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VOL.169『夏は子供の夜尿症に要注意』 [生活]

◆環境の変化が引き金
 夏休み中は、家族旅行や学校主催の合宿行事など泊まりがけで出かける機会が増えます。急に日常とは違う環境になることで、それが心理的に影響して夜尿症(おねしょ)になりやすくなります。幼児期は夜間の排泄機能が十分に発達・成熟していないために、夜中に排尿してしまうのです。通常は3〜4歳頃から排尿の調節ができるようになり、おねしょの回数は減ってきます。しかし、5歳を過ぎても月2回〜 週2回以上おねしょがある場合には夜尿症と診断されます。
 夏は水分の摂取量が増えるとともに、熱帯夜のせいでエアコンや扇風機をつけたまま眠ることもあり、体が冷えることが夜尿症の原因にもなります。子供の夜尿症は、5〜15歳で約80万人と推計されます。

◆夜尿症の発症と治療
 通常、子供は朝方あまり水分を摂らずに出かけ、学校にいる間に汗をかくので水分不足となります。そこで帰宅後に水分(水よりもジュース類)をたくさん摂るのですが、帰宅後は運動することもなく、室内はエアコンで涼しいため汗をかく機会がありません。その結果、睡眠中に尿量が増して膀胱内が満タンとなり、これが夜尿症を引き起こす原因となります。
 夜尿症の20%は生活習慣を変えることで治ります。つまり、朝から水分を十分補給し、夕方までに1日に必要な水分の50%程度摂っておき、夜の水分摂取量を減らすことです。
特に夏の暑い時期、子供には1日1.0〜1.5ℓの水分が必要です。夜間はコップ1杯(180㎖)程度に抑え、利尿作用のある果物や塩分の摂取を控えることで夜尿症はかなり改善されます。たいていの子供は昼間の疲れから夜には熟睡します。その後、膀胱内の尿量が満タンになると夢の中で起きたような感覚になり、排尿してしまうのです。つまり、生活習慣の改善なしに夜尿症は治らないのです。
 専門医師の受診すると、排尿が始まるとアラームが鳴るセンサー付きの『夜尿アラーム』というパッドを付けて就寝するよう指導されます。このアラーム方式は欧米で広く使用されており、夜間の排尿に対して反応を感知し、症状が改善するのだそうです。また、内服薬の抗利尿ホルモン剤によって、尿量を減らす治療法もあります。ただし、尿量を減らすと体内に水分が蓄積しすぎて嘔吐したり、意識障害や水中毒を起こす危険性があります。抗利尿ホルモン剤は即効性がありますが、服用を止めると再発するので、2〜3ヶ月は服用を続ける必要があります。

◆生活習慣が重要
 夜尿症で昼間にも尿漏れや下痢を発症する場合は、尿路感染症や膀胱炎など泌尿器系の病気が関係することもあります。また、慢性的な便秘のせいで腸に詰まった便が膀胱を圧迫することもあるので、夜尿症を放置しないようにしましょう。
 夜尿症の子供は、寝つきが悪く、寝起きも悪いことが多く、夜間に無意識に体が動くので寝相も悪く浅い眠りとなります。そのため夜間に分泌される成長ホルモンやメラトニン・セロトニンなどのホルモン分泌が抑制され、心とカラダのバランスが崩れます。睡眠中には昼間使用し、疲れて破損した脳の神経細胞が修理・修復されるので、睡眠時間の減少は夜尿症のみならず成長への影響も大きくなります。夏の時期には夜尿症になりやすいので、夏休みだからといって睡眠時間を減らさないよう、周りが十分注意してあげましょう。

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VOL.167『ヒスタミンの食中毒が増えている』 [生活]

◆ヒスタミンとは
 雨が多く湿度が高いムシムシする時期は、食中毒が発生しやすい環境となります。特に、鮮度の落ちた魚を食べるとヒスタミン食中毒になりやすいので注意が必要です。冷凍技術が進歩した今日では発生件数は減少しているものの、学校や保育園、老人ホームなどで集団食中毒が起きています。6月には徳島県の中学校で、生徒や教職員227人が給食を食べた後に吐き気や発疹などの症状が出ました。幸い全員軽い症状で済みましたが、原因はアジのフライで、ヒスタミン食中毒でした。
 ヒスタミン(化学物質)は加熱処理しても壊れないので、魚や肉を焼いたり、フライにした後、常温で長時間放置したままにすると中毒の危険性が高まります。

