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VOL.178『ロコモティブシンドロームとは』 [体]

◆ロコモティブシンドロームとは
 加齢や高齢化に伴い、運動機能の衰えによる障害で筋肉・骨・関節・軟骨などの機能が低下した状態を『ロコモティブシンドローム』(運動器症候群・ロコモ)と呼びます。厚生労働省の報告によれば、自立度が低下し要介護や要支援になる原因は運動器の障害が23%、
4人に1人が健康寿命を短くしていることになります。さらに40歳以上の男女5人に1人がロコモ予備軍となっています。
 ロコモ予防のために、タンパク質やミネラル・ビタミンなどの栄養素を摂取するよう指導が勧められています。タンパク質の摂取量が減ると骨ばかりか筋肉量も減ります。通常、タンパク質は分解と合成を繰り返す新陳代謝で恒常性を維持しています。タンパク質摂取が不足すると分解が優位になり、筋肉量の減少につながります。そこで欠かせないのが適度な運動習慣です。息がきれない程度のジョギングや自宅内でのスクワットなどの軽い筋トレ、20〜30分程度の散歩です。運動不足で筋肉を長時間使用しないと筋肉は萎縮します。また病気で入院が長期になり、ベッドで安静にしていると足腰の筋肉が衰えて歩くのも困難になります。

◆サルコペニア肥満
 運動不足でいると、30代でも筋肉量は年間0.5〜1.0%低下します。筋肉量は60%が下半身に集中しており、足腰の筋肉が衰えると代謝機能が落ち、摂取カロリーが余るので太りやすくなります。これをサルコペニア肥満と呼びます。サルコペニア肥満は40代から発症し、高齢者の30%以上に認められ、糖尿病への発症リスクが3倍に上がります。若い人でも運動する習慣がないと、筋肉量は20代から徐々に減少していきます。筋肉が使われずに摂取カロリーが多いと余ったエネルギーは脂肪細胞に蓄積されます。外見上はさほど太って見えなくても筋肉量が少ないため、筋肉内に脂肪が入り込み筋肉と置き換わります。すると動くのがますます億劫になり、サルコペニア肥満が進行するという悪循環に陥ります。
 体重をコントロールするための食事制限を中心としたダイエットは体脂肪だけでなく、筋肉量も減らしてしまいます。動物性タンパク質に含まれるアミノ酸は筋肉の材料になるのに高齢になると急激に摂取量が低下する傾向があります。運動する前後の30分にタンパク質である分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)を摂取することを習慣にするとサルコペニア肥満の予防効果が高まるとされます。同時にミネラル成分であるカルシウム・マグネシウム・ビタミンDなどを補給することで筋肉増加や骨形成に効果的となります。さらに、太陽光を浴びながら散歩をすれば、運動不足の解消になるだけでなく、ビタミンDが腎臓で活性型ビタミンD3に変換され腸からの吸収性が高まります。

◆運動器を衰えさせない
 日常生活で行えるサルコペニア肥満対策として適度な運動は手軽で効果的です。運動することで必要な足腰の筋肉を取り戻しましょう。ふくらはぎや太ももの筋肉は使わないと急激に衰えます。立ち上がる動作で一番使うのが太ももの筋肉で、バランスを維持するのがふくらはぎの筋肉です。特に、ふくらはぎの筋肉は『第二の心臓』とも言われます。
 サルコペニア肥満はインスリンの働きを鈍らせますので、散歩などで有酸素運動をすることは糖尿病の改善にもつながります。運動することによる刺激がカルシウムやマグネシウムの吸収性を高め、生体内でカルシウムの骨への沈着を促進します。運動器の衰えを抑制するために運動は欠かせません。同時に分岐鎖アミノ酸を多く含むタンパク質を摂取して筋肉量を減少させないように気をつけましょう。

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VOL.177『ノロウイルス対策にラクトフェリン』 [健康]

◆ノロウイルスとは
 毎年、11〜2月頃にかけて猛威を振るうのがノロウイルスです。カキなどの二枚貝を不十分な加熱で食べたり、感染者の便や嘔吐物に触れることで感染します。今年は新型が流行する可能性も指摘されており、注意を喚起しています。毒性は従来型と変わりませんが、ほとんどの人に免疫がないため多くの人が感染する恐れがあります。
 ノロウイルスは感染力が強く、激しい嘔吐や下痢を引き起こします。特に、体力の弱い高齢者や乳幼児・慢性疾患のある人は重症化する可能性があります。治療薬はなく、有効なワクチンもありません。アルコール消毒でもウイルスは死なないため、予防には手洗いや調理時の衛生管理を徹底しましょう。

◆ラクトフェリンとは
 最近、ノロウイルスに対してラクトフェリンに予防効果があるという報告がありました。ラクトフェリンは哺乳動物の乳汁中に多く含まれており、ヒトの母乳、特に出産後数日間に分泌される初乳に最も多く含まれます。母乳以外にも唾液や涙・鼻汁などの外分泌液、粘膜液、白血球である好中球に存在し、外部から侵入する細菌やウイルスを攻撃・排除する防御因子の1つです。出産後5日までの母乳には100mlあたり600mg、3週間以降も200mgのラクトフェリンが含まれています。殺菌前の牛乳にも含まれていますが、濃度はヒト母乳の10分の1程度です。
 ラクトフェリンは1929年に発見され、鉄と結合しやすい特性で赤みを示すことから、牛乳の赤いタンパク質とも呼ばれます。生理機能は生体防御やビフィズス菌の増殖、鉄吸収の調節、抗炎症作用、脂質代謝の改善、健康増進・維持などが知られています。2015年の国際ラクトフェリン会議では、実験で消化分解したラクトフェリン消化物にウイルスの増殖を抑制する働きがあったと発表されました。ラクトフェリンにはウイルスの殻(自らを包む殻を破らないと増殖できない)を破る酵素を阻害する働きがあるといいます。現段階では抗ウイルス作用のメカニズムは解明されていないので、ラクトフェリン摂取でウイルス感染が完全に防げるわけではありませんが、感染のリスクは減弱します。週4日以上ラクトフェリンを摂取したらノロウイルスの感染率が下がったという研究報告もあります。

◆ラクトフェリンの予防効果
 ラクトフェリンは加熱処理していないナチュラルチーズにも多く含まれています。感染予防に役立つ目安の摂取量は1日当たり100mgです。ナチュラルチーズなら毎日100g程度摂取すれば良いことになります。ラクトフェリンは強力な抗菌活性を持っています。細菌の生育には鉄が必要なのですが、ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで細菌の増殖を抑制します。免疫系が未熟な新生児はラクトフェリンを多く含む初乳によって、外敵の病原体から守られます。
 またラクトフェリンは、肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヘルペスウイルス・サイトメガロウイルス・白血病ウイルスなどの複製(増殖)を阻害します。ラクトフェリンが消化管粘膜に結合することでノロウイルスやロタウイルスの粘膜細胞への侵入を防止し、発病を緩和します。これはラクトフェリンが腸管内の腸管膜リンパ節やパイエル板という免疫系に関係する細胞に作用し、NK細胞やマクロファージを活性化するためです。さらに免疫細胞であるB細胞やT細胞の増殖も促進します。
 ノロウイルスやロタウイルスの感染を予防するためにラクトフェリン入りのヨーグルトを摂取することで、効果は未知数ではありますが、感染しても重症化を防げることが期待できます。ただ、牛乳や乳製品を摂取すると下痢や腹痛を起こす乳糖不耐性の人やアレルギーの子供はラクトフェリンに対する抗体が低濃度にできているので注意が必要です。

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