞分裂にはさまざまな形で増加に歯止めがかかっています。細胞分裂は細胞増殖因子と呼ばれるタンパク質の信号を受けて行われます。細胞増殖を制御する仕組みが遺伝子の設計図に書き込まれているからです。
 また、正常な細胞は何か異常が発生したと察知すると遺伝子が働いて自爆し、異常な細胞が取り除かれる仕組みになっています。これをアポトーシスといいます。さらに、細胞には寿命があり、分裂してコピーされる度に染色体の末端にあるテロメアが少しずつ短くなります。テロメアが短くなると細胞は分裂できなくなります。これが細胞の死です。
 このように、正常細胞には分裂増殖を抑える仕組みがあります。また、カラダには免疫機能という防御能力があり、外部から侵入したウイルスや細菌を攻撃する仕組みがあります。通常、自分の細胞は攻撃しません。ところが、病原体からの攻撃を受けると正常細胞の分裂にミスコピーが生じ、蓄積してガン化します。生じたガン細胞は毎日5000個ほど発生しますが免疫担当細胞が攻撃排除してガンの発生を制御しています。ここで取り逃がしたガン細胞が増殖して成長するのです。

◆免疫力を上げよう
 1個のガン細胞が大きな塊になるまでには10年ほどかかります。若い頃には免疫力が強いので大きな塊にはなりにくいのですが、40歳を過ぎると免疫力が低下してくるので、ガン細胞は急速に増加する過程で変異を起こし、他の臓器に転移します。ガンは転移すると抗ガン剤を投与しても徐々に効果が薄れる薬剤耐性になります。
 ガンは生物の進化に似ています。親から子に遺伝子が受け継がれる際、遺伝子変異が起き環境に適合していきます。ガン細胞は細胞分裂するほどDNAが変異して高い増殖能力を持つ怪物になります。これが感染症よりガン治療が格段に難しい理由です。ガンにならないように免疫能力を維持することが大切です。

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VOL.214『腐敗と発酵の話』 [生活]

◆食品の腐敗とは
 食品は初夏であるこの季節から腐敗しやすくなります。では、腐敗とはどのような現象なのか、また、気温が高まる夏に向けてどのような点に注意が必要なのか、見てみましょう。
 食品にはさまざまな細菌が存在し、腐敗していない食品でも1g当たり100〜100万個の細菌が存在しています。これらが大量に繁殖することが腐敗です。腐敗した食品には1g当たり1千万〜1億個の細菌が繁殖しています。腐敗を起こす細菌は食品の表面だけでなく内部でも増殖しており、それが急激に増殖することで腐敗が起きるのです。細菌は、温度条件によって数十分で分裂し、倍々に増えるので短時間で爆発的に増殖します。魚介類に多い腸炎ビブリオ金は一個の細菌が4.5時間で27回分裂し、1億4000万個に増殖します。腐敗が進んだ食品は味も匂いも急激に変化します。腐敗臭は主にタンパク質がアンモニアに変化することで生じます。同時に硫化水素、糖からは有機酸が作られ、それらがミックスして腐敗臭が起きます。
 細菌類は、腐敗の化学反応を進める酵素で食品中のタンパク質や糖を分解して、必要なエネルギーを得ています。その過程でアンモニアと硫化水素という腐敗臭の原因となる気体が生じます。これが人体には有害物質となります。腐敗の初期であれば摂取しても人体に影響はありません。一方、腐敗していなくても下痢や嘔吐を引き起こす食中毒菌が存在すれば食中毒を発症します。例えば、大腸菌O ー 157は100個程度の摂取でも重篤な食中毒となります。つまり、腐敗しているかどうかと食中毒になるかどうかは必ずしも一致しないのです。しかしながら、腐敗した食品を大量に摂取することで食中毒を起こす場合もあるので十分注意しましょう。

◆腐敗を防ぐ
 では、腐敗を防ぐにはどうすればいいのでしょう?基本的に細菌は水分量(細菌が利用する自由水)を減らすことで増殖を抑えることができます。これを利用したのが、塩漬けや砂糖漬け・干物です。食塩や砂糖を加えて自由水を減らし、乾燥させることで細菌が自由水を利用できなくなり増殖できなくなるのです。
 また、細菌の持つ酵素を働きにくい環境におくことで、菌の増殖を抑えることができます。通常、細菌の酵素は低温になると働きません。ですから冷蔵庫内は細菌の増殖を抑制できるのです。ただ、冷蔵庫内は10℃前後なので長期間の保存は期待できません。また、強い酸性の環境下では酵素が破壊され細菌は死滅します。例えば、酢漬けや乳酸菌を利用したぬか漬けは酸性度を高める保存方法です。

