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VOL.198『便秘とその対策』 [体]

◆便秘の人が増えている
 近年、欧米食の一般化によって日本では便秘になる人が増加傾向にあります。2013年の厚生労働省の調査で、便秘の人は480万人とされ、特に70歳以上の高齢の女性に多いことが分かっています。男性の便秘も増えており、同時に下剤依存症でもあるようです。
 便秘には明確な定義はありませんが、排便が週に1回程度で、下剤を使わなければ排便できない状態の人が便秘症とされます。また、排便は毎日あるがお腹が張る・便が出てもスッキリしない、また1日おき程度で排便はあるがガスが出ない、お腹が張って痛い・苦しいなど、腸内フローラ環境の悪化による腸の不調を訴える人が急激に増えています。このような人は停滞腸と呼ばれ、便秘症ではないが排便力が弱っています。大腸内にガスが溜まり、ガスが胃を圧迫して働きが悪くなると、腸の蠕動運動の低下や逆流性食道炎につながります。
 排便とは便を介して老廃物を排出することです。食物に含まれる栄養素は吸収され、有害成分や体内に生じた毒素は老廃物となって大腸に運ばれます。この老廃物が大腸内に長時間とどまると大腸ガンの原因になります。老廃物の蓄積は血液の悪化や代謝の障害を起こし、腹部の膨満感や腹痛の原因となり、むくみ・冷え性・肌荒れ・ニキビ・体臭などの症状を起こします。

◆腸内フローラと蠕動運動
 便秘は腸内環境が悪化している証拠で、腸が正常に働いていないことを示します。腸内にはウェルシュ菌などの悪玉菌が増え、免疫力が低下して老廃物を排出できません。腸内細菌は食事から栄養素を摂取し発酵を促進し、さまざまな代謝物を産生します。これがガス(おなら)で悪臭成分の素となります。食物繊維は腸内細菌の栄養で短鎖脂肪酸を生成し、悪玉菌の増殖を防止してガスの発生を抑制します。
 腸の周りには1億個以上の神経細胞が集合し、脳や脊髄からの指令を受けずに独自に蠕動運動を起こします。腸の蠕動運動は食物の消化吸収の役割を持ち、便意を起こし、食物の分解、酵素やホルモン分泌を促します。また、腸は他の臓器に直接指令を出すことから、第2の脳とも呼ばれます。腸の蠕動運動は腸管内に内容物が通ると、その近くの神経細胞が感知し、腸管を動かす指令を筋肉に伝え腸管の収縮と弛緩の動きで内容物が移動します。
 家では排便できるのに会社や出張先では緊張して排便できない人がいます。これは自律神経の副交感神経が抑制的に働くためです。自律神経は心臓の鼓動や体温調節のように自分の意思とは無関係に働く神経のことで、カラダを活動の方向に導く交感神経と、安静の方向に導く副交感神経があります。リラックスすると副交感神経が優位に働いて、腸の蠕動運動が活発になり、排便を促します。それに対して緊張して交感神経が優位になると、蠕動運動は鈍くなり排便が抑制されます。
 ストレスや生活習慣の乱れで交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になると便秘になります。ストレスが過剰になると精神的な不調がそのまま腸の不調になり、便が溜まり、お腹が張って、腹痛となります。神経細胞の数は脳の次に腸が多いそうです。

◆便秘を予防する
 便秘を予防する方法の一つは、朝食をしっかり摂ることです。朝、食物繊維や水分補給をすることで腸の蠕動運動が活発になります。食物繊維は不溶性と水溶性を2対1の割合で摂取できます。イタリアでは子供の便秘予防としてスプーン1杯のオリーブオイルを飲ませます。オリーブオイルの中のオレイン酸が効果的なのです。日本では植物性乳酸菌を多く含む味噌・醤油・漬物やマグネシウムを多く含むニガリ成分などが有効とされています。マグネシウムはストレスで消費しやすいのでたっぷり摂取しましょう。
 なお、トイレでの便意にはロダンの考える人のポーズが有効で、蠕動運動を促進するそうなので便秘の人は試してみてはいかがでしょう。