◆ヒスタミンの食中毒
 ヒスタミンは魚や肉類に含まれるヒスチジンというアミノ酸の一種がモルガン菌などの細菌によって分解されてできる化学物質です。ヒスタミン食中毒はヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることで発症します。特に、サバ・イワシ・カツオ・マグロなどの切り身や干物、貝類、冷凍食品などで冷凍保存の管理が悪いと、食中毒の原因となる細菌の汚染によってヒスタミンが生成されます。
 ヒスタミン食中毒では、食後30分ほどで顔面などが紅潮し、頭痛・じんましん・発熱などの症状がでます。一見、アレルギー症状のようですが、ヒスタミンの多量摂取によって誰もが発症する可能性があります。6〜10時間ほどで回復し、重症化することは少ないですが、呼吸困難・気管支炎・急激な血圧降下を起こす場合もあり、死に至ることもあります。
 通常、食中毒となる病原性大腸菌O-157やノロウイルスなどの細菌やウイルスで汚染された食材の場合、加熱処理が十分であれば食中毒にはなりません。ところが、ヒスタミンは加熱処理しても分解されないので、缶詰や焼き魚・フライなどでも食中毒が発生します。
 1998年〜2008年の10年間、食品安全委員会がヒスタミン食中毒について調べたところ原因は焼き物や揚げ物に多く、特に、照り焼きや漬け焼きなど調味液に漬け置きした後、焼いて調理する食品に30%以上の確率で発生することが分かりました。ヒスタミン食中毒が報告された給食を調べても、カジキマグロの竜田揚げやイワシのつみれ汁など加熱前に調味液に漬け置きしたメニューが多く報告されていました。加熱前に漬け置いた時間にヒスタミンが増量したのです。
 厚生労働省によるとヒスタミンの食中毒は、年間、数10人から数100人の割合で発症しており、梅雨から夏にかけてが発症のピークとなります。

◆予防するために
 ヒスタミンが高濃度で蓄積された食品を食べると、唇や舌の先がピリピリするなど刺激を感じます。ヒスタミン食中毒の原因となる細菌は、常温や冷蔵庫内で増殖している可能性が高いので、一度解凍した物は再び冷凍せず、干物など残った物は直ちに冷凍保存しましょう。
 この時期、冷蔵庫内の食品は傷みが早いので冷蔵庫を過信しないようにし、特に、魚や肉類は冷凍しておきましょう。食材が変色していたり、食べた時に味が悪いとか、変に感じる時は処分しましょう。たとえ気温が低くても湿度が高ければ細菌やカビは急速に増殖します。食品は生で食べないで、必ず十分に加熱処理してから食べましょう。加熱処理した後は、ヒスタミンの増殖を防ぐために長く放置しないように気をつけましょう。

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VOL.155『冬の脱水に注意!』 [生活]

◆水と人体
 地球は水の惑星と呼ばれるように、海水が多くの部分を占めています。その海で200〜500万年前に原始の生命体が誕生し、やがて陸に上がり進化して人類が誕生しました。ヒトの体は胎児で90%、乳幼児で80%、成人で60%、老人が50%の水分で満たされています。
 ヒトの体内で最も多く水分を含んでいるのは筋肉です。体重60kgの人は筋肉が30kgほどで、その内水分が70%近くを占めています。脱水が起こると体液中の水分量が減少するため、血液中の電解質(ミネラル)濃度が高くなり浸透圧が高まります。これを視床下部の浸透圧レセプターと心臓の左心房内レセプターが感知して喉の渇きが起こります。そこで水を飲むと血液中の浸透圧が下がり、細胞内液と細胞外液に浸透圧の差が生じます。この浸透圧の濃度が一定のレベルに達すると、浸透圧レセプターが再び作動し、喉の渇きは治ったと指令が出ます。脱水が起きると、水分だけでなく体液中に含まれる電解質(ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・マグネシウムイオン)も同時に失われます。汗の99%は水分で、1%が電解質です。1リットル中の汗には食塩を含む電解質が10%以上あり、電解質欠乏は筋肉を硬直させます。

