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VOL.213『21世紀型の感染症』 [健康]

◆増加傾向の感染症
 一般に世界3大感染症と呼ばれているのは、マラリア・結核・エイズ(AIDS)で、これらは毎年100万人以上が死亡する恐ろしい感染症でした。そんな中、最近ではマラリア対策が進み、死者は年間65万人ほどに低下しました。マラリアの原因はマラリア原虫という微生物で、結核は結核菌、エイズはHIVウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)です。
 これら3大感染症とは別に、毎年100万人ほどが命を奪われている感染症が増加傾向にあります。それは呼吸器感染症と呼ばれる肺炎・下痢症・腸炎です。

◆下痢症・肺炎について
 ヒトは体の60〜70%が水分です。その水分を急激に奪うのが下痢症で、死亡のリスクも低くありません。特に、小児や高齢者が下痢症になると重篤な病気になることが多いので注意が必要です。WHOでは子供の下痢症を起こすロタウイルスのワクチン接種を奨励しており、日本でも小児科学会がワクチン接種を指導していますが、定期的接種には至っていません。高齢者(75歳以上)では冬場にノロウイルスによる腸炎が重篤化し、死に至ることがあります。ノロウイルスはロタウイルスと違って有効なワクチンがありません。有効な治療薬がないので、老人ホームや介護施設で流行すると死亡のリスクが高まります。下痢症は体の水分を奪う病気で、治療の根幹は失った水分を補給することです。
 日本人の死因の1位はガンで、2位が心筋梗塞や脳梗塞などの心臓・血管系疾患、3位が肺炎です。肺炎の原因は種々ありますが、主なものは細菌です。この細菌にも肺炎球菌・インフルエンザ菌・マイコプラズマ・レジオネラ菌など多種多様な菌があります。さらに、インフルエンザウイルス・RSウイルスなど多種のウイルスも原因となり、過敏性肺炎や間質性肺炎のように感染症でないものもあります。
 下痢症も大腸菌やサルモネラ菌、カンピロパクターなどの細菌が原因になるし、ノロウイルスやロタウイルスなどウイルスが原因にもなります。さらに、アメーバやジアルジアなどの寄生虫が原因となることもあります。

◆感染症の原因は多様化している
 このように、21世紀型の感染症は肺炎や下痢症、腸炎など原因が多種多様で複雑化しています。従来の感染症、例えば肺炎球菌なら抗生物質のペニシリンが効くペニシリン感受性肺炎球菌とペニシリンが効かないペニシリン耐性肺炎球菌に区別して治療できましたが、21世紀型の感染症はこれだけでは解決しません。そこで2008年、肺炎球菌の分類が変更されました。肺炎球菌の中でも肺炎を起こす肺炎球菌には抗生物質が効きますが、髄膜炎を起こす肺炎球菌には抗生物質が効きません。そのため分類を変え、治療法を変更しました。
 これらの違いは脾臓によることが最近の研究で判明しました。脾臓は左脇腹、腎臓と胃の間にある臓器で、日常的に脾臓の具合が悪いという人はいませんし、症状も現れませんが、感染症に対抗する免疫機能を持っています。しかし、交通事故や胃ガン、膵臓ガンなどの手術で血小板が減少すると、血液の病気の治療のために脾臓を摘出することがあります。すると感染症を引き起こしやすくなってしまうのです。特に、肺炎球菌に対して強い免疫力を持っており、攻撃・排除するのが脾臓なので、摘出した人は感染症を起こしやすくなります。すると、目やカラダの各部から出血し、多臓器不全を起こします。抗生物質を使用しても効果が見られず、みるみる体力が衰えて死に至るようなこともあります。
 近年、日本人の免疫力の低下が進んでおり、皮肉なことに、衛生環境が整備されたことも種々の感染症の発症の確率を急激に増加させる一因となっています。高齢者や小児の場合、重篤化するリスクが高いので、肺炎や下痢症、腸炎など身近に起きる病気に対して細心の注意を払い、早めに対処することが望まれます。感染症は新しい時代に入ってきたようです。


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VOL.205『風邪と薬』 [健康]

◆治すのは自分の中の免疫力
 冬は朝晩が寒く、乾燥した日々が続くので、風邪をひく人が増えます。最近ではコンビニでも風邪薬を売っているので、咳・発熱・喉の痛みなどの症状があれば気軽に薬を買うことができます。しかし、これらの薬を飲んでも風邪の根本原因を取り除いてくれるわけではないので症状は良くなりません。特に、風邪の場合は原因が多種多様なので、薬で直接治すものはありません。本当に治すのは自分のカラダであり、カラダの持つ自然治癒力なのです。徐々に回復してくるのは元の健康な状態に戻そうとするカラダが持っている免疫力によるものです。
 抗生物質や抗ガン剤・抗菌剤などは病気の原因と直接戦う薬ですが、これらの薬は医薬品の中でも例外的なものです。