◆美味しくて体に良い発酵食品
 腐敗と同様な現象に発酵があります。古くからヨーグルトなどの乳製品や納豆などは発酵食品として知られていました。乳酸菌や納豆菌により食品が変質することで美味しい食品になります。乳酸発酵では、乳酸菌を利用して乳糖を乳酸に変え保存でき、美味しい味を作り出すことができます。腐敗と醗酵は細菌による同じ現象ですが、日本には数多くの発酵食品があり、発酵によって日本の食文化は発展したとも言えるでしょう。醤油や味噌は、塩味と旨味を合体させた発酵食品の中心的存在です。その中には旨み成分のグルタミン酸やイノシン酸をはじめ各種のアミノ酸などが含まれていて複雑な香味が生み出されます。
 食品を発酵させることで腐敗しやすい食品の保存性は高まりました。そして発酵食品は世界中で見ることができます。発酵させることで保存することが可能となり、さらに、栄養源にすることもできます。人類は膨大な時間をかけ、微生物を利用して知識を積み重ね、細かい感性と注意力によって発酵食品を作り、複雑で個性的な食品が生み出されています。食品の腐敗と発酵の違いについてお分かりいただけたでしょうか。

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VOL.213『21世紀型の感染症』 [健康]

◆増加傾向の感染症
 一般に世界3大感染症と呼ばれているのは、マラリア・結核・エイズ(AIDS)で、これらは毎年100万人以上が死亡する恐ろしい感染症でした。そんな中、最近ではマラリア対策が進み、死者は年間65万人ほどに低下しました。マラリアの原因はマラリア原虫という微生物で、結核は結核菌、エイズはHIVウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)です。
 これら3大感染症とは別に、毎年100万人ほどが命を奪われている感染症が増加傾向にあります。それは呼吸器感染症と呼ばれる肺炎・下痢症・腸炎です。

◆下痢症・肺炎について
 ヒトは体の60〜70%が水分です。その水分を急激に奪うのが下痢症で、死亡のリスクも低くありません。特に、小児や高齢者が下痢症になると重篤な病気になることが多いので注意が必要です。WHOでは子供の下痢症を起こすロタウイルスのワクチン接種を奨励しており、日本でも小児科学会がワクチン接種を指導していますが、定期的接種には至っていません。高齢者(75歳以上)では冬場にノロウイルスによる腸炎が重篤化し、死に至ることがあります。ノロウイルスはロタウイルスと違って有効なワクチンがありません。有効な治療薬がないので、老人ホームや介護施設で流行すると死亡のリスクが高まります。下痢症は体の水分を奪う病気で、治療の根幹は失った水分を補給することです。
 日本人の死因の1位はガンで、2位が心筋梗塞や脳梗塞などの心臓・血管系疾患、3位が肺炎です。肺炎の原因は種々ありますが、主なものは細菌です。この細菌にも肺炎球菌・インフルエンザ菌・マイコプラズマ・レジオネラ菌など多種多様な菌があります。さらに、インフルエンザウイルス・RSウイルスなど多種のウイルスも原因となり、過敏性肺炎や間質性肺炎のように感染症でないものもあります。
 下痢症も大腸菌やサルモネラ菌、カンピロパクターなどの細菌が原因になるし、ノロウイルスやロタウイルスなどウイルスが原因にもなります。さらに、アメーバやジアルジアなどの寄生虫が原因となることもあります。

◆感染症の原因は多様化している
 このように、21世紀型の感染症は肺炎や下痢症、腸炎など原因が多種多様で複雑化しています。従来の感染症、例えば肺炎球菌なら抗生物質のペニシリンが効くペニシリン感受性肺炎球菌とペニシリンが効かないペニシリン耐性肺炎球菌に区別して治療できましたが、21世紀型の感染症はこれだけでは解決しません。そこで2008年、肺炎球菌の分類が変更されました。肺炎球菌の中でも肺炎を起こす肺炎球菌には抗生物質が効きますが、髄膜炎を起こす肺炎球菌には抗生物質が効きません。そのため分類を変え、治療法を変更しました。
 これらの違いは脾臓によることが最近の研究で判明しました。脾臓は左脇腹、腎臓と胃の間にある臓器で、日常的に脾臓の具合が悪いという人はいませんし、症状も現れませんが、感染症に対抗する免疫機能を持っています。しかし、交通事故や胃ガン、膵臓ガンなどの手術で血小板が減少すると、血液の病気の治療のために脾臓を摘出することがあります。すると感染症を引き起こしやすくなってしまうのです。特に、肺炎球菌に対して強い免疫力を持っており、攻撃・排除するのが脾臓なので、摘出した人は感染症を起こしやすくなります。すると、目やカラダの各部から出血し、多臓器不全を起こします。抗生物質を使用しても効果が見られず、みるみる体力が衰えて死に至るようなこともあります。
 近年、日本人の免疫力の低下が進んでおり、皮肉なことに、衛生環境が整備されたことも種々の感染症の発症の確率を急激に増加させる一因となっています。高齢者や小児の場合、重篤化するリスクが高いので、肺炎や下痢症、腸炎など身近に起きる病気に対して細心の注意を払い、早めに対処することが望まれます。感染症は新しい時代に入ってきたようです。