◆体内の水の働き
 体内で最も重要な部分で、水分の多い部位は脳です。脳には多くの間隙があり、そこはリンパ液で満たされ、リンパ液がクッションの役目をして脳を守っています。
 また、量は少ないものの大切な役割を果たすのが涙です。涙の分泌量は1日あたり0.7ミリリットルで角膜を守る・目の洗浄・目の防御(病原微生物の感染)・目を冷やすなどの働きがあります。涙の成分は96%が水分ですが、残りは塩分・尿素・ビタミン・色素などで尿や鼻水の成分と似ています。
 そして、体内の水分量を調節するのが腎臓です。水は体内を巡って尿となり、毎日1〜2リットルが4〜5回に分けて排出されます。腎臓は血液中の老廃物を処理するリサイクル工場のような臓器で、尿量が減少すると血液の粘度が高まり、腎障害や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こします。体内の水分濃度を一定に保ち、血液中の老廃物を排泄する腎臓は生命の起源とも関係しています。

◆マグネシウムが大切
 水なしでは人間は生命を維持できず、数日と持ちません。またミネラルバランスが崩れてもかなりのダメージを受けます。カルシウムとマグネシウムをバランス良く、2対1の割合で摂取しましょう。カルシウム不足になると血液の細胞外カルシウム濃度が低下します。そこでカルシウムを多く含む食品を摂取しても、カルシウムは細胞外液には届かず、細胞内に蓄積してしまいます。これを阻止する物質がマグネシウムです。このバランスが崩れると細胞内にカルシウムが過剰となり、動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・認知症などを引き起こします。つまり、マグネシウムの補助がなければ、カルシウムは有効に働けなくなるばかりか、有害になる可能性もあるのです。マグネシウムの有効範囲は極めて狭く、毎日摂り続けないとマグネシウム欠乏となり、カルシウム欠乏、あるいはカルシウム過剰になりかねません。マグネシウムは水に溶ける性質の水溶性マグネシウムの方が有効です。
 空気が乾燥した冬は水分摂取量が不足し、電解質のバランスが悪化しがちです。喉の渇きより早くカルシウム・マグネシウムなどのミネラル分が豊富な水分を補給しましょう。

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VOL.148『おいしいものの後は水を飲みましょう』 [生活]

◆味覚と病気予防
 味を感じる味覚は病気と密接に関係しています。糖尿病では甘味を感じにくくなり、高血圧では塩味を感じにくくなります。また、肥っている人と痩せている人でも味の感じ方が違います。肥っている人は甘味の感受性が低いので、甘味や塩味を敏感に感じ取れれば糖尿病や高血圧を防ぐことができます。
 子供の頃から薄味の料理に慣れていれば、糖分や塩分を適切な量にコントロールでき、薄味で健康的な料理をおいしく感じられ満足できます。
 近頃は、どんな料理にもマヨネーズをたっぷりかけて食べる人や、唐辛子やタバスコを大量にかけて食べる人が増えています。親が偏食がちで濃い味の食事が習慣的になると、子供もだんだんその味に慣れてしまい、薄味を感じられなくなります。

◆亜鉛と味覚障害
 味を感じられなくなることを味覚障害といいます。味覚障害では食物の味がわからなくなり、すべての味が薄く感じられます。時には甘味を感じられず、甘い物を苦く感じます。その原因は亜鉛の欠乏です。亜鉛の1日当たりの必要摂取量は9〜12mgと極めて少量ですが、細胞分裂に必須となるタンパク質に含まれており、不足すると細胞は分裂できなくなります。味を感じるのは舌の表面に存在する味蕾細胞で、短いサイクルで新生します。亜鉛が不足すると細胞分裂で新生できず、味覚障害となります。
 亜鉛の働きを阻害するのは食品添加物に含まれるフィチン酸やポリリン酸です。加工食品ばかり摂取していると亜鉛が不足します。また、過剰のアルコール摂取はアルコールの分解に多量の亜鉛が使われてしまうため不足につながります。
 味覚障害の恐ろしさは、何を食べても味を感じられなくなり、唾液の分泌量が減少し、食欲がなくなることです。つまり、お腹が空いたとか、何かおいしいものを食べたいなどという感覚がなくなる感覚麻痺となるのです。このような重度の味覚障害に陥ると、単純に亜鉛を摂取しても治りません。
 味覚には甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5種類があります。これらは脳の神経細胞に伝達されて感じることができます。甘味は脳のエネルギー源であり、塩味は海中で生息していた時からの細胞構成成分であり、苦味と酸味は毒物や腐敗物のシグナルを判断し本能的・防御的に摂取を抑制するなごりです。