◆医療用医薬品と一般用医薬品
 一般的に風邪薬は総合感冒薬と呼ばれ、どれもそれほど差はありません。通常は誰もがなじみ深いものを服用する場合が多く、親の代から飲んでいるものを使います。新しい薬の製造コストを考えると、古くから飲んでいる薬で十分とされ使い続けています。自分にはこの薬が良く効くと思って飲めばプラセボ効果で実際に効き目が高まります。このような総合感冒薬の成分は、鼻や喉の炎症を抑える作用のある抗炎症剤・鼻水を抑える抗ヒスタミン剤・咳を抑える効果のある鎮咳剤・呼吸を楽にする気管拡張剤・痰がからむのを抑える去痰薬などが主に調合されています。風邪薬を売っている薬局では、本人の喉の痛みや鼻水・発熱などの症状を聞いて、店の薬剤師がその症状に特化した風邪薬を推薦しますが、風邪の原因は不明で、症状も異なる上に、症状が出てからの日数も各々違うことから明確には判断できないのが実情です。風邪の場合、近所の病院の外来に行っても同様です。そこで、風邪の症状別に風邪薬を用意することが多くなります。
 医療用医薬品は病院で処方箋をもらい、処方箋薬局で処方される医薬品のことです。一般的に薬の効き目が強く、その分副作用もあるため、医師の処方箋によって薬の飲み方が指導されます。一方、ドラッグストアなどで自由に変える風邪薬などは一般用医薬品と呼ばれ、医療用医薬品に比べて効き目は弱いけれども、安全性が高いことが重要視されています。これらはカウンター越しに販売されるためにOTC(Over the counter)と呼ばれます。医療用医薬品と一般用医薬品では流通経路や価格設定の仕方が異なります。医療用医薬品は健康保険が適用され、薬価も公定ですが、一般用医薬品は製薬会社が自由に価格設定できます。また、一般用医薬品は広告が認められていますが、医療用医薬品は宣伝することができません。

◆ウイルスに負けないカラダをつくろう
 現在、風邪薬は全て対症療法です。風邪は呼吸器で炎症を示す疾患の総称で、病原体は単一ではありません。そこで、よく喉の風邪とか、お腹の風邪などと表現されますが、これらは全て別々の病原体によって起こるのです。ウイルスにも多数の型があり、有名なインフルエンザウイルスも風邪の一つです。
 風邪の病原体は数100種以上もあり、ほとんどはウイルスです。しかし、全てのウイルスに対して抗ウイルス薬を作り出すことはできないのが現状です。今日、新興感染症と呼ばれる新しいウイルスが世界中に次々と発症しています。これらのウイルスはヒトを介して感染するので爆発的に世界中で拡大する可能性を秘めています。現在、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が毎日ニュースになっています。これがヒト型のインフルエンザ(すでに中国ではヒト型インフルエンザウイルスが発見されている)に変異し、増殖することでパンデミックが起これば大変なことになります。
 たかが風邪と軽視せず、直ちに医師の診断と治療を受けることをお勧めします。風邪の対策には水分補給が重要です。良い水を飲み、寒さに負けず風邪予防しましょう。

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VOL.194『ロコモと熱中症を予防してこの夏を健康に』 [健康]

◆ロコモにならない!
 食生活の変化はさまざまな健康問題を引き起こしており、栄養バランスが崩れたり、ダイエットによる栄養失調が拡大しています。高齢者においては筋肉量の低下によるロコモティブシンドローム(ロコモ)が老化を加速させているといいます。
 高齢化する日本では、筋肉量を高めることがロコモの予防に欠かせません。筋肉は健康な生活を維持する上で運動器の役割を果たします。安静時の代謝は30%を筋肉が担っています。筋肉量は20代をピークに徐々に低下し、60代を過ぎる頃から急激に低下します。筋肉量の低下が老化も速め、生活習慣病の発症リスクを高めます。
 日本人は一般的に、朝食は軽めでタンパク質より糖質を中心に摂っています。朝食時に肉類などのタンパク質を摂るのは胃の負担になるという人は、肉類を少量にして魚類や大豆などのタンパク質を加えることをお勧めします。
 筋肉は筋タンパク質の合成と分解のバランスによって維持されています。食物からのタンパク質は消化され、アミノ酸に分解されて吸収されます。タンパク質を効果的に摂取することで筋タンパク質の合成が促進され、筋肉量が維持されます。筋肉量を増やし、合成するには必須アミノ酸の中でも特に、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるロイシン・バリン・イソロイシンが中心的な役割を果たします。分岐鎖アミノ酸を摂取することで血液中のアルブミン濃度が高まるので、筋肉の合成効果が進みます。血液中のアルブミン濃度が高い値で維持されると健康体を維持できます。筋肉量を増やすには運動をするのが一般的です。筋肉トレーニングは若い人には有効ですが、高齢者では散歩程度の適度な運動で十分で、激しい運動は、骨折したり心臓に負担がかかるなど、むしろ逆効果になりかねません。ミネラル成分を豊富に含む水や分岐鎖アミノ酸(サプリメント)を摂りながらの適度な運動が効果的です。つまり、運動と栄養素の摂取を組合せることで筋タンパク質が摂取できるのです。