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VOL.212『末梢時計や時計遺伝子を知っていますか?』 [生活]

◆時計栄養学の研究
 近年、生活習慣病を予防する時計栄養学の研究が進んでいます。肝臓や膵臓などさまざまな臓器で時計遺伝子が働き、体内の各部で同時期に働いているのだそうです。体内時計では1日は24時間ではなく、24.5時間になっています。脳には親時計があり、人体で発生している多くの生物学的代謝の過程をタイミングよく調節しています。生物学的に時間的な乱れが生じた人は肥満や糖尿病、動脈硬化、うつ病、その他の慢性疾患を発症します。

◆時計栄養学と末梢時計
 人体における多くの時間的タイミングを再び元の状態に戻し合わせることで健康体と適切な機能を回復することができるという最先端の研究が進んでいるのです。例えば、飛行機で時速900kmの速度で数時間飛行すると、現在自分がいるタイムゾーンと体内時計がずれてきます。このような体験をした人は多いと思いますが、この時差ボケを解消するには長ければ1週間を要します。身体と脳が睡眠を求める時間と外が暗くなる時間を一致させるには脳内にある親時計を進ませるか、あるいは遅らせるしかありません。この体内時計が脳の親時計だけでなく、肝臓や膵臓などの臓器や脂肪組織にも多数の局所的な時計が存在し、人体はそれに依存しており、それを末梢時計と呼びます。この末梢時計を調節しているのが時計遺伝子です。1997年に哺乳動物で初めて時計遺伝子が発見され、カラダの時計合わせに関与する数10種類の遺伝子が特定されました。最大の進展は代謝疾患における体内時計の役割を読み取る研究です。代謝とはカラダが食物をエネルギーに変換し、利用に備えて蓄える一連の過程です。体重増加を調節する上ではいつ食べるか、何を食べるかが関係します。
 地球上の生命は1日24時間のサイクルで支配されています。地球上で最も古い単細胞生物も太陽エネルギーを利用し、光合成によりCO2と水から有機分子と酸素を作り出します。体内時計によって日没に合わせて光合成のスイッチを切り、夜間に働かないシステムで無駄なエネルギーや資源を費やすのを避けます。ヒトでは1970年代、体内時計が脳の視交叉上核(視神経が脳内で交差する部分)であることを見つけました。1990年代になり脳で働いているのと同じ時計遺伝子が、肝臓・腎臓・膵臓・心臓などの細胞で見つかりました。これらの細胞レベルの時計がさまざまな組織の遺伝子の3〜10%の活性を制御します。
 2005年には時計遺伝子の変異が肥満やメタボの発症に関連することが分かりました。メタボは心臓病や糖尿病のリスクを高めます。体内時計と昼夜の周期が慢性的にずれている生活をしている人は代謝疾患・心血管疾患・胃腸疾患のリスクが高まります。血糖値の低下が起こるのは、肝臓がブドウ糖を作り出して血液中に分泌する時期を調節する通常のリズムが失われるためです。血糖値が過剰に上昇するのを抑えるインスリンは血液中からブドウ糖を取り込んで筋肉や肝臓に蓄積する反応を促進します。この正常な血糖値の維持に膵臓時計遺伝子が不可欠なのです。そしてこの乱れが糖尿病となります。このような働きをさまざまな組織に存在する体内時計が果たしています。正確に同時期に働いてカラダの恒常性を維持しているのです。

◆時計遺伝子を活性化して健康に
 近年、心臓や胃の病気、ガン、神経疾患、精神疾患など、多くの病気には日内変動の乱れが関連することが分かってきました。体内時計の最適な働きに関する知識を考慮した新たな医学をサーカディアン医学と呼びます。これを組入れることで健康増進や慢性疾患の予防が容易になるといいます。つまり、規則正しい生活、睡眠時間の確保、野菜食、魚介類や適度な動物性タンパク質食、適度な運動習慣、笑いの絶えない日常生活、ミネラル十分な水分補給などが末梢時計を刺激し、時計遺伝子が活性化されて、健康な毎日につながります。

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VOL.211『適度な運動の効果の新しい報告』 [生活]