◆ミネラルたっぷりの水を飲みましょう
 味覚には好みの個人差・男女差・食経験の個人差などがあり、加齢とともに変化します。高齢になると味蕾の新生が減少するため味覚が鈍くなり、濃い味でないと味を感じなくなります。胃腸の消化能力も衰え、過度の脂肪分による胸焼けや胃もたれを起こします。消費するエネルギー源は少なくてすむので、高カロリー食は必要なくなり、嗜好も変わります。薬を飲む量が増えれば、その副作用による味覚障害も起こります。まずは自分の味覚の変化に早く気づくことが大切です。高齢になると余計においしいものが食べたくなります。肥満や糖尿病・高血圧になるとわかっていても止められない、一度濃い味に慣れてしまうと薄味には戻れない…など人間の欲望には限界がありません。
 老化とは、体内の水分量の減少であり、味覚障害は唾液分泌量の低下です。その対策としては毎日たくさんの水を飲むこと、特に、亜鉛などのミネラル成分をたっぷり含んだ水を飲むことです。食べ過ぎたと思ったら、まずミネラルたっぷりの水を飲みましょう。

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VOL.145『薄味に慣れて健康になろう!』 [生活]

◆ストレスと自律神経
 ストレス時代の今日、ストレスを受けずに生活することはできません。ストレスとは、自分が好むと好まざるとにかかわらず、外部から受ける刺激によってカラダに起こる反応です。ある程度のストレスは、心に適度な刺激となり決して悪いことではありません。しかし、過度のストレスは自律神経(交感神経・副交感神経)に影響を与え、胃腸障害や唾液分泌の減少を引き起こします。

◆濃い味はカラダに良くありません
 カラダはストレスによる刺激を受けると、交感神経が優位に働いてアドレナリンが過剰に分泌され、攻撃的になるため唾液の分泌が抑制されます。その結果、食物の味を正確に感じ取ることができず、ついつい濃い味の食物を摂取してしまいます。特に、脳が好む甘味(糖分)や塩分を過剰に摂取することになります。
 糖分を常に摂り過ぎている人は、血糖値が急激に上昇し、逆に空腹になるとすぐに低血糖状態となって、めまいやふらつき、貧血などの症状が出ます。すると、生命維持のためアドレナリンが過剰に分泌されるので、興奮性が増して感情を抑えられなくなります。つまり、キレやすくなるのです。甘い物を継続して摂取していると糖尿病になりやすくなりますし、味覚が鈍くなります。また、濃い味付けの食品ばかり食べていると、塩分も過剰摂取となり血圧が上昇して高血圧症や動脈硬化となります。その結果、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞を起こしやすくなります。
 甘い物は別腹と言うように甘味は食欲を高めます。甘味は、食欲を増進させる血中成分の内因性カンナビノイドという物質によってさらに感じやすくなります。これが脳に満足感を与え肥満の原因となります。また、塩味を強く感じると、その味を中和したいと感じます。そこに甘さの強い物が入ってくれば、うまく中和されるので食欲がさらに増します。塩味が強いおかずの時ご飯が進むのはこのためで、饅頭なども塩味を加えるとさらにおいしく感じます。結果として糖分も塩分も取り過ぎてしまうのです。
 甘味と脂肪の味が好きな人、塩分の濃い味と脂肪(油)が好きな人、例えばラーメンやカレーなどをよく食べる人は、今は痩せていても次第に肥満になる確率が高いでしょう。また味覚が鈍くなっている人、味を感じる能力が低い人、微妙な味の違いを区別できない人も結果的に肥満になりやすくなります。