◆熱中症にならない!
 最近は室内でも熱中症対策が必要となっています。熱中症は体内の水分や塩分量のバランスが崩れ、体温調節が働かなくなる状態で、大量の発汗・筋肉痛・吐き気・倦怠感が現れます。高齢者はすぐに脱水状態となり、元気がなくなって、トイレに行く回数が増えます。この症状が現れたら200〜400mlの水を飲みましょう。脱水症に気づくポイントは体重です。1週間で1〜2kg(4%)以上の体重減少があれば脱水症の可能性があります。汗がかけなくなって、体温が上昇するなど症状が強くなったら病院に行きましょう。
 水分を補充する場合、体内に水分やミネラル成分(電解質)が速やかに取り込まれることが望ましいので小腸から吸収されやすい成分、つまり、吸収性に優れたナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムなどミネラル成分が含まれていることが大切です。加えて、体内に水分として保持され、すぐに尿中へ排泄されない水でなければいけません。水分保存効果のある水が脱水症対策には優れており、効果を発揮できるのです。
 電解質バランスの優れた水とは、水に溶けた微量元素でイオン化しているので、電気伝導率が高いほど電気がよく流れます。つまり、電気伝導率が高い水は小腸からの吸収性に優れており、水分保持効率が高い水なのです。このような水をこまめに飲むことで熱中症を予防できます。サンゴカルシウムが溶けた水は電気伝導率が12660μS/cmであり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が豊富に含まれているので、小腸からの吸収性が最も高い水です。

◆健康に夏を過ごしましょう
 ロコモ予防のためにカルシウムを摂って骨密度を上げ、分岐鎖アミノ酸で筋肉量を増やし、こまめにミネラル成分豊富な水分を摂取することで熱中症対策をする、昼間の暑い時間は室内で休養し、朝と夜の涼しい時間には散歩をするなどの生活習慣で、熱中症や老化を防ぎ、健康に夏を乗り切りましょう。

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VOL.189『トコジラミ・マダニに要注意』 [健康]

◆トコジラミ
 近年、再興性衛生害虫と呼ばれるトコジラミ(ナンキンムシ)が引き起こす刺咬害が増えています。トコジラミは1940年代に殺虫剤(DDT)が普及し、全国的に駆除されたため、日本ではほとんど見られなくなり、感染症の報告もありませんでした。ところが、10数年前から急にこの虫に刺されて皮膚科を受診する人が増えだしたのです。トコジラミが再び増加した理由は海外からの渡航者の増加と見られています。海外から日本に来る人の手荷物とともに持ち込まれ、自宅に持ち帰ってしまうのです。
 トコジラミは、カジリムシ科に属するアタマジラミやコロモジラミ・ケジラミなどと混同されがちですが、カメムシ目(セミ・アメンボウ・カメムシ)の仲間で翅(はね)が退化し飛べない昆虫です。トコジラミの名前の由来は、寝床に居るシラミという英語名のbed bug(ベッド虫)です。昼間は暗くて狭いベッドやソファー・畳・絨毯などの隙間や裏側に潜んでおり、暗くなると這い出してきて人の呼気に含まれる二酸化炭素を感知し、就寝中のヒトに咬みついて吸血します。一度に大量の血液を吸うため、吸血時間は10〜20分と長く、虫体内は血液で満たされ、赤色でパンパンになります。初めて刺された時は痒みもそれほどなく、皮疹も現れないので気にしないことが多いのですが、刺される回数が増えるとアレルギー症状を発症して赤い皮疹となり、激しい痒みが生じるようになります。特に、若い女性は皮膚が柔らかい脇の下や腕・お腹などを刺されやすくなります。以前使われていた殺虫剤DDTは安全性に問題から使用や製造が中止されましたが、現在ある殺虫剤は効き目が弱い上に薬剤抵抗性のトコジラミが登場したことも増加の原因になっています。