◆運動が海馬を大きくする
 近年、日本では医療費が42兆円を超え、そのほとんどが高齢者への医療費です。そこで健康寿命を維持するために、適度な運動習慣が指導されています。
 2010年頃から世界各国で適度な運動の効果例が報告されており、運動と脳の海馬との関係では、運動能力が高い人は海馬の体積が大きいことが分かりました。2011年のピッツバーグ大学の報告によれば、運動が海馬を大きくするとのことです。平均年齢67歳の認知症のない健常者120人を2群に分け、1群には毎日40分のウォーキングをさせ、2群には運動させずにストレッチだけを週に3回、これを1年間続けた結果、運動群では海馬の体積が2%増加しましたが、非運動群では海馬の体積が1〜2%減少しました。この結果を受け、運動は高齢者の認知症予防になると結論しました。

◆イリシンという新規ホルモン
 また、運動と健康の効果についての論文では、筋肉内には未知なる物質ができる機構があり、運動するとその物質が放出されてカラダに良い影響を与えるという報告があります。運動すると筋肉から放出されるイリシンという新規ホルモンの発見は2012年にネイチャー誌などで発表されました。イリシンは白色脂肪細胞に作用し、褐色脂肪細胞に変えます。つまり、脂肪が燃焼し、蓄積した脂肪の蓄積を改善するということです。10週間運動を続けるとイリシン濃度は2倍になるといいます。動物実験でも、肥満で糖尿病状態のマウスにイリシンを注射したところ、血糖値とインスリン分泌量が改善され、体重も減少しました。日本でも、糖尿病患者とその予備軍577人を対象に、食事と運動療法を行う群と何もしない群に分けて、1986年から1992年まで続け、14年後の2006年に糖尿病状態を調査した結果、食事や運動療法を行った群では糖尿病の発症を予防したとの報告があります。
 しかしながら、激しい運動はカラダに悪影響を与えます。ヒトの心臓は生まれてから死ぬまでに20〜30億回拍動しますが、心臓を構成している細胞は終末分裂細胞と呼ばれ、子供の頃にすでに分裂が終了しています。ですから、たとえ心筋細胞が傷ついても補充することはできないのです。通常、大人の心臓は1分間に50回ほど拍動します。運動すると拍動数は増加するので、心臓に負担がかかります。子供の頃から激しいスポーツを続けたヒトの心臓はスポーツ心臓と呼ばれ、一般人よりも心拍数が少なくなります。
 スポーツ選手のエネルギーは運動代謝で消費されるので、筋肉中に蓄積されたグリコーゲンで内臓脂肪は消費されません。グリコーゲンを燃焼させると低血糖を起こし、激しい空腹感を覚えるので食事量が増します。現役中ならそのエネルギーを完全に消費できますが、40歳を過ぎる頃には運動量が激減するのでエネルギーが過剰になり、脂肪の蓄積が進んでしまいます。つまり、スポーツ選手は運動をやめると肥満になりやすく、スポーツ心臓になるということです。

◆適度な運動はいいことばかり
 心臓に負担をかけずに内臓脂肪を燃焼させるには、散歩などの適度な運動をすることです。歩くことでふくらはぎが第2の心臓となり、心臓に負担がかかりません。息が上がらない程度でウォーキングを続ければ、基礎代謝が高まり、内臓脂肪が消費されます。逆に歩かないと足の静脈に血液が詰まって血栓ができます。また、歩くことは肩こりや腰痛の解消にも効果があります。適度な運動は、脂肪細胞が分泌する悪玉アディポネクチンを減少させ、善玉アディポネクチンを増加させるので、インスリン抵抗性を低下させ、糖尿病状態が正常な状態に戻ってきます。
 適度な運動習慣は海馬の細胞を増やして脳を活性化し、認知症の予防につながり、糖尿病や生活習慣病の原因となるメタボの解消にもなることが科学的にも証明されています。また、心臓に負担をかけることがないので、心臓や血管系疾患の予防にもなります。

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VOL.210『病気を予防するカルシウムの働き』 [体]

◆骨や歯になるだけではない
 カルシウムといえば骨や歯の成分であることは知られていますが、他にも生命維持に直結した働きがあり欠かせない栄養素の一つです。
 カルシウムの大切な働きには心臓や脳を動かすための情報伝達機能がありますが、この機能が細胞分裂に関わることも知られています。精子と卵子が受精する時、精子の先端にはカルシウムが存在し、このカルシウムが信号となって受精した瞬間から細胞分裂が始まります。ですから、精子がなくても卵子にカルシウムを注入すればその信号が伝わって細胞分裂は始まります。これを処女生殖または単為生殖といいます。