◆薄味で健康に
 ヒトは、異なる種類の味刺激が入ってくると、食欲が増すようになっています。逆に、同じ種類の味刺激が続けば少量でも満腹となります。つまり、味の組み合わせを工夫し、同じ系統の味付けをすれば食欲を抑制することができるのです。
 ストレスや疲労がたまると、薄味を感じる味覚は働かなくなり、自然と濃い味が好きになってしまいます。味覚には毎日の食生活が影響します。子供の頃に食べていたものがその人の好みとなります。つまり、母親の好みが子供の好みに大きく影響を与えるのです。生活習慣病になるかどうかは、すでに子供の頃の食生活によって決まってしまうのです。高齢になってからでは遅いかもしれませんが健康を維持するために、薄い味付けの食生活を心がけ、美味しいと感じられるようにしましょう。食欲の秋、旬の美味しい食べ物を体に良い味付けで大いに味わいましょう。

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VOL.138『食中毒に注意 !!』 [生活]

◆腐敗と発酵
 日本では夏に入る前の時期に梅雨があります。温度の上昇とともに湿度も上昇するので、うっとうしい季節です。この時期は冷蔵庫の中の食物も次第に味や匂い、見た目の形や色、感触などが変化していきます。食物中の成分が変性して、食べられなくなった状態を腐敗といいます。これに対して、ヨーグルトやお酒のように糖分が分解され、乳酸やアルコールができ、成分が変性して口できるものを発酵といいます。

◆食中毒の原因
 肉や魚などのたんぱく質やアミノ酸が分解され、硫化水素やアンモニアのような悪臭・腐敗臭が出る現象が腐敗です。この腐敗した食物を食べることで食中毒のリスクは急激に高まります。食中毒の原因は、細菌やウイルス・カビなどの病原微生物が食品中に増殖し、毒素を産生して、1g当たり1000万〜1億個以上に増えることで、食品の色や風味、匂いが変化します。菌種によっては10個程度でも食中毒を起こします。食品の腐敗を防ぐために私たちは食品を冷凍・冷蔵しますが、冷凍や冷蔵をしても菌が死滅するわけではなく、温度を下げることで腐敗を遅らせているのです。長持ちさせるには乾燥させる方が有効です。細菌の増殖には水分が関与するので、食品の水分を奪ってしまえば細菌の増殖は防げます。
 食中毒の原因菌には、主に食肉や卵を汚染するサルモネラ菌、加熱しない肉を食べて発生するカンピロバクター、肉類や魚介類のカレースープ内で発生するウェルシュ菌、チャーハンやピラフ・パスタ・焼きそばで発生するセレウス菌・ハムやソーセージ、野菜・果実の缶詰や真空パック内で発生するボツリヌス菌などがあります。他にも毒性の強い腸管出血性大腸菌O157があり、これはベロ毒素という強烈な毒素が腸管を破壊するため、死に至こともあります。
 食中毒の原因について2013年の調査では、細菌が36.4%、ウイルスが46.8%、自然毒が7%、化学物質が1.5%で、細菌とウイルスで80%以上を占めています。原因菌の主なものは、サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌・カンピロバクター・ウェルシュ菌・腸管出血性大腸菌などです。

◆予防するには
 完璧な殺菌処理で保たれるものを除いてほとんどの食品には少量の菌が付着しています。それらは通常、飲食物とともに口から入り、胃酸で殺菌され、腸管内の常在菌によって増殖が抑えられたまま便として排泄されます。しかし、細菌はそれぞれ毒力が異なり、少数でも食中毒を起こし、調理の温度によって生き残る細菌や、抵抗性(好気性・嫌気性・乾燥・酸・アルカリ・塩に対する耐性、低温でも増殖する)を持つもの、芽胞という防御のカプセルを作り煮沸しても死滅しない細菌などがいます。
 汚染源は、菌が付着した手指や、まな板・包丁などの調理器具、ネズミやゴキブリ・ハエを媒介したものもあります。最も多いサルモネラ菌による食中毒を防ぐには、冷蔵庫にあった食品でも食べる前には十分に加熱することです。他に、ペットに触れた手を良く洗う・肉や魚を調理したまな板や包丁を良く洗うことも重要です。そして、購入したものはできるだけ早く十分に加熱して食べることが予防の基本です。また、加熱処理した食品を冷蔵庫に入れて、翌日温めて食べることも極力避けましょう。新鮮なものを新鮮なうちに食べることが食中毒を予防する大原則です。

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VOL.132『和食で肥満を防止しよう』 [生活]

