So-net無料ブログ作成
検索選択

VOL.206『大腸ガンを予防しましょう』 [生活]

◆人は腸から老いる
 近年、健康寿命を維持し、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症・ガンなどの病気を防ぐために糖質(炭水化物・糖分)を制限する食事が注目されています。食事による老化防止です。
 日本では、昔から「人は腸から老いる」と言われています。腸(大腸・小腸)は食物を消化し、栄養分を吸収してエネルギー源にし、残った老廃物を便として排泄します。また、食事と同時に取り込んだ細菌やウイルスなどの病原体や食品に含まれる化学物質なども無毒化して体外に排出します。このように、腸には腸管免疫と呼ばれる働きがあります。ヒトの防御システムである免疫の60%以上が腸(小腸)に集まっているので、腸が健康でないと老化が進んだり、病気になったりします。長寿で知られるギリシャ・クレア島には世界最古のオリーブの樹があり、脂肪摂取量が多いにもかかわらず心血管系疾患による死亡率は低く、大腸ガンになる人もあまりいません。また、山梨県の長寿村では高齢者の腸内細菌中に悪玉菌の割合が低く、食物繊維や発酵食品が多い腸に良い食事、いわゆる「腸寿食」を摂っていることが分かりました。日常生活で腸に良い食事をすることで腸の負担を減らし、健康寿命を維持して老化を防いでいるのです。

◆腸は第2の脳
 腸内環境を悪化させる原因として食生活の変化やストレスがあります。例えば、ストレスを感じればお腹が痛くなりますし、環境が変化すれば便秘にもなります。つまり、心身のストレスが腸に大きく影響を与えるのです。ストレスを感じると腸の蠕動運動が減少します。蠕動運動には腸内に1億個ある神経細胞が関与しています。そのため腸はセカンド・ブレイン(第2の脳)と呼ばれます。
 腸の神経細胞は独立したネットワークで消化器官と協調して働いて便意を起こし、食物の消化や分解に欠かせない酵素とホルモンの分泌を促します。2007年、世界ガン研究基金のガン予防のまとめ論文によれば、メタボである肥満や内臓型脂肪は大腸ガンの発症に大きなリスク要因となると言い、さらに、高血圧や糖尿病、ガンを併発すると言います。
 メタボの発症は中年期以降、加齢とともに増加する傾向にあります。アメリカでも肥満の大腸ガン患者は正常体重の人と比較して死亡率と再発のリスクが高いそうです。アメリカ対ガン協会によれば、毎年15万人以上が大腸ガンと診断され、肥満は大腸ガンの危険因子であるだけでなく生存率を低下させ、特に女性よりも男性の方が予後が悪くなると言っています。

◆カルシウムとマグネシウムが重要
 腸にとって、最も良いミネラル成分はカルシウムとマグネシウムです。これらはどちらも生命維持に欠かせない成分で、例えば、カルシウムをせっかく摂取してもマグネシウムが不足していると骨や筋肉が作れませんし、腸の働きが低下してしまいます。マグネシウムは25〜60%が小腸から吸収され、大腸で水分を吸収して便を軟らかくする働きがあり、便秘予防に有効です。ニガリや岩塩・硬水・昆布・納豆・ゴマなどに多く含まれており、摂取の目安は1日あたり340mgです。また、神経の働きを助け、腸ストレスを除き、体温や血圧の調節や細胞内エネルギーに関与します。
 前述の世界ガン研究基金によれば、カルシウムは大腸ガンのリスクを低下させる栄養素であると言います。脂肪摂取量が増えると胆汁分泌量が増し、その主成分である胆汁酸が大腸ガンの引き金になります。カルシウムには胆汁酸に吸着し、便中に排泄して大腸粘膜を正常に保つ機能があります。同時に水分補給することで腸の蠕動運動を亢進するので、便秘の解消にもなります。カルシウムとマグネシウム、良い水を十分に摂取し、大腸ガンにならない体を作りましょう。

v206.jpg

VOL.205『風邪と薬』 [健康]

◆治すのは自分の中の免疫力
 冬は朝晩が寒く、乾燥した日々が続くので、風邪をひく人が増えます。最近ではコンビニでも風邪薬を売っているので、咳・発熱・喉の痛みなどの症状があれば気軽に薬を買うことができます。しかし、これらの薬を飲んでも風邪の根本原因を取り除いてくれるわけではないので症状は良くなりません。特に、風邪の場合は原因が多種多様なので、薬で直接治すものはありません。本当に治すのは自分のカラダであり、カラダの持つ自然治癒力なのです。徐々に回復してくるのは元の健康な状態に戻そうとするカラダが持っている免疫力によるものです。
 抗生物質や抗ガン剤・抗菌剤などは病気の原因と直接戦う薬ですが、これらの薬は医薬品の中でも例外的なものです。