◆カルシウム不足が招く疾患
 細胞分裂の盛んな組織、例えば、骨髄の造血細胞や腸管の上皮細胞などは放射線で障害されやすいのだそうです。この放射線からカラダを守るのが副甲状腺ホルモンです。副甲状腺ホルモンは細胞中のカルシウムを増加させ、細胞の分裂と増殖を促進させます。放射線によって障害された骨髄細胞や腸管上皮細胞が分裂増殖することで、放射線の被害から立ち直るという動物実験があります。ところが、副甲状腺ホルモンが細胞増殖を刺激する作用は両刃の剣で過剰に働くと、骨を溶かし出すスピードが増すのでカルシウム摂取不足では骨粗鬆症になります。遺伝性の病気で副甲状腺ホルモンが大量に分泌される原発性副甲状腺機能亢進症という疾患があります。この疾患ではガンの発生が増加します。副甲状腺ホルモンが長期にわたって過剰に分泌されるため細胞内のカルシウムが増加し続け、細胞分裂と細胞増殖が刺激され続けてガンが発症してしまうのです。
 食生活の中でカルシウム摂取が少なく、欠乏状態が続くと、腎臓の働きが低下するのでビタミンDの活性型ビタミンD3への変換が低下し、カルシウムの腸管からの吸収が低下します。同時に副甲状腺ホルモンの分泌が亢進するためガンが発症しやすくなります。
 また、カルシウム欠乏が続くと免疫機能も低下します。カルシウム摂取量が低下すると細胞内のカルシウム濃度が上がり、病原体を攻撃・排除する免疫担当細胞内にカルシウムが増えるため働きが低下してきます。すると免疫細胞間の情報伝達機能が混乱し、ガン細胞を攻撃するNK細胞の働きが低下するので、ガン細胞を見逃してしまい処理することができず、ガンが発生しやすくなるのです。つまり、カルシウム不足はガンの発症を助長することになります。カルシウム不足によって活性型ビタミンD3の働きが低下し、胃がんや大腸ガンになる人が増えます。カルシウムは食事中の脂肪酸と結合し、腸管内の老廃物の排泄を促進しますが、カルシウム摂取量が不足すると腸管内に大量の脂肪分が流れ、腸粘膜を刺激し続けるので大腸ガンの発生を助長します。
 カルシウム濃度は、細胞内液と細胞外液の間で1対10000の差があり、この割合が維持されていれば生理的に正常です。ところがこの割合が乱れ、細胞内のカルシウム濃度が増すと病気になります。細胞内にカルシウムが異常に入らないようにする薬がカルシウム拮抗薬です。カルシウムが細胞に入らないことで高血圧にも効果があります。また、抗がん剤としても有効です。

◆しっかり摂って健康を維持
 カルシウムを毎日しっかり摂り続ければ、細胞内にカルシウムが異常に入り込むことがないので、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれ、健康寿命が伸びます。さらに、吸収されないカルシウムが腸管内の老廃物と結合して糞便と共に排泄されるため、大腸ガンの予防となります。
 しかし、カルシウムは加齢と共に吸収力が低下します。カルシウムやビタミンDを大量に摂っても吸収性に優れているカルシウムでなければカルシウム不足になってしまいます。吸収性に優れているカルシウムを十分に摂取するように心がけ、同時にマグネシウムを摂取すればカルシウムの吸収を助けるのでカルシウム不足を防ぐことができます。

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VOL.209『子供のストレスは要注意』 [脳]

◆幼少期のストレスが健康に影響
 近年、脳科学の急激な進歩により、心と体の病気を引き起こすストレスについて解明されてきました。特に、幼少期の環境が極めて大きな要因となることが分かってきており、子供の頃の強いストレス体験が大人になってからのストレスに対する耐性を弱め、脳に障害を与えるというのです。
 子供の頃に虐待・いじめ・ネグレクト(育児放棄)などを受けた人の出来事を点数化し、子供時代のストレス量を集計した調査があります。同時に脳の扁桃体を調べたところ、幼少期のストレス量が多い人ほど、大人になってから扁桃体が敏感に反応することが分かりました。そのような人は毎日の不安や恐怖といった刺激に対し、実際に経験している以上により大きなストレスを感じたり、ストレス状態が長く続いてしまいます。