◆マダニ
 国立感染症研究所によれば、昆虫やマダニなどの節足動物が媒介する感染症は、春から夏にかけて増加するとのことです。日本紅斑熱は細菌よりも小さなリケッチアを保有するマダニに刺されることで感染します。38〜39℃の高熱・頭痛・発疹などの症状が出ます。抗生物質で治療できますが、四肢の末端が壊死して肢の切断や、多臓器不全に至ることもあります。2000年以降は毎年100人の割合で増加しています。マダニは哺乳動物に刺咬して吸血し、動物からヒトへ感染します。海外からの渡航者によって持ち込まれることから、輸入感染症とも呼ばれます。
 マダニに刺咬されると2〜8日後に頭痛・全身倦怠・高熱の症状が出て、同時に手足に紅斑が発症します。病原体となるリケッチアはヒトの細胞内で増殖するので診断には抗体検査が必要となります。リンパ節の腫脹はありませんが、白血球が減少したり、肝機能の異常、DIC(藩種性血管内凝固症候群)で出血傾向となると重症化します。
 日本紅斑熱は紅斑熱リケッチアとも呼ばれ、ダニ媒介性疾患です。マダニは温暖な地域に生息し、夏をピークに増殖します。一生を通じて1〜3回哺乳動物やヒトから吸血し、幼虫から若虫、成虫へと脱皮を繰り返して、交尾と産卵を行います。親ダニから卵へ垂直感染するため幼虫でも有害なマダニとなります。

◆帰宅後は要確認!
 最近、日本への渡航者が急増し、荷物とともに再興性衛生害虫であるトコジラミやマダニが入り込んでいます。知らないうちに持ち込まれることが多いので、帰宅後には十分に荷物や洋服などへの付着の有無を確認し、体に刺された跡があれば直ちに専門医の診断を受けましょう。

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VOL.188『リンゴ病が増加しています』 [健康]

◆リンゴ病とは
 近年、子供の両頬が発疹で赤くなる通称『リンゴ病』(伝染性紅斑)が増えています。この感染症は5〜9歳の子供に最も多く発症しますが、大人もかかる病気です。原因はパルポウイルス科エリスロウイルス属のB19ウイルス(ヒトパルポウイルス)で赤血球の膜表面の受容体(レセプター)に感染し、増殖します。10〜20日の潜伏期間を経て、リンゴのように頬が赤くなります。発疹はいったん消えた後再び発現します。成人では紅斑を認めないことが多く、手足の発疹や全身の倦怠感、関節炎の症状がでます。妊婦が感染すると胎児にも感染し、重度の貧血、胎児死亡、流産、早産、体内水腫などを起こします。このウイルスは春から夏にかけて増殖する傾向にあるので今の時期は注意が必要です。

◆今年は大流行の恐れ
 リンゴ病は、感染した人の咳やくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ったりして、ウイルスが体内に侵入すると、発熱やだるさなど、インフルエンザに似た症状がでます。続いて特徴的な赤い発疹が出ますがその頃には感染する恐れはなくなります。国立感染症研究所では4〜6年周期で流行があり、2015年は10万人の報告があり、1999年以降で最多となりました。今年は3月上旬の時点で
すでに高い水準にあり、さらなる流行が懸念されています。例年の流行は6〜7月で、気温の上昇に伴って増えることが予測されます。
 9歳以下の子供に多く見られる感染症ですが、大人での実態はよく分かっていません。大人の場合、症状が出ないこともある一方、激しい関節痛(疼痛)が数週間以上持続する場合があり、重症化する恐れもあります。2015年に大流行した京都では、大人の感染者が多く、その症状は、朝の起床時に手指が曲がらないほどむくみを感じ、その数時間後には手首や足首に痛みが走り、立って歩けないほどとなり、ハサミや包丁も握れず、家事ができなくなる。車の運転も無理になり、室内で寝ているしかなくなる。加えて、関節の痛みから関節リウマチかと思い、心配になってインターネットで調べても分からず、専門病院に入院し、数日後に抗体検査からリンゴ病だと分かるなどという例が多数ありました。リンゴ病は大人がかかる病気と思っていない人が多く、頬に発疹も出ないことから、そのうち治ると思っているうちに家族に感染させてしまうこともあるようです。
 リンゴ病には特別な治療法がないため、厚生労働省では妊婦向けにパンフレットを作成して注意を呼びかけています。医療関係者の間でも大人のリンゴ病への認知度は低いので、リンゴ病と診断確認されるまで数週間かかることもあります。原因ウイルスは20nm(1nmは10億分の1m)と極めて小さく、ヒトのみに感染するウイルスです。リンゴ病に感染すると、赤血球の寿命が急激に短くなり、溶血性貧血など悪性の血液疾患を起こしたり、急性の重症の貧血症状を起こすこともあります。また、リンゴ病だけでなく、他の疾患にかかることもあります。しかし、ウイルス検査に健康保険が適用されるのは妊婦のみとなります。