◆医療用医薬品と一般用医薬品
 一般的に風邪薬は総合感冒薬と呼ばれ、どれもそれほど差はありません。通常は誰もがなじみ深いものを服用する場合が多く、親の代から飲んでいるものを使います。新しい薬の製造コストを考えると、古くから飲んでいる薬で十分とされ使い続けています。自分にはこの薬が良く効くと思って飲めばプラセボ効果で実際に効き目が高まります。このような総合感冒薬の成分は、鼻や喉の炎症を抑える作用のある抗炎症剤・鼻水を抑える抗ヒスタミン剤・咳を抑える効果のある鎮咳剤・呼吸を楽にする気管拡張剤・痰がからむのを抑える去痰薬などが主に調合されています。風邪薬を売っている薬局では、本人の喉の痛みや鼻水・発熱などの症状を聞いて、店の薬剤師がその症状に特化した風邪薬を推薦しますが、風邪の原因は不明で、症状も異なる上に、症状が出てからの日数も各々違うことから明確には判断できないのが実情です。風邪の場合、近所の病院の外来に行っても同様です。そこで、風邪の症状別に風邪薬を用意することが多くなります。
 医療用医薬品は病院で処方箋をもらい、処方箋薬局で処方される医薬品のことです。一般的に薬の効き目が強く、その分副作用もあるため、医師の処方箋によって薬の飲み方が指導されます。一方、ドラッグストアなどで自由に変える風邪薬などは一般用医薬品と呼ばれ、医療用医薬品に比べて効き目は弱いけれども、安全性が高いことが重要視されています。これらはカウンター越しに販売されるためにOTC(Over the counter)と呼ばれます。医療用医薬品と一般用医薬品では流通経路や価格設定の仕方が異なります。医療用医薬品は健康保険が適用され、薬価も公定ですが、一般用医薬品は製薬会社が自由に価格設定できます。また、一般用医薬品は広告が認められていますが、医療用医薬品は宣伝することができません。

◆ウイルスに負けないカラダをつくろう
 現在、風邪薬は全て対症療法です。風邪は呼吸器で炎症を示す疾患の総称で、病原体は単一ではありません。そこで、よく喉の風邪とか、お腹の風邪などと表現されますが、これらは全て別々の病原体によって起こるのです。ウイルスにも多数の型があり、有名なインフルエンザウイルスも風邪の一つです。
 風邪の病原体は数100種以上もあり、ほとんどはウイルスです。しかし、全てのウイルスに対して抗ウイルス薬を作り出すことはできないのが現状です。今日、新興感染症と呼ばれる新しいウイルスが世界中に次々と発症しています。これらのウイルスはヒトを介して感染するので爆発的に世界中で拡大する可能性を秘めています。現在、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が毎日ニュースになっています。これがヒト型のインフルエンザ(すでに中国ではヒト型インフルエンザウイルスが発見されている)に変異し、増殖することでパンデミックが起これば大変なことになります。
 たかが風邪と軽視せず、直ちに医師の診断と治療を受けることをお勧めします。風邪の対策には水分補給が重要です。良い水を飲み、寒さに負けず風邪予防しましょう。

v205 (2).jpg

VOL.204『毎日飲んでいる水がカラダをつくっている』 [水]

◆水に含まれる成分は重要
 21世紀になり、ヒトの遺伝子の解析が進むと、全ての病気は遺伝子(ゲノム)で発症するジェネティクスによって決まるとされていましたが、今日では生活習慣が要因であるエピジェネティクスによって決まることが解ってきました。また、カラダを構成するのは60兆個の細胞とされてきましたが、近年、この数は訂正されて37〜40兆個となっています。
 細胞は中も外も水で満たされています。カラダを構成している水を維持するために、良い水を飲み続け、良質な成分で細胞を満たすことができれば、病気になりにくくなります。逆に、悪い水が細胞に作用し続ければ遺伝子は傷つき、慢性疾患やガンなどの病気を引き起こす細胞へと変異する確率が上がります。水に含まれる成分は極めて重要だということです。