◆報酬系と扁桃体
 脳におけるストレスへの反応メカニズムは報酬系と呼ばれています。報酬系とは、人に快感を与える系列で、美味しいものを食べた時、お金がたくさん入ってきた時などに働く神経の興奮です。ヒトは常にこうした快感を与えてくれるものを追求することで意欲が高まります。このように脳内の報酬系が刺激され働く際に関与するのが扁桃体です。つまり、脳は辛いことが終われば報われたいし、快感を覚えます。これが報酬系です。
 ところが、子供時代に大きなストレスを受け続けた人は、この報酬系がうまく作動しません。通常なら、ストレスを受けた後には脳の報酬系が働いてストレス反応の暴走にブレーキをかけるのですが、報酬系の働きが低下しているので、ストレス反応が大きくなり長期化してしまうのです。
 子供の頃に虐待を受けた人が自分の子供を虐待するケースも少なくありません。これは、ストレス刺激によって遺伝子が傷つけられ、記憶として残っているためです。遺伝子が傷つけられると、若くても老化が進みます。細胞の年齢と実際の年齢の違いを測定してみると、ストレスを受けた子供では老化が早いことが分かっています。このような現象を遺伝子DNAのメチル化と呼びます。遺伝子のメチル化とは、遺伝子が老化した状態をいいます。細胞が分化して成熟すると、その後は細胞死に向かいます。これが細胞のメチル化です。ストレスを受けた子供の健康状態について調査した結果では、細胞の加齢と病気の発症に相関性が見られました。11〜12歳の子供を10年間にわたり追跡調査した結果でも、成人になってからのライフスタイル・家庭環境・家族との関係・健康状態など、全てにおいて遺伝子の老化傾向が見られました。強いストレスが遺伝子の老化を早めるようです。この傾向は40代、50代、60代になっても続き、心臓疾患や脳卒中・糖尿病・ガンなどになる確率も高くなっています。
 また、通常、ストレスホルモン値(コルチゾール)は朝に最も高く、寝る前に減少するのですが、強いストレスを経験するとコルチゾール値が変化しなくなります。子供の頃のストレスで体内の炎症反応が活発化し、コルチゾール値が減少しなくなるのです。

◆ストレスから子供を守ろう
 ストレスによる脳の傷は治らない傷ではありません。今日、ストレス社会から子供を守る研究が進んでおり、効果的なホルモン投与や生活環境の改善による脳の回復治療が行われています。また、子供の頃に受けた強いストレスは成人になっても長く影響することから、精神的治療も必要とされています。
 サルでの実験では、子供の頃に親から子育てを放棄されたサルは自分が親になっても子供を育てないことが証明されています。人間でも、虐待された子供は親になって自分の子供を虐待する傾向があります。このような連鎖は止めなければなりません。ストレスがさまざまな病気の素となることも分かっています。21世紀はガン対策よりもストレス対策が重要なのかもしれません。

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VOL.208『心房細動による疾患を防ぎましょう』 [体]

◆脳梗塞や心筋梗塞の原因になる
 近年、日本では高齢化が進み、加齢に伴う動脈硬化や高血圧症が同時に進行しています。これに関係するのが心房細動と呼ばれる心臓の不整脈です。心房細動によって心臓内に血栓が生じ、これが脳や心臓の血管を詰まらせ、梗塞を起こすことで脳梗塞や心筋梗塞が起こります。
 このような慢性疾患を予防するのに、心臓の冠動脈や脳動脈へのカテーテル医療法や血液をサラサラにして血栓をできにくくする抗凝固薬を用いる医療法があります。抗凝固薬は5年ほど前から使われ始め、予防法が画期的に進歩しました。抗凝固薬は服用を続けることが予防のために必要となりますが、予防薬の特徴としてその効果が明確でないため多くの人が途中でやめてしまいがちです。そうなると薬効が切れ、梗塞が起きる危険性が高まります。

◆高齢になると起こりやすい
 心臓は1分間に60〜70回という一定のリズムで収縮し、全身に血液を送り出しています。ところが、年齢を重ねると原因不明の不整脈が生じてきます。不整脈とは1分間に300〜400回の非常に速い頻度で脈拍が生じ、収縮力が弱まります。すると心臓では血液の流れる速度が非常に遅くなり、血液の流れが滞って、よどみが生じるので血の塊である血栓が心臓にできやすくなる、この状態が心房細動と呼ばれる不整脈です。
 60歳を過ぎる頃からこのような現象が急激に増加します。血栓は、たとえ血液がドロドロでなくても血液の流れが遅ければできてしまいます。さらに血管壁が傷ついていれば、何かの拍子に血管内に血栓が剥がれ落ち、それが血流によって脳に運ばれ、そこで血管を詰まらせれば、脳梗塞が起きてしまいます。心房細動が原因で発症する脳梗塞は心原性脳塞栓症と呼ばれ、多くの場合その後の社会復帰が困難なほど重篤化します。心房細動の50%以上は自覚症状が全くありません。つまり、ある時突然に脳梗塞を引き起こすのです。その時になって初めて心房細動に気づいて見つかったりします。
 心房細動を引き起こす最大の原因は加齢です。60歳を過ぎると心房細動に罹患する確率は急速に上昇し、70代以降では3%以上となります。同時に高血圧や肥満、糖尿病などのメタボの人でも多くなります。心臓は1日に10万回も拍動しています。脈拍の回数やリズムの変化に気をつけ、自分で気づくようにしましょう。