◆中年太り
 多くの日本人が中年になると腹まわりに脂肪が増えて、いわゆる中年太りになります。今まで着られた服が着られなくなったり、俊敏に動けていた体が重く感じるようになりますが日常生活に支障をきたすわけではないので、あまり気にしないで過ごしてしまいます。子供の頃はスリムでも、成長期のままの食欲で運動量が減る中年以降になると、それまで摂り過ぎたエネルギー源が脂肪細胞内や周囲の組織空間に留まり、特に腹まわりに蓄積します。それでも日本人は欧米人のように超肥満にはなりません。欧米人は離乳食の頃から乳脂肪の摂取が多く、砂糖や糖質の含有量が多いスナック菓子を摂っているので、肥満は乳幼児からの食生活に起因しています。
 欧米人以外でも経済成長に伴って収入が増えてくると、動物性タンパク質の摂取量が増えます。中国やメキシコ・ブラジルでは1日の摂取カロリーが成人男性で3500kcalを超える人が多く、BMI30以上の超肥満が増加しています。それに比べて日本人は、男性で1900〜2000kcal、女性で1600〜1700kcalほどです。

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◆和食の魅力
 和食の優れた点は、食べ過ぎずに満足感が得られることです。満足感が得られれば脳はそれ以上食べられないと指令し、食欲を抑制します。和食では満腹状態になる前、つまり胃にまだ余裕の空間が残っているにもかかわらず、満足感が生じて食欲が低下するのです。
 早期に満足状態にするには短時間に大量の食事を摂取することが効果的とされます。糖質や脂質は満足感や満腹感が得やすく、ファーストフードがその代表です。炭酸飲料は胃の中でのpH値が低く、酸性度が強い環境で発泡して膨張するので、胃内圧が高まり、一時的に満腹感が得られます。しかし、これらに対しては脳がだまされたと認識するので、逆に空腹感が強まり過食を誘引し、食べ過ぎてしまうのです。
 日本人はかつて、家畜の肉を食べる習慣はあまりなく、乳製品も流通しませんでした。日本人の伝統的な食事は、油や肉類などの脂質が少なく、穀物や海藻・豆類などからタンパク質を摂り、炭水化物が中心でした。これらの食品に満足感を与えたのが塩味とうま味成分です。栄養素的には、良質なタンパク質を豊富に含む豆類をご飯とともに食べることで、タンパク質・炭水化物・脂質を同時に摂ることができました。

◆和食で痩せる脳へ
 日本は周囲を海で囲まれ、天災や天候不順、飢餓の時にも外部から食料を入手することができない環境でした。そのため生命力の強い遺伝子のみが生存し、子孫を残してきました。これが長寿の遺伝子素因を持つ人が多い理由であるともいわれます。
 日本で生まれた子供には、日本型の味付けが脳に刷り込まれています。脳の扁桃体は離乳期前後に最も発達し、それが記憶として残ります。食物の好き嫌いが形成されるのもこの時期です。この時期の食事が将来の肥満を作るともいえます。
 現代の日本では、美味しいものが世の中にあふれ、食べきれないほどの食物が流通し、どんな食品も簡単に入手できます。肥満は『太る脳』が原因ともいわれます。脳が満腹を感じるほど食べれば、その状態が記憶されて普通になります。日本人によく合う、日本で生まれた和食を再認識し、味わいながら『痩せる脳』を作りましょう。

VOL.116『やわらか頭が若さの秘訣』 [生活]

◆ニューロンとシナプス
 近年、若年性の認知症やアルツハイマー病など脳に障害を持つ人が増えています。脳の神経細胞(ニューロン)は100億個とも1000億個とも言われていますが、これは1㎤中のニューロン数を数え、それを脳の体積と照らし合わせて推測している数なので、明確な数字ではありません。その神経細胞は脳の老化や認知症などで減少すると言われています。アルツハイマー病やパーキンソン病では相当数のニューロンが失われますが、健康な状態では劇的にニューロンが減ることはありません。脳の神経細胞は、若い人に多く高齢者が少ないとは限らないのです。
 では、老化とともに何が変わるのでしょうか?それはニューロンのネットワークです。ネットワークとは、ニューロンとニューロンをつなぐ接続部シナプスの働きです。シナプスとのつながりが多いほどネットワークはよく働いていることになります。
 シナプスは生後1年間で最大量まで増え、その後徐々に減り始めますが、3歳頃には減り方が鈍って、その後は一定量に落ち着きます。シナプスは新しい知識や技能を身につける度に新しい枝を伸ばし、年齢にかかわらず使えば使うほど枝分かれして、ネットワーク網を充実させていきます。脳は死ぬまで成長することができるのです。
 しかし、いつも閉じこもってパソコンやゲームにばかり没頭しているような、一部の回路だけ大きくする生活を続けると、その回路に関するシナプスばかり発達してしまいます。シナプスのネットワークはバランスが肝心で、必ずしも数を増やせば良いというものではありません。