◆なぜ水にはこだわらないの?
 カラダを維持するためにヒトは毎日2.5ℓの水を飲み、その後に尿や汗として排泄します。また、水は食物とともに口から摂取され、腸で吸収されます。腸は栄養を吸収する器官であり、体内で最大の免疫器官でもあります。カラダを元気にするには腸を元気にすることで、そのための水の条件はカルシウムやマグネシウムをほどよく含むことです。カルシウムには腸の蠕動運動を活発にする働きがあり、マグネシウムは糞便を柔らかくして排便力を高め、便秘を防ぐ働きがあります。汚れた腐敗物質が腸内に長く留まることがなければ、免疫力が高まるので、病気を防ぎ、老化を遅らせことができます。
 一般的に、食事を変えれば健康状態が変わり、健康を維持できることは誰もが知っています。ところが、水を良質なものに変えることを意識している人はそれほど多くありません。
例えば、母親の胎内にいる胎児は90%が水分で、赤ちゃんもカラダの80%は水分です。成人になれば体重の60%が水分であり、高齢になっても50%は水分です。若さを失うとともにカラダから水分が抜けていくので、その分シワが増えます。老化とは、カラダの細胞から水分保持能力が失われていく現象でもあります。いきいきと現役生活を続けている人は水にこだわっています。水の飲み方に意識を向けるかどうかでその後の人生が大きく違ってくるのです。
 水は腸から吸収され、体内に入ると、血液やリンパ液となってカラダをめぐる体循環となります。体循環によって栄養素や酸素が運ばれ、エネルギー代謝で使われた老廃物は体外に排泄されます。また、水は体温を一定に保ち、体内の浸透圧を常に正常範囲内に保つので、カラダの恒常性が維持されます。血圧や血糖値のバランスを常に一定に保つように働き、細胞内液や細胞外液のバランスを一定に保ちます。

◆カルシウム豊富な水を飲みましょう
 つまり、水は体内を循環しながら体内機能に乱れがないように、一瞬も止まることなく働き続けているのです。カラダをつくる水とは、生命を支える水です。そして良い水とは、酸素をたっぷり含み、ミネラル成分がバランス良く含まれている水です。逆に、カラダに良くない水とは、酸素を含まない蒸留水や純水、加熱沸騰させた後に冷ました白湯などです。これらの水は生理活性が失われています。
 カルシウムを豊富に含む水は弱アルカリ性です。昔から世界中で酸素を含む弱アルカリ性の水は奇跡の水と呼ばれていました。この水が、病気を防ぎ、病気を治し、老化を防いで若さを維持する長寿の水として知られています。つまり、奇跡の水とはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を豊富に含む水であり、日常的に飲むことで健康寿命が維持されるのです。

v204 (2).jpg

VOL.203『高血圧や動脈硬化の原因はカルシウム不足』 [体]

◆メタボは要注意
 今日、肥満は生活習慣病(メタボ)の代名詞とされ、特に内臓脂肪型肥満のリスクが高いとされています。内臓脂肪型肥満では血管の動脈硬化により高血圧・糖尿病・高脂血症を起こしやすくなります。
 脂肪細胞は主にエネルギーを蓄積する役割を持ちますが、アディポネクチンという生理活性物質も分泌します。アディポネクチンには動脈硬化を防ぐ善玉成分と、インスリンの効き方が悪化し動脈硬化を促進する悪玉成分があります。肥満でない状態ではアディポネクチンがバランス良く分泌します。ところが内臓脂肪が過剰に蓄積すると善玉が減少し、悪玉が増えて高血圧や動脈硬化、血糖値の上昇、インスリンの効き方の悪化が生じ、生活習慣病に進行します。つまり、メタボな体型のまま放置しておくと血管壁が狭くなり、動脈硬化が起こって心筋梗塞や脳卒中などの慢性疾患になりやすいということです。

◆高血圧と動脈硬化
 高血圧と動脈硬化は深い関係にあり、高血圧であれば動脈硬化になり、動脈硬化であれば高血圧になります。高血圧が続くと動脈の太い血管も障害を受けますが、毛細血管はさらに強く障害を受けます。傷ついた血管は脆くなり、血管内で出血が起きたり、詰まったりする箇所が増えます。
 高血圧や動脈硬化の原因の一つは塩分の摂り過ぎです。塩分の多い食品を摂取すると、血液中のナトリウム量が増え、これを体内の水分が薄めます。すると、血液中の水分が増えて血管が膨らみ、血管壁が圧迫されるため血圧が上昇するのです。
 血管は平滑筋という筋肉からなり、これが収縮すると血管は狭くなり、拡張すると広がります。平滑筋は自律神経のコントロール下にある筋肉なので、カラダの必要に応じて収縮したり、拡張したりしています。血管平滑筋が収縮して高血圧になるのはカルシウム不足が原因です。血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれています。そのためカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムを溶かし出して補います。この時必要以上のカルシウムが溶け出してしまうのです。すると血管の細胞内に余分なカルシウムが取り込まれ、蓄積します。カルシウムの摂取が十分であればこのようなことは起こらず、高血圧にもならないのです。
 塩分摂取量が少なければ細胞の水分量が一定に保たれるので、細胞内外のカルシウムイオンのバランスは乱れません。ところが、塩分摂取量が増すと細胞内にナトリウムイオンが増え、ナトリウムイオンを細胞外に出してカリウムイオンと交換することができなくなるためナトリウムイオンとカルシウムイオンの交換が起き、カルシウムイオンが細胞内に取り込まれてしまうのです。その結果、細胞内にカルシウムイオンが増えるので高血圧になります。

