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VOL.202『慢性腎臓病になっていませんか?』 [体]

◆慢性腎臓病の怖さ
 今日、中高年齢者に肥満や動脈硬化、高血圧、糖尿病を引き起こすメタボリックシンドロームになる人が増えています。厚生労働省によれば40〜70歳の男性2人に1人がメタボの予備軍とされ、さらに脳血管疾患のリスクを高める慢性腎臓病が2000万人以上いると言われています。
 腎臓病はかなり進行するまで自覚症状が表れません。ですから健康診断で尿に異常があると指摘されても、軽く考えて放置しがちです。しかし、自覚症状が表れてからでは遅いのが腎臓病の怖さで、気づいた時にはすでに慢性腎臓病になっているかもしれないのです。慢性腎臓病になると高血圧・脳卒中・心臓病・脳血管疾患を起こして死に至る場合もあります。

◆腎臓の働き
 腎臓は2個あって、重さ150gのそら豆型をした臓器で、心臓から送られてきた全血液の余分な水分や老廃物をろ過する働きがあります。つまり、汚れた血液をクリーニングする場所です。腎臓内で血液をろ過する装置を糸球体と呼びます。糸球体は毛細血管が集まった糸毬のような構造で、1日150ℓ ほどの血液をろ過します。150ℓ 中には水分・糖・塩分に加えてカルシウムやビタミンなどミネラル成分の栄養素が含まれており、その99%は尿細管で再吸収されて血液中に戻され、残りの1%が尿として排出されます。尿は血液から作られるのです。
 腎臓は生命を維持するために、環境の変化に対して体内環境が変化しないように体温を常に一定に保ったり、ミネラル成分の排泄や再吸収を調節して、体液の量と電解質バランスが一定に保たれるように調節しています。体液の量が多くなると血圧が上昇し、少ないと血液循環が滞ります。体液は各細胞が生きていくための栄養素で、このバランスが変動すると細胞は正常に働けなくなります。体液は常にpH7. 35〜7. 45の弱アルカリ性に保たれています。この体液の弱アルカリ性を保つのがカルシウムイオンです。
 また、腎臓は造血作用にも関与しています。腎臓では、ビタミンDが紫外線を浴びることで活性型ビタミンD3に変換し、カルシウムの吸収性を高めます。活性型ビタミンD3の関与が低下するとカルシウムの吸収性が低下し、骨が脆くなって骨粗鬆症を引き起こします。
 腎機能が慢性的に低下した状態が腎不全です。この腎不全の機能を回復させる治療法が人工透析です。医療の進歩の中で最も輝かしい一つに人工透析があります。この治療法によって腎不全でも生存が可能になったのです。週3回の人工透析で血液中の老廃物が除去され、尿毒症の症状を抑えます。しかしながら人工透析でも腎臓のすべての働きを代行することはできません。重要なホルモンであるエリスロポエチンは作れませんし、カルシウムの吸収性を高めることはできないのです。ですから、腎不全では免疫力・抵抗力が低下し、ガンのリスクが高まり、記憶力や認知機能などの脳の働きも低下します。つまり、腎機能の働きを維持することで健康長寿になるということです。

◆腎臓に負担をかけない
 腎臓への負担を軽減し、腎臓を長持ちさせるためには、水分摂取量を増やし、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を十分に補給することです。太古の昔、生物は海から陸に上がるように進化しました。この時最も進化したのが腎臓です。海水とヒトの体液は成分が似ており、この機能を腎臓内に取り入れ、体液中のカルシウム濃度とも関連させました。
 沈黙の臓器と呼ばれる腎臓は休まずに働き続けています。生命維持に極めて重要なため2個用意されているのですが、負担がかからないような生活習慣が望まれます。

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VOL.201『ゲノム編集という超最新技術』 [生命]

