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VOL.180『カーボラストという食べ方』 [生活]

◆日本人の生活習慣病
 かつて成人病と呼ばれた生活習慣病は、糖尿病・高血圧・高脂血症(脂質異常症)が80%を占めています。それら病気の元となるのが子供の頃からの肥満で、動脈硬化を伴い高血圧・高脂血症そして糖尿病へと段階的に進んでいきます。動脈硬化が進むと、心臓の冠動脈疾患による心筋梗塞・脳卒中・足壊疽が起こります。糖尿病は合併症として腎障害による人工透析・網膜症による失明・神経障害による足壊疽に加えて脳卒中や認知症を発症します。現在日本には高血圧症が4000万人以上、糖尿病が3000万人以上、高脂血症が1500万人以上いると言われ、40歳以上の2〜3人に1人の割合となります。

◆血糖値の上昇を抑えよう
 ヒトは、毎日食べるさまざまな栄養素をエネルギー源としています。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものです。ご飯・パン・麺類などいわゆる主食の食べ物が糖質です。もともと人間は活動量が多かったため、大きなエネルギー源となる糖質を主食にしました。飢餓との闘いの歴史が長かった人類は、血糖値を保つ仕組みとして膵臓のα細胞からグルカゴン、副腎皮質からのステロイドホルモン、副腎髄質からのカテコールアミン、甲状腺ホルモンなど血糖値を上げる遺伝子を組み込みました。その頃は血糖値を下げる必要性がなかったので、血糖値を下げる仕組みは唯一膵臓からのインスリンだけでした。この時代の人類は体内に取り込んだ糖質を1日の活動で消費できたからです。しかし、現代では糖質は過剰となっています。これが肥満の原因になっています。
 糖質とは、イコール甘いものではありません。例えば煎餅には甘みがありませんが、デンプンなので糖質が多く、良く噛んでいると唾液中のアミラーゼがデンプンを糖に変換するので、甘みが出てきます。糖質を多く含む食品は、米・パン・麺類・イモ類・かぼちゃ・お菓子・ハチミツ・果物などです。糖質が少ない食品は、肉類・魚類・大豆製品・野菜・ナッツ類などがあります。
 血糖値の上昇は糖質の摂取量が多いほど高まります。そこで今『カーボラスト』という食べ方が注目されています。これは糖質を最後に食べようという方法で、食物繊維などの食物を先に摂取することで糖質の摂取量が少なくて済みます。食物繊維は消化吸収されにくく、腸の蠕動運動を抑制して糖の吸収速度を遅らせます。また、食物繊維は腸内フローラによって短鎖脂肪酸に変換され、血糖値の上昇を抑制します。短鎖脂肪酸が肝臓に運ばれ、その情報が脳に伝達され、エネルギーが十分に足りていると指示を出すことで血糖値の上昇を防ぎます。同時に食物繊維が筋肉や脂肪組織に働いて、インスリンを分泌させ糖の取り込みを防ぎ、脂肪組織への脂肪の取り込みを抑制することで肥満を防ぎます。

◆カーボラストで食べよう
 近年、妊娠糖尿病が増えましたが、原因の1つに高齢出産があります。インスリンは年齢とともに分泌能力が下がるのでリスクが高まるのです。対処法として必要以上にカロリー制限すると、胎児が低体重となったり、出生後に低血糖になることがあります。また、4〜5kgの巨大児や発育不全、奇形の子供が生まれる可能性が高まります。
 結論的には、全く糖質を摂らないのではなく糖質の摂取量を減らし、カーボラストという食べ方で、先に食物繊維・タンパク質・脂質を食べ、最後に糖質を摂るという、栄養学の常識を覆した食べ方が血糖値の上昇を抑制します。試してみてはいかがですか?

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VOL.179『小児の慢性疲労症候群について』 [眠り]

◆小児の慢性疲労症候群とは 
 最近は幼児や小児が大人の生活習慣に合わせて夜遅くまで起きています。その結果、睡眠不足が続いて慢性的な疲れや倦怠感があり、朝起きられない子供が増えています。これを小児の慢性疲労症候群と呼びます。このような小児の脳をCTで画像診断してみると、大人で見られるような複雑な内容や課題を処理する神経が過剰に働き、脳に疲労が見られます。
 国際慢性疲労症候群学会の診断基準によれば、小児の慢性疲労症候群は疲労や倦怠感が3ヶ月以上続き、安静状態にしても回復せず、教育や社会面での機能が著しく低下している病気とされています。

◆原因は?
 そこでその発症の仕組みを解明するため、この病気が同時に複数の課題を処理する際に注意力や集中力の低下・注意配分機能の低下を示すことに注目し、慢性疲労症候群の子供15人、健康な子供13人を対象にテストを実施しました。問題は、ひらがなで「まりこはみつめた」「あおいうみをみた」などの文字を次々に表示し、文章の内容を理解できるかを調べると共に、その文章の中に母音が含まれているかについても質問しました。このように2つの課題を同時にこなす際に脳の働きがどう変化するかをMRIを用いて調べたところ、健康な子供は、脳の左側の前頭葉2箇所で効果的な情報を素早く処理していたのに対し、慢性疲労症候群の子供は合計6箇所の部位を活動させていたことが分かりました。この結果から、小児の慢性疲労症候群では課題を処理する脳の活動部位が広範囲にわたるため、脳が過剰に働いて疲労が増してしまう、つまり脳の機能が低下しているのではなく、脳の機能低下を他の脳神経部位を使って補おうとするため、脳を過剰に活動させていたのです。これが慢性疲労や倦怠感となって、脳の機能低下や能力低下を引き起こすのです。
 小児の慢性疲労症候群の国際診断基準の概要によれば、
1)少なくとも3ヶ月以上の睡眠や休養によっても改善しない疲労状態が続き、日常生活が障害されている。2)初期は甲状腺機能障害など一般検査でも異常が見られない。3)次の症状が中程度以上である(階段の昇り降りが遅い、本を読む行為で認知力の疲労があり回復が遅い、毎日居眠りし寝つきが悪い、昼夜が逆転する、筋肉痛・腹痛・胸部痛・眼痛・吐き気・嘔吐などの症状がある、記憶障害・集中力の低下・理解が悪い・関心がないなどの症状がある、ふらつく・四肢の冷感・微熱などの症状がある)
 以上のような症状があれば小児の慢性疲労症候群と診断されます。

◆親子で一緒に取り組みましょう
 このような子供に対し親子一緒に睡眠指導を行って慢性疲労を改善し、不登校を減らす取り組みが行われています。2009年から全国7つの自治体では、中学生や高校生の睡眠調査や指導を実施し、睡眠状態を改善したところ、不登校が減少したという成果があります。
 24時間眠らないコンビニや漫画喫茶などによってヒトの日内変動や体内時計が変化しています。そしてそれは子供達の健康にも影響を及ぼしています。睡眠時間が減少している現代、睡眠不足が子供の脳神経に記憶力の低下・集中力の低下・判断力の低下・残虐性の増加などの障害を与えています。未来を担う子供達の健康を管理するのは私たち大人の責任と言えるでしょう。脳や免疫力が急激に発達する思春期を、健康的な生活習慣で過ごさせるように指導しましょう。まずは正しい睡眠習慣から。

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