◆カルシウムは命の炎
 このようなメカニズムからカルシウムの摂取不足や塩分の摂り過ぎが、高血圧や動脈硬化の原因と考えられています。この傾向は加齢とともに強くなっていきます。つまり、健康寿命を維持することは、毎日がカルシウム欠乏との戦いでもあり、人間の宿命とも言えます。これは人類の進化の過程に起因します。人類の先祖である生命体は海中で生存していて、カルシウムイオンを細胞内1に対して細胞外1万の比率にしたり、骨や歯に99%、血液中に1%の割合を常に一定に維持するバランスを整えました。これは奇跡のバランスと呼ばれ、こうすることで生命の恒常性が維持されているのです。これが『カルシウムは生命の炎』と言われる所以です。

v203.jpg

VOL.202『慢性腎臓病になっていませんか?』 [体]

◆慢性腎臓病の怖さ
 今日、中高年齢者に肥満や動脈硬化、高血圧、糖尿病を引き起こすメタボリックシンドロームになる人が増えています。厚生労働省によれば40〜70歳の男性2人に1人がメタボの予備軍とされ、さらに脳血管疾患のリスクを高める慢性腎臓病が2000万人以上いると言われています。
 腎臓病はかなり進行するまで自覚症状が表れません。ですから健康診断で尿に異常があると指摘されても、軽く考えて放置しがちです。しかし、自覚症状が表れてからでは遅いのが腎臓病の怖さで、気づいた時にはすでに慢性腎臓病になっているかもしれないのです。慢性腎臓病になると高血圧・脳卒中・心臓病・脳血管疾患を起こして死に至る場合もあります。

◆腎臓の働き
 腎臓は2個あって、重さ150gのそら豆型をした臓器で、心臓から送られてきた全血液の余分な水分や老廃物をろ過する働きがあります。つまり、汚れた血液をクリーニングする場所です。腎臓内で血液をろ過する装置を糸球体と呼びます。糸球体は毛細血管が集まった糸毬のような構造で、1日150ℓ ほどの血液をろ過します。150ℓ 中には水分・糖・塩分に加えてカルシウムやビタミンなどミネラル成分の栄養素が含まれており、その99%は尿細管で再吸収されて血液中に戻され、残りの1%が尿として排出されます。尿は血液から作られるのです。
 腎臓は生命を維持するために、環境の変化に対して体内環境が変化しないように体温を常に一定に保ったり、ミネラル成分の排泄や再吸収を調節して、体液の量と電解質バランスが一定に保たれるように調節しています。体液の量が多くなると血圧が上昇し、少ないと血液循環が滞ります。体液は各細胞が生きていくための栄養素で、このバランスが変動すると細胞は正常に働けなくなります。体液は常にpH7. 35〜7. 45の弱アルカリ性に保たれています。この体液の弱アルカリ性を保つのがカルシウムイオンです。
 また、腎臓は造血作用にも関与しています。腎臓では、ビタミンDが紫外線を浴びることで活性型ビタミンD3に変換し、カルシウムの吸収性を高めます。活性型ビタミンD3の関与が低下するとカルシウムの吸収性が低下し、骨が脆くなって骨粗鬆症を引き起こします。
 腎機能が慢性的に低下した状態が腎不全です。この腎不全の機能を回復させる治療法が人工透析です。医療の進歩の中で最も輝かしい一つに人工透析があります。この治療法によって腎不全でも生存が可能になったのです。週3回の人工透析で血液中の老廃物が除去され、尿毒症の症状を抑えます。しかしながら人工透析でも腎臓のすべての働きを代行することはできません。重要なホルモンであるエリスロポエチンは作れませんし、カルシウムの吸収性を高めることはできないのです。ですから、腎不全では免疫力・抵抗力が低下し、ガンのリスクが高まり、記憶力や認知機能などの脳の働きも低下します。つまり、腎機能の働きを維持することで健康長寿になるということです。

◆腎臓に負担をかけない
 腎臓への負担を軽減し、腎臓を長持ちさせるためには、水分摂取量を増やし、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を十分に補給することです。太古の昔、生物は海から陸に上がるように進化しました。この時最も進化したのが腎臓です。海水とヒトの体液は成分が似ており、この機能を腎臓内に取り入れ、体液中のカルシウム濃度とも関連させました。
 沈黙の臓器と呼ばれる腎臓は休まずに働き続けています。生命維持に極めて重要なため2個用意されているのですが、負担がかからないような生活習慣が望まれます。

v202 (2).jpg

VOL.201『ゲノム編集という超最新技術』 [生命]

◆ゲノム編集とは
 近年、遺伝子(ゲノム)の解析が進んでおり、遺伝子を操作する遺伝子工学や生命科学の分野では過去に類を見ない驚異的な技術革新が起きようとしています。
 例えば、自分の顔や身長・体型・性格・知能・運動能力・体質などが不満な人はたくさんいます。これらの一部を自分の思い通りに変えることができたら、別の自分に生まれ変わることができたらと誰もが思います。また、自分は無理でも生まれてくる子供には、誰より逞しく・賢く・美しく・健康体で良い人生を送って欲しいと望む親もたくさんいます。それを実現するのがゲノム編集という超先端技術です。この技術で医師や研究者、科学者は狙った遺伝子をピンポイントで修正する可能性が出てきました。自然界には存在しない神の技術と言われる人類創造です。そのゲノム編集の研究開発が急速に進んでいるのです。