◆大人は要注意
 夏に向かって暑くなる時期に、インフルエンザや風疹に似た症状が出た場合には、早めに病院を受診しましょう。子供はリンゴのように赤い頬になるので直ちに小児科で治療すれば重症化しません。重症化が心配されるのは大人で、激しい関節痛を伴う恐ろしい感染症です。また、妊婦や妊娠が確認できない初期は流産や早産の恐れがあるので十分な注意が必要です。
 最近は海外からの渡航者が多く、未知のウイルスが持ち込まれるケースが増えています。帰宅後には必ず手洗い・うがいを励行し、マスクの使用などの習慣を身につけましょう。

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VOL.182『ジカ熱って?』 [健康]

◆流行が深刻化
 2016年になってから中南米などで蚊が媒介する感染症『ジカ熱』が猛威を振るっており、ブラジルではすでに150万人が感染しています。WHO(世界保健機関)は最大400万人が感染する恐れがあると警告し、2月1日にはスイスのジュネーブで緊急委員会が開催されました。
 ジカ熱はジカウイルスによる感染症で、1947年ウガンダの森林に生息するアカゲザルから初めて確認されました。その後、1954年にナイジェリアで人への感染が確認され、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島、2013年にはフランス領のポリネシアで確認されました。今回は、中南米を中心に25の国と地域に広がっており、今までに例がないほど深刻となっています。

◆ジカ熱とは
 ジカウイルスはデング熱や日本脳炎を引き起こすウイルスの仲間で、ウイルスを体内に持つ蚊に刺されることで感染が起こります。このウイルスを媒介するのはネッタイシマカですが、日本でも北海道を除く地域に生息するヒトスジシマカから感染する可能性があります。人から人への感染はないものと思われていましたが、アメリカでは性交渉による人から人への感染が報告されました。
 国立感染症研究所によれば潜伏期間は3〜12日とみられ、発熱・筋肉痛・眼球結膜充血・皮疹・関節痛などの症状が出ます。現在のところ有効なワクチンがないため、感染症の封じ込めが急務となっています。予防ワクチンや有効な治療薬はありませんが、通常、症状は軽く2〜7日位で治り、後遺症もほとんどありません。感染に気付かなかったり、症状が出ないこともあるようです。
 ジカ熱は、症状が軽く感染自体に気づかない人も多く見られる一方、小頭症を発症する新生児が急増しています。2015年10月以降418人が報告され、新生児68人が死亡しました。そのため、ブラジル保健省は妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症には関連があると発表しましたが、WHOでは調査中であるとしており、そのメカニズムはまだ解明されていません。アメリカ疾病対策センターは妊娠中の感染に関して、詳細な調査結果が出るまでは流行地域への妊婦の渡航は控えるように注意を促しています。

◆気をつけること
 2月にブラジルで行われるリオのカーニバルには100万人以上の観光客が見込まれ、その半年後にはオリンピックが開催されることから、保健衛生局では蚊の駆除や撲滅に躍起になっています。カメや瓶の中に水が溜まっていれば、蚊の幼虫であるボウフラが繁殖することから、水が溜まりそうなものを排除するなどの対策がとられています。ブラジルとアメリカの大統領は緊急の電話会談でワクチン開発の協力で一致しました。
 日本でも厚生労働省が注意を呼びかけています。2013年以降、フランス領ポリネシアやタイからの帰国者3人が現地で蚊に刺された後帰国して発症した例もあり、今年は夏にブラジルでオリンピックが開催されるため、流行地域への行き来が増えることが予想されることから、妊婦はなるべく渡航を控えるべきと言っています。
 ジカウイルスは感染力が強く、日本人は欧米人と同様に免疫力が低下しているので感染しやすく、発症しやすくなっています。また、人から人へも感染する可能性が出てきているため、妊婦だけでなく、免疫力が低下している高齢者や幼児、基礎疾患のある人は感染すると重症化することが予想されますのでご注意ください。

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VOL.177『ノロウイルス対策にラクトフェリン』 [健康]