◆海馬の働き
 健康な人の脳にはニューロンが入れ替わっている場所があり、そこが海馬です。海馬の歯状回と呼ばれる部位はニューロンの集合体です。この場所からは泉が湧き出るように、毎日新しいニューロンが生み出されています。死ぬまで休むことなくニューロンを生産し、脳に新鮮な息吹きを送り出しています。
 海馬は知覚・記憶・思考・感情・意欲などの働きを左右する情報処理システムの要です。またストレスをコントロールする役割も持っています。例えば、過去にストレスによって負け癖がついた人は、物事を悪い方へと考える傾向が強くなりますが、海馬の新生ニューロンはネガティブな考えを抑制します。
 一般に、人は加齢とともに徐々に意欲の低下や物忘れなど、衰えが目立ってきます。気持ちが低下することで新陳代謝が低下するので、肌や髪のツヤ・ハリ・潤いがなくなっていきます。
 脳を活性化させ、衰えを防ぐためには、海馬を働かせることです。夢中になって何かを覚えたり、初めてのことにチャレンジしたり、集中して勉強したりしてワクワク・ドキドキすることです。何かを覚えよう、何かを吸収しよう、何かに集中しようとすることで新生ニューロンの分泌が増加し、情報処理能力が向上します。

◆前向きに若々しく
 日常生活がマンネリにならないように、常に新しいことにチャレンジすることで、海馬の新生ニューロンは活性化し、脳の神経細胞の質が向上します。いつまでもやわらか頭を持ち、前向き、プラス思考でボケを防止しましょう。

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VOL.115『保存料や添加物について』 [生活]

◆さまざまな食品表示
 食の安全性を守るために、多くの食品には『保存料無添加』『合成着色料無添加』『カロリーゼロ』『カロリーオフ』など、さまざまな表示があります。消費者は、その表示を見て『カラダに良さそう』もしくは『口にしない方が良さそう』などと判断し購入します。
 保存料や合成着色料無添加という表示を見ると、添加物は使っていないと思いがちですが静菌効果のある『日持向上剤』は使われています。また、保存料無添加と表示されるアルコール飲料がありますが、アルコールには元来、細菌の繁殖を抑える効果があるので保存料を使う必要がありません。あえて無添加と表示することで、安全性をアピールしています。一般的な消費者は無添加とあれば安心だと思って購入します。

◆保存料の種類
 保存料というと、防腐剤であるとか毒性が強いと思われがちですが、食品中に含まれる微生物やカビの繁殖を防いでおり、毒性は低く、食中毒を防ぐなど衛生面では大きな役割を果たしています。
 食品の保存料には通常、グリシンが添加物として使われます。グリシンはアミノ酸の一種で、食品添加物としての栄養強化剤や調味料なので、保存料の用途で使用しても成分表示には保存料の表示義務はありません。ですから保存料無添加と表示されます。
 他に安息香酸・安息香酸ナトリウム・ソルビン酸・ソルビン酸カリウムなど14品目が保存料として許可されており、最も多く使用されているのはソルビン酸です。ソルビン酸は世界的に使用されている食品添加物で、広範囲の細菌や、食中毒を引き起こす細菌・カビなどに有効な保存料です。ソルビン酸は脂肪酸の一種で、食用植物油の主成分である不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸には強い静菌作用があります。ソルビン酸は無味無臭の不飽和脂肪酸のため、食品に使用しやすいという特徴があります。また、pH調整剤として使用され、食品の酸性やアルカリ性の度合いを調整して細菌の増殖を抑制するので、保存料として明記する義務がなく表示されません。なんだか分かりにくいですね。