◆ゲノム編集の可能性
 植物や動物の遺伝子を操作する遺伝子組換え技術は1970年代から始まりました。ところがこの遺伝子組換え技術は、1個の遺伝子を組換えるために1万〜100万回の実験を行い、やっと狙った通りの組換えができるという精度の低さや、膨大な費用・期間を要することが問題でした。これに対し、ゲノム編集では狙った遺伝子を構成する塩基をピンポイントで削除し、書き換えることができます。つまり、遺伝子の設計図であるDNAを自由自在に置き換えることができるのです。
 最新鋭のゲノム編集技術(クリスパー)は、高校生でも数週間で使えるようになると言われるほど簡単で取り扱いやすい技術で、従来の遺伝子組換えに要していた時間やコストも劇的に短縮されました。クリスパー技術では動物や植物のDNAも操作することができるので肉量を大量に増やす家畜や魚、あるいは腐りにくい野菜などを作ること、難病患者の治療に役立つ病気を動物(サル)で発症させることもできます。
 クリスパー技術の基礎研究は日本や欧米など世界各国で急速に進んでおり、近い将来には難病患者の治療に適用されます。特に、遺伝子の変異による遺伝病は、特定の遺伝子が明確な場合には治療しやすい状態になっています。クリスパーによるゲノム編集は、遺伝子治療やiPS細胞、細胞移植治療などとの組合せも適用できます。京都大学iPS細胞研究所では、世界の医療機関と共同で筋ジストロフィーやエイズなどの難病患者を遺伝子レベルで根治させるゲノム編集の治療法の研究を進めており、一部はすでに臨床試験に入っています。この技術は各種のガン・糖尿病・アルツハイマー病などの病気の治療にも応用できます。これには世界的ハイテクIT企業が様々な病院や研究機関と連携し、医療ビッグデータを先端AIでパターン解析して複雑な病気の原因遺伝子や発症メカニズムを解明しつつあります。

◆不安と希望
 しかし、医療への応用は危うい側面と表裏一体にあることも事実です。この技術を使うことで人類の改良が起きるかもしれないからです。例えば、骨を強化して骨折予防したり、心臓病にならない体質にするなど特定遺伝子を選択し、クリスパー技術を使って改良することで人類を強化することが可能だからです。お肌の老化を防いで若返ることもできます。さらに、生まれてくる赤ちゃんを受精卵の段階でゲノム編集すれば、高い知識や強靭な肉体、美貌を兼ね備えたデザイナー・ベビーを親の意図的感情で作り出すこともできます。これは技術的には可能でも倫理的には許されません。そこで、2015年12月の国際会議でヒト受精卵のゲノム編集は基礎研究に限定し、臨床研究は禁止することが採択されました。
 今、人類は神の領域に足を踏み入れようとしています。この技術が地球上に存在する生命体や生態系に与える影響は計り知れません。その中で、中国が倫理的に反して低レベルではありますがヒトでの臨床試験の実施を報告し、世界的に強い非難を浴びています。技術の進歩は歓迎すべきですが、人類に正しく役立つように使用されることを願うばかりです。

v201.jpg

VOL.200『脳を活性化させる神経幹細胞』 [脳]

◆新しく増え続ける神経幹細胞
 脳の神経回路の働きは成人を過ぎると衰える一方だとか、毎日数千個の細胞が破壊されているなどと言われますが、最近の研究では、決してそんなことはないということが分かりました。人の脳は500万年にわたる進化の過程で変化し続け、その環境に適応していくために特別な装置を組み込んできたのです。
 脳の中には、今も新しく増え続けている神経細胞があります。それが神経幹細胞です。神経幹細胞は5〜50億個存在し、脳細胞全体の5%を占めています。海馬という記憶を生み出している場所では神経幹細胞が日々新しくニューロン(神経回路)を作っています。つまり神経幹細胞とは、記憶を作り出すためにある特別な仕組みなのです。脳はどんなに歳を重ねても幸福を感じ続けていたいために成長し、進化し続けているのです。