◆ゲノム編集とは
 近年、遺伝子(ゲノム)の解析が進んでおり、遺伝子を操作する遺伝子工学や生命科学の分野では過去に類を見ない驚異的な技術革新が起きようとしています。
 例えば、自分の顔や身長・体型・性格・知能・運動能力・体質などが不満な人はたくさんいます。これらの一部を自分の思い通りに変えることができたら、別の自分に生まれ変わることができたらと誰もが思います。また、自分は無理でも生まれてくる子供には、誰より逞しく・賢く・美しく・健康体で良い人生を送って欲しいと望む親もたくさんいます。それを実現するのがゲノム編集という超先端技術です。この技術で医師や研究者、科学者は狙った遺伝子をピンポイントで修正する可能性が出てきました。自然界には存在しない神の技術と言われる人類創造です。そのゲノム編集の研究開発が急速に進んでいるのです。

◆ゲノム編集の可能性
 植物や動物の遺伝子を操作する遺伝子組換え技術は1970年代から始まりました。ところがこの遺伝子組換え技術は、1個の遺伝子を組換えるために1万〜100万回の実験を行い、やっと狙った通りの組換えができるという精度の低さや、膨大な費用・期間を要することが問題でした。これに対し、ゲノム編集では狙った遺伝子を構成する塩基をピンポイントで削除し、書き換えることができます。つまり、遺伝子の設計図であるDNAを自由自在に置き換えることができるのです。
 最新鋭のゲノム編集技術(クリスパー)は、高校生でも数週間で使えるようになると言われるほど簡単で取り扱いやすい技術で、従来の遺伝子組換えに要していた時間やコストも劇的に短縮されました。クリスパー技術では動物や植物のDNAも操作することができるので肉量を大量に増やす家畜や魚、あるいは腐りにくい野菜などを作ること、難病患者の治療に役立つ病気を動物(サル)で発症させることもできます。
 クリスパー技術の基礎研究は日本や欧米など世界各国で急速に進んでおり、近い将来には難病患者の治療に適用されます。特に、遺伝子の変異による遺伝病は、特定の遺伝子が明確な場合には治療しやすい状態になっています。クリスパーによるゲノム編集は、遺伝子治療やiPS細胞、細胞移植治療などとの組合せも適用できます。京都大学iPS細胞研究所では、世界の医療機関と共同で筋ジストロフィーやエイズなどの難病患者を遺伝子レベルで根治させるゲノム編集の治療法の研究を進めており、一部はすでに臨床試験に入っています。この技術は各種のガン・糖尿病・アルツハイマー病などの病気の治療にも応用できます。これには世界的ハイテクIT企業が様々な病院や研究機関と連携し、医療ビッグデータを先端AIでパターン解析して複雑な病気の原因遺伝子や発症メカニズムを解明しつつあります。

◆不安と希望
 しかし、医療への応用は危うい側面と表裏一体にあることも事実です。この技術を使うことで人類の改良が起きるかもしれないからです。例えば、骨を強化して骨折予防したり、心臓病にならない体質にするなど特定遺伝子を選択し、クリスパー技術を使って改良することで人類を強化することが可能だからです。お肌の老化を防いで若返ることもできます。さらに、生まれてくる赤ちゃんを受精卵の段階でゲノム編集すれば、高い知識や強靭な肉体、美貌を兼ね備えたデザイナー・ベビーを親の意図的感情で作り出すこともできます。これは技術的には可能でも倫理的には許されません。そこで、2015年12月の国際会議でヒト受精卵のゲノム編集は基礎研究に限定し、臨床研究は禁止することが採択されました。
 今、人類は神の領域に足を踏み入れようとしています。この技術が地球上に存在する生命体や生態系に与える影響は計り知れません。その中で、中国が倫理的に反して低レベルではありますがヒトでの臨床試験の実施を報告し、世界的に強い非難を浴びています。技術の進歩は歓迎すべきですが、人類に正しく役立つように使用されることを願うばかりです。

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