◆カロリー・硝酸性窒素
 カロリーオフ、カロリーゼロなどの表示は必ずしもカロリーがないと言うわけではありません。100㎖中5kcal未満であればカロリーゼロと表示され、100㎖中40kcal以下ではカロリーオフや低カロリーなどと表示できます。500㎖のペットボトルなら100kcal程度であればカロリーオフと表示して良いということです。
 食品添加物が嫌われる原因の1つに、ハムやソーセージに使用されている、亜硝酸塩や硝酸塩(硝酸性窒素)があります。肉類は時間とともに変色し、黒くなるため、色鮮やかに見える発色剤として使われます。硝酸性窒素は生野菜に多く含まれ、肉類のジメチルアミンと反応して発ガン物質のニトロソアミンを生成します。

◆正しい知識を持って健康に
 食品中には食品添加物や保存料、合成着色料などさまざまな添加物が含まれています。その中にはカラダに害のないものもあれば、有害なものもあります。正しい情報や知識で見極め、有害なものは取り除くか摂取しない努力をして、健康維持を心がけましょう。

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VOL.109『PM2.5の対策はできていますか?』 [生活]

◆PM2.5とは
 2013年の春、日本列島ではいろいろと大変なことが起きています。春先の花粉に始まり、中国からは黄砂だけでなく微小粒状物質(PM2.5)が襲来し、新型鳥インフルエンザの脅威まで、心配の種は尽きません。最近では報道は沈静化しましたが、PM2.5の脅威はなくなったわけではないのです。
 PM2.5は大気中に漂う粒状の2.5μm(1μmは1mmの1000分の1)以下の小さな粒子のことで、その大きさは髪の毛の太さの30分の1程度と小さく、呼吸とともに気管支や肺の奥まで入り込み、肺ガンやぜんそくなどの呼吸器系疾患や循環器系疾患を引き起こします。日本では以前から1日の平均値を35μg/ ㎥以下と環境基準を定めて対策がとられ、遵守されてきました。
 ところが、中国からこの基準を超える量のPM2.5が飛来する日が増えているのです。発生源には、ボイラー・焼却炉・工場・鉱物堆積場の粉塵・自動車の排気ガスなどの人為的起源と、土壌や火山など自然起源のものがあります。PM2.5は、物の燃焼などによって直接排泄されるガス・硫黄酸化物・窒素酸化物・揮発性有機化合物などの汚染物質が、大気中で化学反応により粒子化した物です。

◆カラダへの影響
 2008年、環境省は、動物実験で粒子状物質が気道や肺に炎症反応を誘導する他、ぜんそくやアレルギー性疾患を悪化させる作用や、呼吸器感染症にかかりやすくなる作用を認めています。ディーゼル排気微粒子が免疫機能に影響し、アレルギーを悪化させるという動物実験での結果もあります。循環器への影響も不整脈など心臓機能の変化を見ています。原因は粒子状物質が血栓(血管を詰まらせる)を形成するためだと考えられます。アレルギー性のぜんそく・肺高血圧・虚血性疾患などの患者は粒子状物質に対する感受性が高まります。
 沈着した粒子は、咳・鼻汁・気道の繊毛運動・マクロファージなどによって次第に除去されます。吸湿性の粒子は、溶解され除去されますが、不溶性の粒子は溶解されず長期間にわたって肺に残存し、最終的に3分の1程度が除去されます。
 粒子状物質の遺伝子への影響や発ガン性の関与については、動物実験での長期間曝露試験の報告が少ないので明確ではありません。しかし、2009年、アメリカのガン学会は、PM2.5の濃度と心臓疾患・肺疾患・肺ガンなどによる死亡率の関連性を認めています。

◆対策は?
 いずれにしても、粒子状物質に対しては適格な対策はありません。医療用マスクでも除去率は50%くらいと完璧ではなく、最近、防護用のマスクも開発されましたが、毎日交換しなくてはならないので金額的にも負担が大きいようです。
 政府は、PM2.5は4〜5月に濃度が上昇するとして注意喚起しています。飛散状況などは各自治体より公開されますので、風が強くPM2.5や黄砂の多い日には、不要不急の外出はできるだけ避け、換気や窓の開閉も必要最小限にしましょう。外出した際には帰宅時にうがい・手洗いを励行しましょう。

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