◆活力を失っているだけ
 近頃、若い人の話についていけないとか、自分には到底縁のないジャンルの話に対して参加する気持ちが起きないなど、興味も好奇心もなく、物忘れが多くなる…これは脳細胞が壊れたのではなく、神経細胞が萎縮してきた兆候です。脳細胞の数は変わりませんが、活力を失ってきているのです。かつて、脳細胞は1日に10万個以上死滅するとか、一切生まれ変わらないという俗説がありました。しかし、脳細胞の数は健康であれば劇的に減ることはありません。大部分の脳細胞は生まれ変わらないのですが、唯一海馬の歯状回では日々生まれ変わり、新生ニューロンを増やしているのです。急激に脳細胞が減少するのはアルツハイマーやパーキンソン病などの慢性的な病気です。
 脳細胞は、樹状突起と呼ばれる神経突起がシナプスという回路を使って情報伝達します。歳をとると、この神経細胞1つ1つのパワーが低下し、信号や刺激が伝わるスピードが落ちてきます。つまり、神経細胞の処理能力が落ちて気力や活力が低下するので、脳が衰えたと感じるのです。脳が衰えるスピードを遅らせるには脳に刺激を与えることです。物事に感動するとか、仕事や趣味に夢中になるとか、新しいことにチャレンジするのがいいでしょう。このような刺激を受けると脳は、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を分泌させ、脳細胞を活性化させます。脳はいつでも新鮮で驚きのある刺激を求めているのです。いつもと違う変化や予期しない出来事に対応することが生じると、脳細胞は今まで使ったことがない別の神経回路を使って情報を処理します。別の神経回路を使うことで新しい神経回路が伸びるのです。新しい出会いや感動が毎日をイキイキと過ごす脳の栄養源となるので、若々しく輝いて見えるようになります。

◆新しいことにチャレンジしてみよう
 新生ニューロンは神経幹細胞が作ります。そして、新生ニューロンの活性化を補助する役割を担うのが神経伝達物質のGABAです。GABAは既存の神経ニューロンに対しては落ち着かせるように抑制的に働きますが、若いニューロンに対しては興奮させ活動を高めるように働きます。また、GABAの刺激を受けることで神経幹細胞は神経ニューロンへと成長します。神経幹細胞に対してGABAは必要不可欠な栄養素です。新生ニューロンの働きは記憶力の向上であり、思考力・発想力・意欲などを高め、嫌な記憶を消し、ストレスに対して抑制的に働き、適応力を高めるなどです。
 今日、神経幹細胞の存在が確認されているのは海馬の歯状回・脳室・大脳新皮質の3カ所です。ところが、新生ニューロンになるのは海馬の神経幹細胞のみです。今まで経験したこともない難問や、新しい課題にチャレンジすると、今まで使っていた神経回路では間に合わないので、新しい神経回路が作られ、気力が高まります。脳を活性化し、認知症を予防するために、新たな刺激を求めたり、新しいことにチャレンジして脳の神経幹細胞を増殖させ、活性化してみませんか。

v200.jpg

VOL.199『ヒ素の毒素について』 [生活]

◆ヒ素とは
 最近、築地市場の移転先となる豊洲市場の施設の地下に空洞があり、そこに溜まった地下水にヒ素成分が含まれていることが分かりました。
 ヒ素は複雑な物質で金属と非金属の中間の性質を持つ元素です。そのため、電気を通したり、通さなかったりという半導体の性質を持ち、自然界ではさまざまな鉱物として存在します。
 古代から顔料として使用され、鮮やかな赤や黄色はエジプトでは古い墳墓の装飾に使用されました。毒や薬としても使用され、紀元前4世紀頃には潰瘍に効果があるとされ、中国では膿傷や腺病の治療に用いられました。その後、伝承薬として中国やインドから世界各地に広がりました。

◆さまざまな顔を持つ物質
 1786年からイギリスで本格的に薬剤として使用し始め、19世紀末までマラリア・結核・喘息・糖尿病・頭痛などに効く万能薬とされていました。また、強壮剤としての効果も認められており、1940年には梅毒の治療薬として有効性を示しました。その後、世界初の化学療法剤として、ネズミに噛まれた傷やワイル病・イチゴ腫に有効とされました。
 ヨーロッパには古くから致死量を超す二酸化ヒ素(毒性の強い亜ヒ酸化合物)を直接食べている農村地域がありました。ヒ素を摂取することで健康障害が消え、消化能力や性的能力が亢進し、顔色が良くなるという理由からです。体内に入ったヒ素は皮膚表面の血管を傷害するので顔が赤くなります。この効果がヨーロッパでは美肌効果として化粧品に利用され流行しました。日本でも化粧品として江戸時代から昭和初期まで歌舞伎役者や遊郭関係者が肌色を白くするのに使用していました。
 ヒ素は無味無臭という特徴から暗殺用の毒として古代ローマから流行しました。しかし、髪の毛に高濃度で蓄積する特徴を持つため証拠として残ります。日本では古くから小説や演劇で暗殺に使われる毒の代名詞のように用いられ、実際にヒ素を使った殺人事件も起きています。1955年の森永ミルク事件は粉ミルクにヒ素が製造過程で媒介として混入し、岡山県を中心に130人以上の乳児が死亡し、1万3000人が被害に遭いました。
 また、農薬、シロアリ対策、木材の腐敗防止、ペンキ塗料などにも大量使用されました。現在では環境毒性が指摘され使用禁止となっています。また、古い建物を壊す時にも汚染物質が出ると言われています。戦争でもその毒性から劣化ウラン弾・枯れ葉剤・鉛弾などに多量に使用されました。発ガン性もあり、皮膚ガンは19世紀頃から発生していました。ヒマラヤ山脈やチベット高原などの鉱山から流れ出るヒ素を含む水は、ガンジス川やメコン川に流れ込み、下流の国ではその水を飲料水や農業用水、地下水として使用するため環境汚染被害が拡大しています。