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VOL.197『高血圧の原因、カルシウム不足』 [高血圧]

◆高血圧は塩分の摂り過ぎ?
 日本人の2〜3人に1人は高血圧です。高血圧は加齢(60歳以上になると急増する)とともに血圧が上昇する病気です。若い頃の血管には弾力があるため、心臓からの圧力が上昇しても柔らかな血管によって高血圧にはなりません。
 血圧が高い人に医師はまず、食塩の摂り過ぎを指摘し、塩辛い食品を食べるのを控えるように指導します。1980年以前は、40代から高血圧による脳卒中で死亡する人が多く見られ、原因は塩分の摂り過ぎにあるとされていました。昔から塩分の摂り過ぎが高血圧を引き起こすことが医学の常識だったからです。確かに、塩分の大量摂取はカルシウムの尿中排泄を促進するので、カルシウム不足を助長し、高血圧や動脈硬化を引き起こす原因ではありました。

◆血管とカルシウム
 心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をします。血管壁は平滑筋からなり、内腔を広げたり狭めたりして調節しています。血管壁の弾力性が失われると血液が血管を押し拡げる力、つまり血圧が高まります。これが動脈生高血圧です。血管に対して加えられる強い力である収縮期血圧(上の血圧)よりも、常に血管に対して加わっている拡張期血圧(下の血圧)の方が血管にかかる負担は大きいのです。高血圧で恐ろしいのは拡張期血圧の方で収縮期血圧ではないのです。収縮期血圧を決めるのは心臓の収縮で、拡張期血圧を決めるのは平滑筋の状態、つまり、動脈内腔の広さです。平滑筋に障害があると、血管内腔は狭くなり、血液が通りにくくなるので拡張期血圧が上昇します。
 平滑筋は自律神経がカラダの必要に応じて収縮させたり弛緩させているので、自分の意思で動かすことはできません。カルシウムを摂取すると平滑筋は収縮します。逆にカルシウムが細胞から外に出ると、再び筋肉は弛緩します。つまり高血圧の本当の原因は血管内壁の平滑筋の細胞内にカルシウムが入ることで、血管が収縮することなのです。
 カルシウムは、常に食事から摂取していないとすぐに不足します。血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれ、生命の恒常性を維持しています。カルシウム不足によってこの濃度が低下すると、心臓や脳の働きが悪化し、生命維持が難しくなります。この異常を防ぐために副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが溶け出して補います。すると血管内に余ったカルシウムが過剰となるため、血管内壁にカルシウムが付着し、一部は平滑筋細胞内に入り込んで血管内壁が硬くなります。硬くなった血管を収縮させるため血圧が上昇するのです。高血圧の原因、つまり血圧の上昇はカルシウム不足によって発生するのです。

◆カルシウムを十分に摂りましょう
 最近、アメリカで行われた大規模試験の栄養調査によると、高血圧の人は正常血圧の人に比べてカルシウムの摂取量が少なかった一方、塩分摂取量には差がありませんでした。つまり、塩分の摂り過ぎよりもカルシウム不足の方が影響を与えていることが分かったのです。しかし、塩分摂取量が増すとカルシウムの尿中排泄量が増えるので、結果、カルシウム不足となります。
 血圧を下げる薬にカルシウム拮抗薬があります。この薬はカルシウムを反応するのではありません。電位の変化でカルシウムが細胞内に入るのを阻害する薬です。高血圧は細胞内のカルシウムが増加することが原因なので、この薬はその増加を防ぐ薬なのです。
 生まれつき血圧が高いラットの系統は遺伝的にカルシウム欠乏です。このラットにカルシウムを与え続けると細胞内カルシウムが減少し、血圧が下がります。日本人も遺伝的に高血圧になりやすいようです。高血圧になると血圧降下剤を飲み続けなければなりません。高血圧になる前にカルシウムを毎日十分に摂取する習慣を身につけましょう。

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