◆ノロウイルスとは
 毎年、11〜2月頃にかけて猛威を振るうのがノロウイルスです。カキなどの二枚貝を不十分な加熱で食べたり、感染者の便や嘔吐物に触れることで感染します。今年は新型が流行する可能性も指摘されており、注意を喚起しています。毒性は従来型と変わりませんが、ほとんどの人に免疫がないため多くの人が感染する恐れがあります。
 ノロウイルスは感染力が強く、激しい嘔吐や下痢を引き起こします。特に、体力の弱い高齢者や乳幼児・慢性疾患のある人は重症化する可能性があります。治療薬はなく、有効なワクチンもありません。アルコール消毒でもウイルスは死なないため、予防には手洗いや調理時の衛生管理を徹底しましょう。

◆ラクトフェリンとは
 最近、ノロウイルスに対してラクトフェリンに予防効果があるという報告がありました。ラクトフェリンは哺乳動物の乳汁中に多く含まれており、ヒトの母乳、特に出産後数日間に分泌される初乳に最も多く含まれます。母乳以外にも唾液や涙・鼻汁などの外分泌液、粘膜液、白血球である好中球に存在し、外部から侵入する細菌やウイルスを攻撃・排除する防御因子の1つです。出産後5日までの母乳には100mlあたり600mg、3週間以降も200mgのラクトフェリンが含まれています。殺菌前の牛乳にも含まれていますが、濃度はヒト母乳の10分の1程度です。
 ラクトフェリンは1929年に発見され、鉄と結合しやすい特性で赤みを示すことから、牛乳の赤いタンパク質とも呼ばれます。生理機能は生体防御やビフィズス菌の増殖、鉄吸収の調節、抗炎症作用、脂質代謝の改善、健康増進・維持などが知られています。2015年の国際ラクトフェリン会議では、実験で消化分解したラクトフェリン消化物にウイルスの増殖を抑制する働きがあったと発表されました。ラクトフェリンにはウイルスの殻(自らを包む殻を破らないと増殖できない)を破る酵素を阻害する働きがあるといいます。現段階では抗ウイルス作用のメカニズムは解明されていないので、ラクトフェリン摂取でウイルス感染が完全に防げるわけではありませんが、感染のリスクは減弱します。週4日以上ラクトフェリンを摂取したらノロウイルスの感染率が下がったという研究報告もあります。

◆ラクトフェリンの予防効果
 ラクトフェリンは加熱処理していないナチュラルチーズにも多く含まれています。感染予防に役立つ目安の摂取量は1日当たり100mgです。ナチュラルチーズなら毎日100g程度摂取すれば良いことになります。ラクトフェリンは強力な抗菌活性を持っています。細菌の生育には鉄が必要なのですが、ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで細菌の増殖を抑制します。免疫系が未熟な新生児はラクトフェリンを多く含む初乳によって、外敵の病原体から守られます。
 またラクトフェリンは、肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヘルペスウイルス・サイトメガロウイルス・白血病ウイルスなどの複製(増殖)を阻害します。ラクトフェリンが消化管粘膜に結合することでノロウイルスやロタウイルスの粘膜細胞への侵入を防止し、発病を緩和します。これはラクトフェリンが腸管内の腸管膜リンパ節やパイエル板という免疫系に関係する細胞に作用し、NK細胞やマクロファージを活性化するためです。さらに免疫細胞であるB細胞やT細胞の増殖も促進します。
 ノロウイルスやロタウイルスの感染を予防するためにラクトフェリン入りのヨーグルトを摂取することで、効果は未知数ではありますが、感染しても重症化を防げることが期待できます。ただ、牛乳や乳製品を摂取すると下痢や腹痛を起こす乳糖不耐性の人やアレルギーの子供はラクトフェリンに対する抗体が低濃度にできているので注意が必要です。

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VOL.171『痛風や高尿酸血症に気をつけましょう。』 [健康]

◆プリン体とは
 日本人は健康意識が高い国民です。例えば、夏には汗をかき疲れやすいのでスタミナ食を多く摂ります。そして冷たいビールが元気の素となります。しかし、これらの食品にはプリン体が多く含まれており、痛風や高尿酸血症のリスクが高まる危険性があります。
 そこで最近では、プリン体ゼロの発泡酒や食品の販売が増えていて、プリン体は悪玉のイメージが定着しています。ところがプリン体は、体内でも生成される生命維持には必要不可欠な物質なので、問題は過剰摂取にあるのです。プリン体を毎日過剰に摂取すると、成人の20〜30%が痛風や高尿酸血症になります。