◆安全なの?
 近年、レアメタルの有効性や希少性が注目され資源価値が高騰したことで、ヒ素を含むレアメタルが増産されています。そのせいで途上国ではヒ素化合物が飲料水や農業用水に混入しています。日本では1971年、宮崎県土呂久ヒ素公害事件で慢性ヒ素中毒が出ました。肝臓や腎臓の疾患により死者が出て平均寿命も39歳とされました。村落住人はヒ素の毒性によって美肌美人が多かったそうです。
 ヒ素は海産物に高濃度で含まれ、タンパク質と結合しやすく、細胞内で呼吸に関する酵素を阻害します。海産物を多く摂取する日本人は体内のヒ素レベルが高いのですが、有機ヒ素は体内で代謝され尿から排泄されるため、毎日摂取しても問題にならない濃度です。ヒ素化合物は体内で酵素活性に影響を与えないため、微量のヒ素毒性なら全く問題はありません。
 現在、環境庁によればヒ素化合物による健康被害が起こる危険性はないと言います。今後豊洲の地下水問題がどのように進展するのか見守っていきたいと思います。

v199 (2).jpg

VOL.198『便秘とその対策』 [体]

◆便秘の人が増えている
 近年、欧米食の一般化によって日本では便秘になる人が増加傾向にあります。2013年の厚生労働省の調査で、便秘の人は480万人とされ、特に70歳以上の高齢の女性に多いことが分かっています。男性の便秘も増えており、同時に下剤依存症でもあるようです。
 便秘には明確な定義はありませんが、排便が週に1回程度で、下剤を使わなければ排便できない状態の人が便秘症とされます。また、排便は毎日あるがお腹が張る・便が出てもスッキリしない、また1日おき程度で排便はあるがガスが出ない、お腹が張って痛い・苦しいなど、腸内フローラ環境の悪化による腸の不調を訴える人が急激に増えています。このような人は停滞腸と呼ばれ、便秘症ではないが排便力が弱っています。大腸内にガスが溜まり、ガスが胃を圧迫して働きが悪くなると、腸の蠕動運動の低下や逆流性食道炎につながります。
 排便とは便を介して老廃物を排出することです。食物に含まれる栄養素は吸収され、有害成分や体内に生じた毒素は老廃物となって大腸に運ばれます。この老廃物が大腸内に長時間とどまると大腸ガンの原因になります。老廃物の蓄積は血液の悪化や代謝の障害を起こし、腹部の膨満感や腹痛の原因となり、むくみ・冷え性・肌荒れ・ニキビ・体臭などの症状を起こします。

◆腸内フローラと蠕動運動
 便秘は腸内環境が悪化している証拠で、腸が正常に働いていないことを示します。腸内にはウェルシュ菌などの悪玉菌が増え、免疫力が低下して老廃物を排出できません。腸内細菌は食事から栄養素を摂取し発酵を促進し、さまざまな代謝物を産生します。これがガス(おなら)で悪臭成分の素となります。食物繊維は腸内細菌の栄養で短鎖脂肪酸を生成し、悪玉菌の増殖を防止してガスの発生を抑制します。
 腸の周りには1億個以上の神経細胞が集合し、脳や脊髄からの指令を受けずに独自に蠕動運動を起こします。腸の蠕動運動は食物の消化吸収の役割を持ち、便意を起こし、食物の分解、酵素やホルモン分泌を促します。また、腸は他の臓器に直接指令を出すことから、第2の脳とも呼ばれます。腸の蠕動運動は腸管内に内容物が通ると、その近くの神経細胞が感知し、腸管を動かす指令を筋肉に伝え腸管の収縮と弛緩の動きで内容物が移動します。
 家では排便できるのに会社や出張先では緊張して排便できない人がいます。これは自律神経の副交感神経が抑制的に働くためです。自律神経は心臓の鼓動や体温調節のように自分の意思とは無関係に働く神経のことで、カラダを活動の方向に導く交感神経と、安静の方向に導く副交感神経があります。リラックスすると副交感神経が優位に働いて、腸の蠕動運動が活発になり、排便を促します。それに対して緊張して交感神経が優位になると、蠕動運動は鈍くなり排便が抑制されます。
 ストレスや生活習慣の乱れで交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になると便秘になります。ストレスが過剰になると精神的な不調がそのまま腸の不調になり、便が溜まり、お腹が張って、腹痛となります。神経細胞の数は脳の次に腸が多いそうです。