◆自分の体の変化に注意しよう
 抗凝固薬は血管内に血栓ができないように血液を固まりにくくする薬です。そのため何らかの理由で出血した場合にはその対策が必要となります。高齢になると、転倒したり、つまずいたり、何かにぶつけたりして出血することが増えます。この時、抗凝固薬を服用していると止血が難しくなりますし、処置が遅れることで致命的になることもあります。特に注意が必要なのは頭を打った時で、高齢者は皮膚の毛細血管自体がもろくなっており、同時に脳内の血管壁が薄く破れやすくなっているため脳出血を起こしやすいのです。
 日本は高齢化が進み、健康を維持することで健康寿命を延ばすことが求められています。そのため、毎日の食事内容・適度な運動習慣・睡眠時間の確保・脱水症状を起こさないための十分な水分補給など日常生活でのケアが極めて重要となります。また、高齢者のいる家庭では慢性疾患の病名や服用している薬の名前などの情報を共有することも大切です。
 心房細動によって、心臓の収縮が行われず血流が滞ることで、心房内に血栓が形成されます。その血栓が血流に乗って脳に運ばれれば脳梗塞を起こし、心臓に運ばれれば心筋梗塞を起こします。これが心原性塞栓症であり、死に直結する病気です。そうなる前に自分の体の変化を見落とさないように心がけ、酸素たっぷりの水分を十分に摂り、血液や血管を元気に保ちましょう。

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VOL.207『遺伝子のスイッチを良い方向に変えよう』 [生命]

◆遺伝子という設計図
 ヒトは60兆個の細胞(最近では37〜40兆個と言われています)によって成り立ち、その細胞ひとつひとつに生命があります。器官や臓器は300種類以上の異なる細胞からできており、それぞれの細胞が助け合って臓器を動かし、臓器同士も助け合いながらカラダを生かしています。
 その働きの中心になるのが遺伝子です。遺伝子は細胞の核に存在し、遺伝情報という設計図で各細胞を働かせます。遺伝子は自分のコピーを作り、自分の生存を最優先にし、自分の子孫を残すことを優先します。つまり、遺伝子は基本的に利己的なのです。また、遺伝子には細胞自体が自殺するプログラムも初めから組み込まれています。例えば、傷ついた細胞は自ら死んでいく、これをアポトーシスといい、生を継続するための利己的なシステムです。

◆ヒトは1億分の1のエリート
 ヒトは、まず精子と卵子が受精して受精卵となり、子宮内で胎児は発育し、出産後は成長して成人になります。受精する際には1億個以上の精子が先を争って1つの卵子を目指します。そのうちいちばん早く卵子に到達した精子だけが、卵子の膜を破って入ることができます。その瞬間に卵子の膜は変化し、他の精子は入れなくなります。つまり、誕生したヒトは1億分の1のエリートなのです。
 その後、母体の胎内で38週間を経て、20〜30億個の細胞数で生まれます。最初の段階は魚に似た形から両生類、爬虫類を経て哺乳類の特徴が出てきて人間へと進化します。その情報の源が遺伝子で、その遺伝情報が書き込まれたDNAはそれぞれの細胞核内の染色体に収納されています。染色体には22種類の常染色体と男女の性を決定する性染色体があります。これをヒトゲノムといいます。
 遺伝子にはタンパク質をつくる暗号(設計図)が書かれています。この暗号によって器官や臓器になるタンパク質が絶妙なタイミングでつくられるので、DNAは生命の設計図と呼ばれます。

◆笑いというポジティブな心が遺伝子を変える
 遺伝子には、永遠に同じ活動を続けるものもあれば、それまで眠っていたのに何らかの刺激で目覚めて働き出すものもあります。逆に活動していた遺伝子が休眠したりもします。つまり、遺伝子の働きは固定されたものではなく、条件次第で働き方を変える余裕があるということです。例えば、健康になるための遺伝子や才能を伸ばす遺伝子が眠っていれば、それらのスイッチをオンにして、起きて働いている病気を引き起こす遺伝子や、狂暴性を発揮する遺伝子などのスイッチをオフにすることができれば、人生は大きく変わります。
 では、どのようにしてスイッチは切り替えられるのでしょう。1つは、熱・圧力・張力・訓練・運動などの物理的要因です。2つ目は食物と科学的要因(アルコール・タバコ、環境ホルモン:ダイオキシン・発ガン物質など)、3つ目はストレスやショックなどの精神的要因です。具体的には、喜び・愛情・感動・感謝・祈り・笑いなどのポジティブな心は良い方向に遺伝子のスイッチを刺激し、悲しみ・苦しみ・恐怖・不安・恨み・意地悪などのネガティブな心は悪い方向に遺伝子のスイッチを入れるという研究が進んでいます。
 笑いというポジティブな心が糖尿病や高血圧、ガンの発症を抑制するという研究結果があります。これは思いの強さや心の持ち方が遺伝子を良い方向に変えることを示しています。人生を楽しむには健康であることが一番です。良い方向に遺伝子のスイッチを変えて活性化し、人生を楽しみましょう。