◆痛風・高尿酸血症
 プリン体は遺伝子の構成成分やエネルギー源になり、食品のうまみ成分でもあります。食品中のプリン体は代謝分解され、最終的には尿酸となり、尿中から排泄されます。食品中に多く含まれ体内でも作られるので、過剰摂取や高カロリー食が原因で、7.0mg / ㎗以上の尿酸値が持続した場合には危険信号となります。
 血液中の尿酸値が上がると高尿酸血症となります。すると、関節内に尿酸が沈着して針状の尿酸結晶を形成し関節内を刺激するため、激しい痛み(痛風)を発症します。また、血液中の尿酸結晶は、腎臓のろ過機能を持つ糸球体や再吸収機能の尿細管に沈着して、腎臓機能障害や尿路結石・腎結石・膀胱結石を発症し、尿路結石は激痛となります。また、それらが心臓や脳に移行すると虚血性疾患や脳血管障害の症状を発症します。
 体力をつけようと肉類や脂分の多いスタミナ食を過剰摂取して内臓脂肪が増加すると、尿酸合成が増加します。散歩のような適度な有酸素運動をすれば尿酸量は減少しますが、激しい運動は組織や筋肉を刺激・破壊するので却ってプリン体を増やします。つまり、スタミナ食を食べて過激な運動をすることは、高尿酸血症や痛風の発症を招くだけでなく、高血圧や糖尿病の発症リスクも高めるということです。それに飲酒習慣が加われば、プリン体が過剰となり、尿酸合成は促進されるのに、尿中への放出量が減ってしまうようになるため、ほとんどの人が高尿酸血症になってしまいます。当然、高尿酸血症の状態を数年間放置すれば痛風発作や腎機能障害、心疾患を引き起こします。痛風発作は尿酸の結晶が関節内に沈着して足の親指や手首・足首に激しい痛み、腫れ、発赤、発熱が起きます。24時間がピークで1週間から1ヶ月ほど続きます。また、腎臓から膀胱の間の尿管に尿酸結石ができると激しい痛み発作となるため、病院での手術が必要となります。

◆予防するには
 基本的にはプリン体摂取を1日400㎎に抑え、適度な運動や規則正しい生活習慣、十分な水分補給をすることが大切です。
 プリン体を多く含むレバー・イワシ・白子・アンコウの肝・エビ・カニ・ヒラメなどの摂取は肥満やメタボの原因にもなります。プリン体を多く含む食品の摂取を制限し、禁酒することが予防の原則です。プリン体を多く含む食品や美食家が好む食品には酸性食品が多いのです。一方、野菜やアルカリ性食品は尿酸を溶かして尿酸沈着を防ぎます。また最近では、尿酸値を下げる働きとしてプリン体を栄養素に変える乳酸菌PA3株を含むヨーグルトが商品化されています。これらを積極的に摂取し、プリン体を多く含む食品や飲酒量を減らして痛風や高尿酸血症を予防しましょう。

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VOL.168『この夏の熱中症対策』 [健康]

◆熱中症とは
 関東では7月10日頃まで雨が続きましたが、翌日からは晴れて急激に気温が上昇し、38℃を超えた地域もありました。このような梅雨明け前後に急増するのが熱中症です。炎天下の屋外で活動している人はもちろん、室内にいる人でも発症する場合があります。
 熱中症は、気温が高い状況下で体が適応できずに体内の水分や塩分などのミネラルバランスが乱れて、体内の調整機能が正常に働かなくなり、体内に熱がこもってしまう病気です。多くは救急搬送され、昨年2014年には6〜9月の4ヶ月間で5万9000人以上と過去最高となりました。高齢者では重症化すると死に至ることもあります。

◆高齢者は特に注意しましょう
 全国の医療機関によればこの時期、熱中症の患者数は40万人以上にもなるそうです。そのうちの50%以上を60歳以上の高齢者が占めています。70歳以上になると入院率が70歳未満の約3倍となり、重症化しやすく死亡率は4倍となります。高齢者の場合、加齢とともに暑さに対する感じ方が鈍くなるため、水分補給が遅れ脱水状態になりやすく、体力や免疫力も低下するせいで熱中症にかかりやすいのです。また、節約の意識が高いため、室内が暑く湿度も高いにもかかわらず、エアコンの使用を控える人が多いのも原因の一つです。高齢者は体で温度変化を感じ取りにくいので、室温が28℃を超えた場合にはエアコンを使う方が良いでしょう。
 日常生活の中で高齢者が熱中症を発症しても、周囲の家族が気付いた時にはすでに症状が進行しているケースが多いので、暑い日が続いた時にお年寄りの元気がなくなったり、食欲がなくなった場合には軽い熱中症の疑いがあるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
 家族や周囲の人に熱中症が疑われる症状が出たらどうしたら良いでしょうか?めまいや吐き気などの症状に気付いたら、まず意識の有無を確認します。意識がなければすぐに救急車を呼びましょう。基本的に意識があってもなくても、まず涼しい場所へ避難させ、服を緩めて体を冷やしましょう。安静にして十分に休息させましょう。水分を自分で摂れなかったり水分を摂っても回復しない場合には直ちに病院に行きましょう。体を冷やす場合には太い血管がある首や脇の下、太ももの付け根などを氷の入った袋や冷やしたタオル・冷えたペットボトルなどで冷やすのが効果的です。