◆便秘を予防する
 便秘を予防する方法の一つは、朝食をしっかり摂ることです。朝、食物繊維や水分補給をすることで腸の蠕動運動が活発になります。食物繊維は不溶性と水溶性を2対1の割合で摂取できます。イタリアでは子供の便秘予防としてスプーン1杯のオリーブオイルを飲ませます。オリーブオイルの中のオレイン酸が効果的なのです。日本では植物性乳酸菌を多く含む味噌・醤油・漬物やマグネシウムを多く含むニガリ成分などが有効とされています。マグネシウムはストレスで消費しやすいのでたっぷり摂取しましょう。
 なお、トイレでの便意にはロダンの考える人のポーズが有効で、蠕動運動を促進するそうなので便秘の人は試してみてはいかがでしょう。

v198 (2).jpg

VOL.197『高血圧の原因、カルシウム不足』 [高血圧]

◆高血圧は塩分の摂り過ぎ?
 日本人の2〜3人に1人は高血圧です。高血圧は加齢(60歳以上になると急増する)とともに血圧が上昇する病気です。若い頃の血管には弾力があるため、心臓からの圧力が上昇しても柔らかな血管によって高血圧にはなりません。
 血圧が高い人に医師はまず、食塩の摂り過ぎを指摘し、塩辛い食品を食べるのを控えるように指導します。1980年以前は、40代から高血圧による脳卒中で死亡する人が多く見られ、原因は塩分の摂り過ぎにあるとされていました。昔から塩分の摂り過ぎが高血圧を引き起こすことが医学の常識だったからです。確かに、塩分の大量摂取はカルシウムの尿中排泄を促進するので、カルシウム不足を助長し、高血圧や動脈硬化を引き起こす原因ではありました。

◆血管とカルシウム
 心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をします。血管壁は平滑筋からなり、内腔を広げたり狭めたりして調節しています。血管壁の弾力性が失われると血液が血管を押し拡げる力、つまり血圧が高まります。これが動脈生高血圧です。血管に対して加えられる強い力である収縮期血圧(上の血圧)よりも、常に血管に対して加わっている拡張期血圧(下の血圧)の方が血管にかかる負担は大きいのです。高血圧で恐ろしいのは拡張期血圧の方で収縮期血圧ではないのです。収縮期血圧を決めるのは心臓の収縮で、拡張期血圧を決めるのは平滑筋の状態、つまり、動脈内腔の広さです。平滑筋に障害があると、血管内腔は狭くなり、血液が通りにくくなるので拡張期血圧が上昇します。
 平滑筋は自律神経がカラダの必要に応じて収縮させたり弛緩させているので、自分の意思で動かすことはできません。カルシウムを摂取すると平滑筋は収縮します。逆にカルシウムが細胞から外に出ると、再び筋肉は弛緩します。つまり高血圧の本当の原因は血管内壁の平滑筋の細胞内にカルシウムが入ることで、血管が収縮することなのです。
 カルシウムは、常に食事から摂取していないとすぐに不足します。血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれ、生命の恒常性を維持しています。カルシウム不足によってこの濃度が低下すると、心臓や脳の働きが悪化し、生命維持が難しくなります。この異常を防ぐために副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが溶け出して補います。すると血管内に余ったカルシウムが過剰となるため、血管内壁にカルシウムが付着し、一部は平滑筋細胞内に入り込んで血管内壁が硬くなります。硬くなった血管を収縮させるため血圧が上昇するのです。高血圧の原因、つまり血圧の上昇はカルシウム不足によって発生するのです。

◆カルシウムを十分に摂りましょう
 最近、アメリカで行われた大規模試験の栄養調査によると、高血圧の人は正常血圧の人に比べてカルシウムの摂取量が少なかった一方、塩分摂取量には差がありませんでした。つまり、塩分の摂り過ぎよりもカルシウム不足の方が影響を与えていることが分かったのです。しかし、塩分摂取量が増すとカルシウムの尿中排泄量が増えるので、結果、カルシウム不足となります。
 血圧を下げる薬にカルシウム拮抗薬があります。この薬はカルシウムを反応するのではありません。電位の変化でカルシウムが細胞内に入るのを阻害する薬です。高血圧は細胞内のカルシウムが増加することが原因なので、この薬はその増加を防ぐ薬なのです。
 生まれつき血圧が高いラットの系統は遺伝的にカルシウム欠乏です。このラットにカルシウムを与え続けると細胞内カルシウムが減少し、血圧が下がります。日本人も遺伝的に高血圧になりやすいようです。高血圧になると血圧降下剤を飲み続けなければなりません。高血圧になる前にカルシウムを毎日十分に摂取する習慣を身につけましょう。

v197.jpg