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VOL.206『大腸ガンを予防しましょう』 [生活]

◆人は腸から老いる
 近年、健康寿命を維持し、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症・ガンなどの病気を防ぐために糖質(炭水化物・糖分)を制限する食事が注目されています。食事による老化防止です。
 日本では、昔から「人は腸から老いる」と言われています。腸(大腸・小腸)は食物を消化し、栄養分を吸収してエネルギー源にし、残った老廃物を便として排泄します。また、食事と同時に取り込んだ細菌やウイルスなどの病原体や食品に含まれる化学物質なども無毒化して体外に排出します。このように、腸には腸管免疫と呼ばれる働きがあります。ヒトの防御システムである免疫の60%以上が腸(小腸)に集まっているので、腸が健康でないと老化が進んだり、病気になったりします。長寿で知られるギリシャ・クレア島には世界最古のオリーブの樹があり、脂肪摂取量が多いにもかかわらず心血管系疾患による死亡率は低く、大腸ガンになる人もあまりいません。また、山梨県の長寿村では高齢者の腸内細菌中に悪玉菌の割合が低く、食物繊維や発酵食品が多い腸に良い食事、いわゆる「腸寿食」を摂っていることが分かりました。日常生活で腸に良い食事をすることで腸の負担を減らし、健康寿命を維持して老化を防いでいるのです。

◆腸は第2の脳
 腸内環境を悪化させる原因として食生活の変化やストレスがあります。例えば、ストレスを感じればお腹が痛くなりますし、環境が変化すれば便秘にもなります。つまり、心身のストレスが腸に大きく影響を与えるのです。ストレスを感じると腸の蠕動運動が減少します。蠕動運動には腸内に1億個ある神経細胞が関与しています。そのため腸はセカンド・ブレイン(第2の脳)と呼ばれます。
 腸の神経細胞は独立したネットワークで消化器官と協調して働いて便意を起こし、食物の消化や分解に欠かせない酵素とホルモンの分泌を促します。2007年、世界ガン研究基金のガン予防のまとめ論文によれば、メタボである肥満や内臓型脂肪は大腸ガンの発症に大きなリスク要因となると言い、さらに、高血圧や糖尿病、ガンを併発すると言います。
 メタボの発症は中年期以降、加齢とともに増加する傾向にあります。アメリカでも肥満の大腸ガン患者は正常体重の人と比較して死亡率と再発のリスクが高いそうです。アメリカ対ガン協会によれば、毎年15万人以上が大腸ガンと診断され、肥満は大腸ガンの危険因子であるだけでなく生存率を低下させ、特に女性よりも男性の方が予後が悪くなると言っています。

◆カルシウムとマグネシウムが重要
 腸にとって、最も良いミネラル成分はカルシウムとマグネシウムです。これらはどちらも生命維持に欠かせない成分で、例えば、カルシウムをせっかく摂取してもマグネシウムが不足していると骨や筋肉が作れませんし、腸の働きが低下してしまいます。マグネシウムは25〜60%が小腸から吸収され、大腸で水分を吸収して便を軟らかくする働きがあり、便秘予防に有効です。ニガリや岩塩・硬水・昆布・納豆・ゴマなどに多く含まれており、摂取の目安は1日あたり340mgです。また、神経の働きを助け、腸ストレスを除き、体温や血圧の調節や細胞内エネルギーに関与します。
 前述の世界ガン研究基金によれば、カルシウムは大腸ガンのリスクを低下させる栄養素であると言います。脂肪摂取量が増えると胆汁分泌量が増し、その主成分である胆汁酸が大腸ガンの引き金になります。カルシウムには胆汁酸に吸着し、便中に排泄して大腸粘膜を正常に保つ機能があります。同時に水分補給することで腸の蠕動運動を亢進するので、便秘の解消にもなります。カルシウムとマグネシウム、良い水を十分に摂取し、大腸ガンにならない体を作りましょう。

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