◆熱中症対策
 熱中症の予防には水分補給と塩分やミネラル分のこまめな摂取が欠かせません。夏は汗とともに大量の水分や塩分、ミネラル成分が排出されてしまうので、脱水症になりやすくなります。ですからナトリウム(塩分)を含むスポーツドリンクや経口補水液・味噌汁・塩飴などを摂取するのは効果的です。道路工事や建設作業員の方は以前から熱中症対策として、常に水分補給を心がけ、塩飴などもこまめに取り、日陰での休息を実践していました。
 さらに、規則正しい食事や十分な睡眠時間の確保は、体力をつけるので熱中症予防となります。熱中症対策としては、こまめな水分補給・ミネラル成分の摂取・エアコンを使用して休息を十分に取ることが重要です。

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VOL.164『コレステロール値の食事摂取基準撤廃』 [健康]

◆コレステロール値だけ高い
 日本は世界一の長寿国であり、寝たきりや認知症の期間を除いた健康寿命においても世界最高です。健康診断の検査結果を見ても、血圧・肥満度・心電図・血糖値などの20項目ではほとんど異常が見られず、統計的なデータで見る限り、日本は健康大国でもあります。ところが唯一、コレステロールだけは基準値を超えていました。
 1997年、日本動脈硬化学会は220mg / dl 以上を高コレステロール血症とし、20歳以上を対象とした調査では男性が30%以上、女性では50%以上が高コレステロール血症で、4000万人以上が患者となる結果が出ました。コレステロール値は、高くなりすぎると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まると言われています。

◆血中コレステロールは食事では増えない
 このようにコレステロールは、健康のためには悪者扱いされ、食事による摂取が制限されてきましたが、厚生労働省は2015年4月改定の食事摂取基準で、18歳以上の男性で1日あたり750mg、女性で600mg未満としていたコレステロールの摂取基準を撤廃しました。その理由として、この基準を設定する上で十分な科学的根拠が得られないためだとしています。日本動脈硬化学会も5月、食事で体内のコレステロール値は変わらないとの声明を発表し、動脈硬化を防ぐには毎日の食事を含め、運動など生活習慣を改善すべきだと指摘しています。コレステロールは脂質(脂肪)の一種でホルモンや胆汁の原料となり、細胞膜を構成する生命維持には欠かせない物質です。これまで食事に含まれるコレステロールを制限すべきとしていたのは、血液中のコレステロールに影響を与えると考えられていたためです。コレステロールを多く含む卵や鶏レバー・バター・エビ・イクラなどは悪者扱いされ、中でも1個あたり200mg以上のコレステロールを含む卵は1日1個までと制限され、これが常識とされてきました。
 ところが、血液中のコレステロールの70〜80%は体内で作られ、食事からの影響は少ないことが分かってきたのです。むしろ、食事からコレステロールを多く摂れば体内で作られるコレステロール量は減少し、食事からの摂取が少ない方がたくさんのコレステロールが作られるという調整機能が備わっていることが分かったためです。
 日本動脈硬化学会は、LDL(悪玉)コレステロール値が140mg / dl 以上を高コレステロール血症としていますが、日本脂質栄養学会はLDLコレステロール値が高い人は長生きであるとし、論争が続いています。

◆適度な運動が大切
 高コレステロール血症には家族性高コレステロール血症が多く、そのような家系の人は血液中のコレステロール値が異常に高く、一般の人の10倍以上も心筋梗塞になりやすいことが分かっています。
 心筋梗塞のリスクが高い人は、HDL(善玉)コレステロール値が低くて、中性脂肪の値が高く、糖尿病・高血圧・肥満を合併する危険性も持っています。これを予防するのは運動しかありません。とはいっても激しい運動は逆効果となるので、散歩などの適度な運動を習慣づけましょう。水分を十分に摂りながら、1日30分以上8000〜10000歩を目標に歩く、あるいは10分を3回に分けて歩くのもいいでしょう。高齢者は特に動脈硬化にならないよう気をつけつつ、やや高めのコレステロール値を維持することで健康寿命を伸ばしましょう。

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